「抵抗不能な不条理のオンパレード」聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア セッションさんの映画レビュー(感想・評価)
抵抗不能な不条理のオンパレード
映画自体は大変面白いのですが、あまりにブラックな内容であるため人に勧めるのは憚られる、一人でこっそり楽しむタイプの作品でした。
ヨルゴス・ランティモス監督の前作『ロブスター』にて特に輝いていた「不条理の中に生まれる可笑しさ」が今作でも随所に見られるのですが、今回はさらに不条理さが増しています。
主人公家族に降りかかる悲劇について、何故そうなるのか明確には理解できない作りになっているのですが、彼らが抵抗できないまま不条理に飲み込まれていく感覚を私たちにも体感させるために、あえてそうしてるように感じました。
カンヌで受賞したのも納得の出来映えである脚本に加え、時折見せる絶妙に引いた視点からの人物を突き放したようなカメラワークが印象的。
キャストでいえば、何といってもバリー・コーガンが素晴らしい。コリン・ファレル、ニコール・キッドマンといった名優たちに劣らない、むしろ食ってると言っていい怪演で映画を支配していました。彼の目線で見ると本作は、復讐によって悲劇を乗り越え、執着していた父親の継承を果たすサクセスストーリーであり、そこには確かなカタルシスを覚えずにはいられません。
バリー・コーガンの汚っねえスパゲッティの食べ方を見たい人にオススメ!
NOBUさん
コメントありがとうございます!私も、毎回見た人と語り合いたくなるランティモス独特の世界観が大好きなので、大変嬉しいです。
監督の次回作が作られたら是非語り合いましょう!!
今晩は。
・「不条理の中に生まれる可笑しさ」
・”時折見せる絶妙に引いた視点からの人物を突き放したようなカメラワーク”
私が書けなかったヨルゴス・ランティモスワールドの肝を衝いた”的確なレビュー”。(鑑賞後、私は完全にこの監督の世界観に呑まれてしまった・・)
これからも、絶妙なレビューをお願いいたします。
では、又。