劇場公開日 2019年8月24日

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「45分の短編映画であれば佳作」聖なる泉の少女 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

2.545分の短編映画であれば佳作

2019年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

古くから続く信仰の終焉。すぐそこに迫る環境破壊。
必ずしも個々のシーンの内容を理解できたわけではなかったが、テーマは分かる気がする。

だが、例えば、父親が椅子に座るシーンを長々と映すのが、“映画”なのか?
45分の短編映画であれば、印象深い佳作だったろう。
しかし、どうでもいい映像によって、かなり希釈されてしまっている。

そもそも、映像で何かを遠回しに暗示したり、注意深い鑑賞者のみが意味をキャッチできるような映像の出し方は、自分の好みではない。
映像の形でしか表現できないものは別だが、平凡な話を深遠に見せかけているだけだと思う。
最後のシーンは、キリストのように水面を歩く奇跡だったのだろうか?
それすらよく分からないくらい、良くも悪くも、しっとりした空気感を最優先したシネポエムであった。

人間ドラマとしても、掘り下げが浅い。
泉を守る父娘でさえ、街へパンを買いに行き、車に乗って移動する生活とは無縁ではない。
公式サイトにあるような、「今日の物質文明に異議を投げかける」のならば、父娘の生活の全体像をリアルに示してこそ、真の問題に触れたことになるのではないだろうか?
一方、この映画が、非現実的な“おとぎ話”の、美しい映像化に過ぎないとすれば、自分としては観に行って失敗だった。

自らの内在的な要因から魔力を失う巫女の話なのか、環境破壊という外在的要因で涸れる泉の巫女の話なのか、はたまたその両方なのか? 茫洋としており、自分にはよく分からない映画であった。

Imperator