「人間非讃歌。」聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人間非讃歌。

2023年11月13日
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鑑賞方法:DVD/BD

どんな内容なのか全く知らなくて、コリン・ファレル主演だから「ロブスター」みたいなちょっと意識高いっぽい映画なんじゃないか?とか冗談で話していたら、まさかの「ロブスター」と同じランティモス監督の作品だった。
観る直前にこの情報を仕入れられたので、覚悟は決まったというか、作品のトーンの方向性だけはわかったのですんなり入ることが出来た。終始テンション低いだろうなと。

ランティモス監督は、非現実的な雰囲気の中で、教科書に書かれているような人間味のないセリフと静けさで、愛ってこうだよねとか人間ってこうだよねとか、そういうことを表現する監督かなと思うんだけど、まあこれが少々極端な演出をする人で、彼の伝えたい「人間」ってものに対して、なんかどっか違うんじゃないかという気持ちが芽生えるし、怖さとか不気味さが先に来ちゃうのはモヤモヤするものがある。
本作「聖なる鹿殺し」は明らかに恐怖を煽るような、効果音ともBGMともいえないような奇っ怪な音を使っているのでホラーのようにしたかったのだろうとは思うけど。
それで、サスペンスというよりは、人間の内面をえぐるオカルトホラー的な作品で面白く観れたのだけど、やっぱり心の奥にある引っ掛かりは残ってしまうんだよな。それが良さなのかもしれないけどね。

もしかして監督は、人間とは怖いものだと考えているのだろうか?ああ、なんかそんな気がしてきた。間違いない。
私はそうは思わないから、作品との共感度がやけに低いんだな。多分そう。
面白かったけどモヤる原因がわかったな。

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つとみ