「次作はどうなるのだろう?」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ ショコワイさんの映画レビュー(感想・評価)
次作はどうなるのだろう?
1 イギリスの諜報部員、ジェイムズボンドが強大な悪の組織と対峙する007シリーズ第25作。
2 前作に続いて悪の組織スペクターが悪さを企てるのかと思わせて、敵役を別に設定したのはひねりとしては面白い。その敵役の登場シ−ンは印象的で、不気味であった。そして敵役が用いる武器は、最先端のバイオテクノロジーを利用して現代的であった。しかし、敵役が持つ組織力や資金源など全体像が見えないため、敵役としての魅力は薄かった。また、敵役の行動の発端は、スペクターに対する恨みであったが、攻撃の対象がその枠を超えていこうとしたことやバイオの武器を開発した科学者が敵役に通じることとした理由が不明であった。また、敵役が北方領土辺りの島で周辺の国々に気づかれることもなく毒物の生産を大規模にやれていたこと、その島に領有権を持たないイギリスの軍艦がミサイルを撃ち込むことも疑問に感じた。
3 にも関わらず、この映画は東西冷戦下の1960年代から、その時々の世界情勢を反映しながら半世紀を超えてもスパイ映画の代表的なシリーズとして生き続けてきた。それは、ジェイムズ・ボンドというキャラクターに普遍的な若さと魅力を持たせ、イメージを保ち続けたこと。そして、製作側において、企画やアイデアを凝らし、最良の役者を充て、第一級のアクション映画として質を落とさなかったことによる。
4 本作においてもCGに頼らないアクションが見事。主人公の肉体を駆使した体技は、見ていて痛みが実感でき、説得力があった。ボンドガールではキュ−バでの案内役がキュ−トであった。車や時計の仕掛けは楽しくお面は不気味であった。
5 ラストは愛を貫くための行動を取った主人公に与えられた花道となった、そこに女王陛下の007の主題歌が被さり余韻を残した。