「ダニエル・クレイグのジェームス・ボンド最終作品ということで・・・」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ jollyjokerさんの映画レビュー(感想・評価)
ダニエル・クレイグのジェームス・ボンド最終作品ということで・・・
彼に忖度しすぎじゃないの!?
プロデューサーに名を連ねているからということもあるかもしれないが、本作はクレイグのための作品であって、007とは一線を画すものだと感じた。
そもそもボンドに子どもがいるなどと、誰が想像しただろう。女性をパワーとし慰みとし、クールに任務を全うしてきたボンド。たしかに半引退していたのを引きずり出されたのだが、ミサイルに全身をさらしてしまうとは!
バイオ兵器にはなす術がないとはいえ、これはあまりにも残念。ボンドも一人の人間だった、潔い最後だったと言える反面、不死身のヒーローでいてほしかった。
一方、フクナガの監督作として期待していたのだが、人の深層心理を丁寧に描いてきた手腕を今一つ発揮できていないように感じた。前半のパロマ(アナ・デ・アルマス)の活躍は特筆に値する。太めの女007なんぞよりだいぶイカしている!フェリックス(ジェフリー・ライト)の活躍や水中のシークエンスはヴェスパー(エヴァ・グリーン)との思い出を彷彿とさせるし、カーチェイスや森での逃走シーンはフクナガの十八番だ。しかし、長尺にしてはサフィン(ラミ・マレック)の復讐心理描写が弱かった。それはマレックの不気味さに頼ることになり、表面的な気持ち悪さに終始してしまっている。組織を統率しているというカリスマ性にも欠けた。
シルヴァ(ハビエル・バルデム)が死にM(ジュディ・デンチ)が死にはしてもまたボンドは戻ってくる。つまりやはり我々はボンドにかなり期待しているのだ。新星ボンドが早くも待ち遠しい。