劇場公開日 2020年8月22日

シリアにてのレビュー・感想・評価

全22件中、21~22件目を表示

3.5いつ死ぬかも分からぬシリア市民の日常

2020年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、VOD

悲しい

怖い

戦乱渦巻くシリアが舞台の映画だと、今年は『娘は戦場で生まれた』というドキュメンタリーの傑作が公開されたが、こちらは銃器や戦車を出すことなく、とある一家とその隣人が隠れる密室状態のアパートが舞台というサスペンスドラマに仕上がっている。 戻らぬ夫の代わりに家長となった女性オームの願いは、単純に家族全員が無事であること。それゆえ時には非情にもなる。 特に中盤で起こるある展開には、観る者誰もがどうすればいいのか自問自答すること必至。そこで取った彼女の選択は責められるのか。 いや、砲弾も爆弾も飛び交う日常で暮らしていない我々に責める権利はない。 あと一つ言えるのは、女性は勘が鋭い。 前述の『娘は戦場で生まれた』や、『プライベート・ウォー』などと併せて観てほしい力作。

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regency

5.0凄まじい映画でした。

2017年11月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

第30回TIFF鑑賞記録 14作目 凄い映画です。 ただ、観ると凄く嫌な気分になるので、注意してください。 これは映画で、フィクションだという事は理解しているつもりですが、どうしても現実のシリアが脳をかすめます。 今世紀最大の人道危機という言葉の意味が少し分かったと思います。 実質的に家を仕切るお母さんは、完璧にリーダーの仕事をしていました。 リーダーとして、何を判断するのかを考え、最善の策を講じています。 時には凄く残酷な決断も下さなくてはいけない、非常にシビアな環境です。しかし自分が何をすべきか完全に理解して行動を選択しなくてはならず、かつミスは許されません。 個人的に、お母さんは正しい行動をしたと思います。 家族の、トイレを巡るシーンには本当にクスッとさせて貰いました。が、その後の悲惨な展開を思うと胸が締め付けられる様な重い布石に感じます。 役者さん達の演技も素晴らしく、それだけでも見応えのある作品だと思います。 この映画から、とてもリアルな恐怖を感じました。それは現実の紛争映画という側面だけでなく、ある種ホラー映画と題してもウソにはならない様な、そう言った類の恐怖です。 しかしホラー映画が、鑑賞後解放される様な感想を持つ存在としたら、この映画は、鑑賞後に現実のシリアのことを考えると本当の意味で恐怖を覚える、そんな映画だと思いました。 そういった点だけでなく、紛争や爆撃をマンションの内側からのみ描くという点や、観客を冒頭から映画に引き込み、最後まで全く呼吸をさせない様なプロットなど、本当に映画としてあらゆる面で優れていて、革新的な映画であるという観点から真に衝撃的な作品だと思います。 そして単に衝撃的な、単に革新的な映画というだけでなく、鑑賞者の心にずっと響いて忘れさせないような魅力を感じました。 この映画が日本で広く公開され、多くの方に鑑賞される事をお祈りします。

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