わたしたちの家のレビュー・感想・評価
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観る者を穏やかに挑発する、スリリングな「ホーム」ムービー
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わたしたちは「家」という舞台装置について、よく知っているようで、実はあまり知らない。なるほど、古い家であればあるほど、時代ごとに住人は異なり、そこで展開するストーリーも全く異なる。本作はその鋭い視点を用いて、一つの家を舞台にした、全く異なる二つの物語を同時並行的に描いていくのである。片や、母と娘が織りなすホームドラマ。片や、記憶喪失の女と彼女を助ける女性をめぐるミステリー。これらが果たしてど結びつくのかが大きな鍵となるが、そこにナチュラルに時空を超えたマジックリアリズム的な趣向が入り込んでくるところこそ本作の大きな魅力。それが炸裂する瞬間、アイディアの冴え渡った、極めて映画的な心地よさを感じずにいられなかった。カメラがとらえる角度に複数の鏡を置いて一度に多面的な表情を捉えたり、影のうごめき、奇妙な雑音が忍び込むサウンドデザインなど、細部にもこだわりが光る。非常に楽しみな才能が現れたものだ。
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