「クレイグボンドありがとう。」007 ノー・タイム・トゥ・ダイ HirosHiさんの映画レビュー(感想・評価)
クレイグボンドありがとう。
007映画というより、ジェームズ・ボンドという1人の男の人生を観てるみたい。
ダニエル・クレイグの凄みのある表情や動きのキレからこれまでとは気合の入れ具合が違うことが伝わってきた。マドレーヌを信じられなくなる冒頭のボンドの怖さが痛々しい。人を信じられなくなってる哀れな老いた男の姿だったな。
序盤のマドレーヌの少女時代に急襲してくる“能”の男の場面、そしてボンドとマドレーヌの新婚生活から別れまでの一連のシーンが矢継ぎ早に繰り出され、それでいて心理面もキッチリ描かれていて掴みが完璧だった。ボンドとマドレーヌの列車の別れのシーンは往年のヨーロッパ映画のよう。
新007役のノーミがとてもいい。さながら黒豹のような身のこなしといでたち。ボンドと牽制し合う新旧007の仲だが、最終任務前にお互いを認め合う場面は胸が熱くなった。彼女の発する“Time to die ”がカッコよかったなぁ。
アナデアルマスのキュートなCIAエージェントも魅力的だった。あの一瞬だけ出てくるところに脚本家と監督のセンスの良さを感じる。キューバの青を基調としたセットとアナデアルマスの黒のドレスのセクシーさが相まっていいシーンだった。
MやQ、マネーペニー、タナーの面々はもはや観ていて安心感がある。ウイスキーのグラスを持ち上げて乾杯し合う姿にもっと観ていたいと寂しくなった。
あ、そうそう!ところどころに『女王陛下の007』の曲が使われてるのが心憎い。
これでダニエルクレイグのボンドば終わったのだなぁ。感無量。