ラッキー(2017)のレビュー・感想・評価
全83件中、21~40件目を表示
生への渇望とウンガッツの同居
とてもいい映画だった。
アメリカの片田舎に住む90歳の爺さんは
結婚せず、子供もおらず
朝起きて、タバコを吸い、喫茶店に行き、
クロスワードパズルをしてミルクを買い、
バーに行く。そんな代わり映えしない
日々を過ごす。
側から見れば、今更
生に執着する理由もなかろうと
老成していて当然と決めつける。
が、爺さんは生きることを何一つ
諦めていない。
「リアリズム」という
言葉の意味を突き詰める知的好奇心を持ち、
気に食わないことがあれば
素手で殴り合いをしようとする。
だからこそであるが、立ちくらみで
倒れたことに心底、ショックを受ける。
「死期が近づいている」と。
そんな爺さんが言うからこそ
考えさせられる「死んだら何も残らんのさ」
という死生観。
前のめりで死ぬ、ということは
決して何かを成しているかどうかに関わらない。
それは死への恐怖に対峙し続ける
気概を持っているかどうかなのだ。
若いうちは生命力に溢れ、やるべきことが
山積しているから、死への恐怖なんて
時々、顔を覗かせるだけなのだ。
直視せずに済む。
でもこの爺さんはきっと死ぬまで
ウンガッツ(無)からは目をそらさないのだ。
あとね、タバコが効果的に使われている
映画ってだいたい外さないんだよな。
なんでだろう。
そうそう。追記ばっかだけど
この映画のアジア版は
「胡同(フートン)の理髪師」
という映画だと感じました。
この映画が好きならオススメ。
お爺ちゃん萌え間違いなし。
死を受け入れる事
2020年 1本目
最近、親戚の葬儀に出向くことが増え、自分も「死ぬ事」について少し考えてみようかと思い鑑賞。
大きな事件のない淡々とした映画ではあるが、主人公ラッキーの偏屈ぶりとリアリストなところや、歌を歌う姿が2年前に他界した祖父と重なりしみじみと観てしまった。映画の中でラッキーは、走馬灯のように過去の出来事がフラッシュバックし、誰に、というわけでもなく自分に言い聞かせるように語る。ここで得たラッキーの悟りを全て理解することはできなかったが、なんとなくイメージすることはできた。まだ自分は死を考えるには人生が浅いということなんだと思う。
2年前に他界した祖父も、ラッキーのような悟りがあったのだろうか。
自分が成人して「お前と一緒に酒が飲みたい」という祖父の夢を叶えられたすぐ翌年の他界だったので、祖父は何かを満たしてこの世を発ったのだろうか。
あと20年生きて、人生折り返しかな、と感じたら、またこの映画を観たい。
自分のその時の考えを知るためにも、まだまだ生きようと思う。
まあ人それぞれの価値観
孤独と死って、まあ向き合いたくはないもの。だから、目を背ける、あるいは、無効化するために労力を費やす。幸せの追求って全部そう。
ラッキーの生き方はその点でいけば後ろ向きといえる。ごくあたりまえの幸せを追うことをしていない。しかしながら後退もしていない。どちらかというと前進している、死に向かって。
孤独と死を真っ向から受けて、生きている。最後はみんなそう、勘違いするな、ていう。
こうはなりたくない、か、こうでありたい、かはまあ人それぞれの価値観でしょうね。
不治の病で余命うんたらとかのヒューマンドラマはよくあるが、この手法で見せられる余命にインパクトがある映画。
なんでもない作品
本筋は、田舎町に住む老人の生活を追っているだけです。が、彼が友人や知人と言葉を交わしたときにぽろっと口にする一言に、どきっとさせられたり、妙にじーんと心に響いたりと、なんとも不思議な感覚を味わされました。
しかし、観終わってから、どの場面が良かったかな、と考えてみても、ぱっとは思い出せないくらいあっさりとした印象で、まさに、なんでもない、なんてことない作品だったのだな、と、変に納得させられてしまうような、とにかく、不思議な魅力のある作品でした。
老い
老いてきた父親と主人公を重ねて観ている自分がいた。毎日同じ事を同じ時間に決められた事のように儀式のようにする様子、偏屈な所など似ているからだ。だから切なくもなる。きっとまた10年後観れば感想と共感度は変わってくるだろうし、今は気付かない部分も見えてくるだろう。そう、また時間を空けて観てみたい映画だ。
アメリカ映画の底力
淡々と一人の老人の日常を映していくだけの映画が何でこうも惹きつけられるんだろう?一歩間違えると相当な退屈な映画になるとこを見終わった今もう一度味わいたい、もっと深く理解したいと思う。いい時間を過ごせた。
孤独じゃないんだよ。一人だよ。
老人になっても生きている人や人の老後の生活が気になる。特に人間性。自分も老人だが、いつも人の生き方からなにか学ぶものがあるかもしれないと思う。
『ラッキー』Lucky
監督:ジョン・キャロル・リンチ
出演:ハリー・ディーン・スタントン
ハリー・ディーン・スタントンという俳優を全く知らなかったが、彼の人生の最後の作品として、人々に人生を考えさせるいい作品を残したと思う。
過去何度も共演したトム・スケリットたちが出演するから、ハリーもでないかという形で、ハリーに聞いたらしいが、この作品はハリーのために書かれたもので、ハリーが出てくれなかったら、映画になっていなかったと脚本家が(Logan Sparks/Drago Sumonja)話していた。ハリーの趣味やできること,習慣などを含めて作品にしたと。
頑固な老人(一般的に老人になると頑固になる)が少なくても社会と係わって生きている。孤独じゃないんだよ。一人だよと。
フレッド(トム・スケリット)が太平洋戦争で沖縄に上陸した時、みたものは、若い女性たちの身投げだった。笑を浮かべながら自殺していく姿を仏教徒だからといっていた
タイトルなし
疲れてるところで見に行き、寝てしまいました。
起きる度に喫茶店で話すシーン。
他はあまり記憶に残ってないです。
ここまで寝たおすのは久々で、それほど単調だったのかもしれません。
夏から気になってて、なんとか劇場で見ることができたのに残念...
ハリー・ディーン・スタントンの珠玉の遺作
昨年(2017年)の9月に逝ってしまったハリー・ディーン・スタントン最後の作品。逝く前の彼そのものを描いたのではと思わせる内容で深く感動した。
やはり彼に当て書きした脚本だったのですね。
まさにすべての映画ファンに送られた遺言であり、心のこもった贈り物だ。我々の心に宝物として刻まれた。
珠玉の作品であり、遺作にして「パリ、テキサス」とならぶ代表作となったことが嬉しくて仕方がない。
本当に何にも起きなかった。
ここでのレビューを一通り読んでから鑑賞しに行きました。
わかってはいたものの、本当に起伏のない、まるで亀が歩くようなテンポの映画でした。
でも、人の暮らしってそんなものかな。
何事もないことの方がありがたい。
老人は、転倒したことで、死生観を見つめました。
一人暮らしの老人でしたが、彼は自分は孤独ではないと言い切ります。
自分も独身なので、老後のこと、そしてそこに繋がるまでの今の生き方をちゃんとしなきゃなと、見つめ直すきっかけにはなりました。
全83件中、21~40件目を表示