「人間ボンドのエピローグ」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
人間ボンドのエピローグ
ジェームズ・ボンド・シリーズ第25作。
通常スクリーンで鑑賞(字幕)。
クレイグ版シリーズは従来のシリーズとは一味違って、作品ごとのストーリーが繋がっているのが特徴だった。
ボンド像も完全無欠のヒーローではなく、どこか陰があり、人間味溢れるキャラクター造形が成されている。
この方針転換によって、シリーズに新風が吹いたのはもちろん、個人的にこの新しいボンド像に強く惹かれた。
自然と物語に厚みが生まれることになり、秀逸な人間ドラマと壮絶なアクションが融合した作風に夢中になった。
大好きなクレイグ・ボンドがついに終わってしまう。いったいどんなフィナーレを迎えるのか。心して観た結果、これ以上のものは考えられない、期待を大きく上回る完結編だった。
164分と云う長尺なのに一切ダレることなくテンションを維持し、畳み掛けるようなアクションの応酬と重厚な人間ドラマが絶妙なバランスで配置されていてとても面白かった。
足掛け15年に渡って紡がれた「人間らしいジェームズ・ボンド」の物語を昇華し、伏線を回収し、決着をつけるために挑んだ最後の戦いと彼の生き様が胸に迫って来た。
人間如何に生くべきかと云う問いに対するボンドなりの解答―5作品を通して、愛する者のために戦った彼が最後に選んだ道と、命をかけて成し遂げたことの尊さに心が震えた。まさか「007」でこんなに感動するだなんて予想外だった。
クレイグ・ボンドが完全無欠のヒーローに描かれていたら絶対このようなラストにはならなかっただろうし、決して許されなかったと思う。衝撃的な結末だが、納得させられた。
それを可能にしたのは製作陣の尽力と、人間ボンドを素晴らしい演技で体現したダニエル・クレイグの功績であろう。心からの敬意を表すと共に、お疲れ様でしたと言いたい。
[余談1]
サフィンに最凶感が無かったのがちと気になった。
[余談2]
好きな女優ふたり―レア・セドゥとアナ・デ・アルマスが出演していると云うことで完全な俺得映画だった。
おふたりともセクシー過ぎる。
実生活でも母であるレア・セドゥから滲み出る母性が素敵。
アナちゃんの出番、もうちょっと欲しかった。
[余談3]
クレイグ版シリーズでいちばんボンドカーらしいボンドカーが活躍した冒頭のアクション・シーンに痺れまくりだった。
[以降の鑑賞記録]
2022/03/05:Blu-ray(吹替)
2024/10/06:Ultra HD Blu-ray(吹替)
※修正(2024/10/06)
80年代は、正月映画といえば007か寅さん。
どちらも一話完結で、ある程度の事前情報さえあれば楽しめました。
こうやって繋がってる作品は敬遠しちゃいますよね。
最近はTVで前作を放映してくれるから助かります・・・