劇場公開日 2018年5月18日

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「トムとジェリーを好きな人にはいいのでは」ピーターラビット うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0トムとジェリーを好きな人にはいいのでは

2023年7月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

原作の雰囲気も、オリジナルの絵本などにもまったく触れたことはなく、ほとんどニュートラルな立場で見にいったのですが、私が見たのは字幕スーパー版で、とんでもなく豪華なキャスティングが実現していました。

だから逆に日本語吹き替え版がどのような出来栄えになっているのか想像もつきませんが、これで正解だったんだと確信しています。

雰囲気としては、人間とウサギがケンカして、だんだんエスカレートしていくというファンタジックなストーリーで、リアルに描けば「人間がウサギを駆除して終わり」というだけの身もふたもないものです。農業従事者の方などは、日常的に獣害に悩まされていて、とても本作を楽しめるような心境にはなれないと思いますが、私が子供の頃に楽しんだ「トムとジェリー」を彷彿とするような、ドタバタ喜劇。特にウサギの生き生きとしたアクションには最後まで目が離せません。

ひとつ気になるのがウサギの表情など、どういうプロセスで完成していったのかという部分です。特に主役のピーター・ラビットの表情と、声のジェームズ・コーデンのシンクロ度合いは最高の相性で、普段からアドリブ満載の彼のギャグや表情を、どの程度生かしてあるのか、アリアリのものに声だけを当て込むだけの吹き替えでは絶対にありえないと思うのですが、まるで彼の表情が宿っているかのようなピーターのアクションに大満足で、もしジェームズじゃなかったとしたら、ここまで面白くなったかどうか。

「TED」で、ぬいぐるみと中年男子が殴り合いの大喧嘩をするプレイが実現しましたが、この映画はそのさらに一歩先を行く争いで、痛々しくならないぎりぎりのラインで人間とウサギの戦いを表現しています。それが笑えるし、ドーネル・グリーソンの可哀想に見えないメンタルは奇跡のキャスティングと言ってもいいでしょう。

これも一つの映像表現で、大真面目に語れば、面白くもなんともない悪ふざけ。それをきちんとギャグとして成立させた映画スタッフに大拍手です。

使用楽曲にもかなりのこだわりが感じられ、そのまま使うのでもなく、ちょっといじってあったり、いちいちこだわりが感じられて楽しかったです。オリジナルのサウンドトラックが欲しくなったほど。☆はやや低めですが、条件付きでとても楽しめる映画だと思います。

うそつきカモメ