「007史上、最高にエモーショナル」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ REXさんの映画レビュー(感想・評価)
007史上、最高にエモーショナル
実は前二作を見てないまま本作を見るという暴挙にでたのだが、人間関係はある程度推測はできた。
ヒールのサフィンは、世界を必要以上に憎んでいるサイコパスでもなく、どことなく達観した掴み所のなさが現代的。能面の使い道は少しだけだが、凄く強烈な印象を残す。ウイルス兵器を扱うのはスパイものとしてド定番ではあるが、この時代にネタとして使うのはなかなかの勇気。
レア・セドゥは「ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル」で報酬にダイヤを求める暗殺者の役も演じており、スタイリッシュな佇まいがスパイがらみの映画に似合う。
しかしまさかボンドの愛がシリーズ終盤でこのように丁寧に結実するとは予想外だった。同じ空を見ながら逝く、という場面は007史上最高にエモーショナルで、彼の表情が強烈に脳裏に焼き付いた。体が消滅するところまで生々しく描かなくても…とも思ったが、もうダニエル版007は絶対に作られない、二度と出演はしない、という決意表明とも受け取れる。
全体的にボンドの過去と愛のメロドラマな展開の中で、アナ・デ・アルマスがいかにもボンドガールに相応しいセクシードレスで、007らしいアクションを華々しく披露。
引退したボンドが暫時的にMI6へ復帰したとき、007のコードは他のエージェントに与えられていたが、女性版007の話はこれで収斂&消化したと思いたい。
やはりボンドは男であってほしいし、女性にする必要性も感じない。
いや、もしかしたら、成長した娘マチルダが跡を継いだりして?
それはそれで観てみたい気もするが、スピンオフでお願いしたい。