「家族の愛に飢えている人々」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ yumekoさんの映画レビュー(感想・評価)
家族の愛に飢えている人々
どうにか最新作の劇場鑑賞がギリギリ間に合った。
そのためのダニエル・ボンドのシリーズの復習は、スペクターだけ叶わず…そこ、大事なところなのに。年末で時間切れに…。仕方なく、スペクターのあらすじだけ読み、当時の記憶を呼び起こしながら劇場へ向かう。
オープニングのビリー・アイリッシュの歌が最高だ。映像も、すごくカッコイイ!
マドレーヌの幼少期がとても切ないけれど、背景の大自然はとても美しい。母との関係。能面の不気味さ。美術センス最高だ。しかし、マドレーヌの悲しい過去に、早々に涙出そうになった。
場面変わって、ボンドとマドレーヌとの幸せな甘い時間。ドライブの歌なしのBGMが、女王陛下の007のあの幸せなシーンで使われていたルイ・アームストロングの曲。レトロ感がとても良い。
あぁ、そうよね。幸せにはなれないんだよね。女王陛下の007でもそうだったよね。この曲で思い出す、せつないストーリー。
わかってる。
ヴェスパーの墓での、I miss you. 爆破。
その後の、マドレーヌとの別れ…。
駅でのシーンは、もう、つらい。涙出た。いきなり、切なすぎる!
人を信じることができないのは変わらないね、ボンド。
そして、数年後、1人海辺で生活するボンド。
ロンドンの研究所のシーンもドキドキ。しかし、やはり科学者はみんな殺されるのね。殺される人が多いなぁ。仕方ないけど。
懐かしい旧友のフェリックス登場!
フェリックスとの別れも涙…。
スペクターのドン、ロンドンの独房にいるブロフェルドの誕生日パーティーって展開も驚いた。ここで登場する生物化学兵器怖い。今回の鍵となる身体に入り込む生物兵器。一度入ったら、もう取り除くことはできない。よく考えたな。
そこで活躍する新人CIAのパロマがキュートで、かなりインパクトのある場面。また観たい!見た目もセリフも可愛い!アクションシーンのドレスのスリットが美しい!短い場面でこれだけ印象深いとは。
また、黒人女性の007には驚いた。
現代の世の流れを象徴しているな。
意外な展開だったけど納得。
ロンドンの独房のブロフェルドとの面会シーンも、おぉ、こうなるのかと驚かされた。首を触っただけで死んでしまう…。この後の伏線になろうとは…。
大好きなQの自宅の猫ちゃんとのシーンも好きなところ。Q、気になってる彼を自宅に招く準備中。Q…やはりそうか。オシャレだしね。Q大好き。
ボンドがマドレーヌと和解して、可愛い娘のブルーアイズのマチルドと会うシーンもほっこり。ほんの少しの間のボンドの幸せな時間。まさかの家族のひととき。続かないってわかってるから、見ていても辛い…。
その後のサフィンのアジト。日本的なインテリア。シンプルなモダニズム。カッコイイ。
しかし、ホワイトに家族を殺された復讐でここまでやっちゃうサフィンも気が狂ってるよね。
サフィン、ボンド、マドレーヌ、今までの悪役の人々…誰しもが家族の愛に飢えている…。
最後のボンドとマドレーヌの電話がせつない。
さようなら、ダニエル・ボンド。
家族は持てなかったけど、仲間たちは家族だね。最後のお酒でグラスを合わせる追悼シーンもとても良い。
最後のサフィンとの戦いが長かったけど、全体的にとても楽しめた。
ダニエル・ボンドの、初期の頃の荒々しい冷酷さが、あまり好きではなかったけれど、ヴェスパーを失い、人を信じることができなかったボンドが、マドレーヌに出会い、シリーズが進んでくると、だんだんと人間らしい温かみを感じるボンドになってきたので、最初の頃より好意的に観ることができるようになった。
お疲れ様です、ダニエル・ボンド。
美しい終わり方だった。
エンドロールのルイ・アームストロングの曲がなんともジーンとくる。女王陛下の007では、この曲の流れる中、愛する人を失ったボンド。今回は愛する人たちを命がけで守って、終わりを迎える。運命って…。
次のシリーズ、どうするんだろう?
ボンド亡きその後はないよね。
またさかのぼるのか。あるいは、パラレルワールド的な?気になる。
そして最後に、ダニエル・クレイグも、15年という長い期間だったので、今回はやはり見た目の年齢を感じるのは避けられなかったな。
007シリーズはオシャレなので好き。
これを機会に、大好きなピアース・ブロスナンのボンドシリーズ見返している。次はその感想を。