「ラスト10分はやっぱりいい、、(原作鑑賞済み)」あの頃、君を追いかけた せっちゃそさんの映画レビュー(感想・評価)
ラスト10分はやっぱりいい、、(原作鑑賞済み)
けれども、なんだろう。観終わったあとに「いや、そうじゃない。そうじゃないんだ」って気持ちに心が支配されてしまった。というのが正直なところです。
原作にあった独特の雰囲気というのか、"間"というのか…それがこの作品では失われてしまっていたように感じます。
重要なシーンは原作をしっかり再現しようとしていましたが、重要なシーンありきでそれをつないで構成させているように感じたせいかもしれません。
(実際に原作観てないと疑問に思うところがいくつかあったように思います。)
特に、ヒロインが主人公を好きになっていく過程が駆け足で進んでいった気がして残念でした。
あとは、、、この原作には一つひとつの動きに心動かされる"意味"がしっかりとありました。
作者の自伝的な物語なので、青春を全力で生きた証を大切に大切に紡ぎ出しているのを肌で感じられました。
果たしてそれをリメイクとしてやり切ることはできていたのでしょうか?作品や人物に対するリスペクトの念を余すとこなく表現できていたでしょうか?
そこがリメイクの難しさと限界なのかな、と。
そんな中でも、主役の山田裕貴くんの演技にグッとくるものがあったり、最後のパラレルワールドの主人公とヒロインの美しさには目を見張るものがあったり、原作同様ラスト10分は胸にくるものがあったり、主題歌の間奏以降のCメロの展開がよかったり…とステキな点もたくさんありました。
個人的には、原作以上に"月"にフォーカスして日本らしさを表現しているのはロマンがあってよかったです("今夜は月が綺麗ですね"(夏目漱石)の意味合いから)。
なんやかんや書きましたが、お話しはやっぱり素晴らしいですね。
胸の奥底を優しく締め付けてくる心打たれる作品です。