「ファンタジーとリアリティの狭間、緊張感を切り取る力には脱帽」聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア ezioさんの映画レビュー(感想・評価)
ファンタジーとリアリティの狭間、緊張感を切り取る力には脱帽
『ロブスター』とともにずっと観たくてマイリストに入れつつ無意識に避けていた作品。連続で観ました。
事前にあらすじは目に入っていたが、序盤から嫌な雰囲気に手に汗握る
"ある提案"をするシーンや噛みつきのシーンにはゾクゾクさせられた
そもそもの話、何が病の原因なのかは作中でも専門家から繰り返されていた様にやはり心因性の何かなのだと思う。明言を避けているのは監督の作風であり手癖というか「そこは重要ではない」ということなのだろう。仮に催眠術なのであれば終盤の場面でアナを歩けるようにしたはずだ。そこをはっきりさせないことで得体の知れなさによる恐怖は何倍にもなるし本作のスリラーとしての純度を高めている
一方でその荒唐無稽な要素はある種の悪ふざけのようにもなっており、ホラーとコメディの二面性が見え隠れし笑いも誘う場面もある。とはいえそれは恐怖を薄めるわけではないし、なんなら"そこで笑ってしまう自分"も俯瞰して見せられているようで恐ろしさまである
あとなんと言ってもマーティンの狂気
「バリー・コーガンは素でこうなんじゃないか!?」と思うほどの名演。"怪演"という言葉にずっと腑に落ちない感覚があったが、これを観せられるとこれがまさにだなと思った
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