ラッキー(2017)のレビュー・感想・評価
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意味深な雰囲気だけの作品。もう少し「老い」や「孤独」と言うテーマを突っ込んで欲しかった。
ハリー・ディーン・スタントンの遺作のようですね。90歳であの演技は素晴らしい。
ただ、肝心の作品自体はいまひとつ。よくある「人生とは何ぞや」というテーマを描いているのだろうけど、何となく意味深な日常シーンをダラダラと追うだけで、何か「この作品ならでは」の明確な哲学を語ってみせてくれるでもなく、山場もオチも無いままに「カメ」エンドへ(笑)。また、あのカメにしても、「老いてなお支配を逃れ、自由を求めよ」と言う陳腐なメタファーにしか見えないので、あのカメのエピソードはいらなかったな〜。
ハリー・ディーン・スタントン演じるラッキーは魅力的で、歳を取った孤独な「将来の自分自身」に重ねて見てしまう部分があるし、町の知り合いたちも個性的でキャラが立っている。アメリカの田舎町の雰囲気もすごく好みなのですが、ちょっと中身が無さ過ぎなのが残念です。もう少し「老い」や「孤独」と言うテーマを突っ込んで、何か「この作品ならでは」というべき哲学をひとつでも提示して欲しかった。
死を意識して見えてくるもの、ナッシング
すっかり老いぼれたラッキーは、毎朝身だしなみを整え、ダイナーでいつもの食事。クロスワードパズルとクイズ番組を楽しみ、夜はバーで常連客と語らう。ずっとそんな日課だったが、ある日失神して倒れ、死について考えるようになり。
ハリー・ディーン・スタントンの遺作。あれ誰だっけと思ったら、「グリーンマイル」「エイリアン」の、あの人か!お金持ちやタフガイのヒーローになることはないけど、偉大な名わき役。劇中の役は、髭をそり、髪をすき、ちゃんと服(ラフな格好ではあるが)を選び、シャンと歩いている姿は「マイインターン」を思い出しました。齢90超えて、まだまだ元気そうに見え、遺作になるとも思えませんでした。味のあるラストも良いです。
ダイナーで、ラッキーと大戦時の話をするフレッド役は、トム・スケリット。「エイリアン」のノストロモ号船長ではないか。まるで天国でエイリアンとの戦いを回想してるよう。
90歳の 味ある "スワンソング" ♪
90歳ハリー・ディーン・スタントンのまさにスワンソング(遺作)。 全編、味のある描写が続き、ゆったり進行にも関わらず見入るシーンが多々。
冒頭、このシーンをよくスタントンは撮らせたな・・ と感銘してしまう。 ブヨブヨと皮がだぶついた二の腕、しわの入った貧弱な上半身、に対して下腹部が出た老人特有の哀れな姿・・。 オマケに鼻からは鼻毛も出ている・・。
スタントンは特にハンサム俳優ではないが、カッコイイおじさんの一人として、数々の名演を残した一人。
「パリ・テキサス」「グリーンマイル」「エイリアン」等々
それが、もう飾る物はなにも不要なのか、老いれば皆こうなると諭しているのか、虚栄心など微塵も感じず、自らの醜い体を、平気で晒している。
と、見入るシーンから、ごく日常の行動が綴られる。 カフェでクロスワードパズルを楽しみ、夜は馴染みのバーで、顔見知りと語り・・。
何気ないシーンだが、年期の入った人物の行動は、なにかしら魅力があり、それが今作の見所になっている。
バーでの哲学的な会話はよく理解出来なくとも、彼がやや議論好きで、主婦の井戸端会議的な軽い会話にはあまり興味が増さないタイプと示しているようだ。
誘われた子供の誕生パーティーでは、予想外の"特技" を披露したり、親友を貶めていると感じたら、自分よりはるかに若い者に勝負を持ちかけたりと、なかなかスパイスが効いたシーンも多い。
そして、私が一番気に入ったのは、この作品の顛末に、人の死を利用していない事! 映画は、終盤に主要人物の死でその作品に重みを増している場合が多い。 私は安易な脚本に感じて、あまり好きではないのだが、今作はラッキーは勿論誰も死なない♪
そして序盤で、行方が分からなくなった物が、ゆったり・・・。
ラッキーの最後のシーンも、○○顔で締める。
私の様に、若手俳優には余り魅力を感じず、歳を重ねて人格が顔に表れた様な役者が好きな方には特にオススメ♪
尚、スタントンは今作を撮り終えて公開された年に亡くなっているので、まさに人生最後の大仕事。 おそらく本人は役者冥利を大きく感じながら演じていたのではないかと♪ 南無・・・。
頑固ジイさんの
作品といえば、クリントイーストウッドの運び屋を思い出す。
淡々とした語り口、起伏なく流れていくストーリー。
まさに、ラストに再登場のリクガメの時間軸。
情報やテクニックベタなテーマが多い映画が多い中、こうしたじっくり観る一本もよいなあ。
理解出来るのはもう少し先かな?
「レスラー」や「ジュディ虹の彼方に」みたいに
役柄に役者さんの人生が透けるって事があるけど、
これは最たるもの。
主人公と役者さんはそのままのような気がした。
1人っきりで生きて来たけど孤独ではない、
死を受け入れてるようだけど本当は怖い、
人に合わせるような人生は送ってない、
など役者さんそのままの考えがキャラに反映されてる
気がしました。
遺作になったと言う事で、
ラストのカメラに向かっての微笑みの深みが増した
漢字がする。
俺の人生は俺の物だったけど、
お前の人生は他人に握らせてないか?
って言われてるような気が僕はした。
人によって感じ方が違う気がするが…
ただ、この映画の本当の面白さはもう少し時間が経ってから
分かるのかな?と思いました。
会心のスマイル
クリントの「運び屋」もクセの強い年寄りだったが、こちらも負けてはいない。
紡がれる平凡な日々に潜む大問題。
やがて訪れる死と果たしてどう、向き合うのか。
描きようによってはいかようにもハードにできる物語は、しかしながらのんびり、静かにまとめられており、とにかく受け入れやすかった。
そうして密かに右往左往する主人公。
対峙する問題がこれまでの人生の総決算なら、注がれる英知も重ねた年令分だ。
終始、主人公視点ゆえ、高齢者の目から見る風景を疑似体験。
超省エネ出力にて端的に表される発言の数々が、のんびり物静かな物語に重く痕を残してゆく。
果てに主人公の得た会心の笑みは、誰もがお手本にしたいものだろう。
思うに子供と年寄りの日常は、共に未知なるものにまみれているのかもしれない。
十年後、また見てみたいと思える作品だった。
果たしてそのとき、自身はどう感じるのか。
仏教的な悟りへ
人間もここまで生きれば、おのおの色々なものを背負っているわけだけど、最終的に行き着く先は同じ、「死」です。
誰も避けることができないそれを、どう受け入れていくかというのは、本当に自分のこころの持ちようでしかないわけで、それはおおいに、自分を囲む人々に寄るところがある。
しかしそれが亀である人もいる。
デヴィッド・リンチの怪演が、正直一番の見ものであると思うけども、この「死」をいよいよ目の前に迎えた老人の話が、こんなふうにカラッと軽快に観られるとは、ファーゴの旦那さん、なかなかやりますね。
題材は違うけど「バグダッド・カフェ」を思い出した。
90歳の主人公、ラッキーの存在感がすごい。
頑固おやじかと思えば近所の人ともそれなりに仲良しで
淡々とした日常は地味だけど充実しているように見える。
一人だけど全然孤独じゃないし不幸にも見えない。
煙草吸いまくりなのにすこぶる健康。
だからこそ、逃れられない「死」に対する思い。
どんなに健康でも寿命には叶わない。
それでも、舞台となるメキシコ国境近くにある街ようにカラッとした
語り口なので全然湿っぽくならない。
良いもの見れたなあ、となれる作品だった。
テキサス🌵
『パリ・テキサス』が好きだったなら
絶対観たいと思うよね…
主演ハリー・ディーン・スタントンのその後、的な
映画というより彼のドキュメントだよ
死生観がなんたら…ってみんな言うけど
確かに彼の台詞は哲学的かもしれないけど
90歳の俳優のドキュメントだ
アメリカには憧れないけど
この辺の田舎のコミュニティーっていいな〜
メキシコファミリーのパーティでひと節
ヒスパニックの唄を歌うところで込み上げた…はぅ
UPLINK−cloud
目の前に迫る無
あるおじいちゃんが倒れたことを境に死を意識し、死に怖れながらも自分なりの迎え方を模索するお話。
死というものは無であり、どう抗っても来てしまう。
目の前まできた死には微笑む。それだけ。
ラストのシーンで踏ん切りがついたようだったけど物悲しかった。
この映画を完璧に理解するにはまだまだ若造なのかもしれない。
死に近づいたら必ず観返したい
この作品の味わい方はちょっと独特で、作品単体で完結しているものではなく、この俳優の人生や、役者としての歴史、演じてきた役者の人生や作品など、現実での時間の流れや人生の重みも込みでとても味わい深いいい映画だった。
自分ももういい歳だが、90歳のハリー・ディーン・スタントンの境地から見れば青二才もいいとこで、
いい意味で「この映画は、おまえなんかにゃ100年早い」と突き放された気分。ふふふ。
死ぬ前に絶対思い出して、観返したい。
生きる気力を貰ったというか、なんだろ、自分の人生まだまだこれから、やれる事あるな、という前向きな気分。
観てよかった。
エンドロール2曲目、彼のテーマソングのようでとでもいい歌詞でした。
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レーティング基準
★5 最高に気に入っていて、今後も繰り返し観るべき作品
★4 とても気に入っていて、また観返すであろう作品
★3 気に入っていて、機会があったら観るかもという作品
★2 いい映画だとは思うが、私はもう観ないであろう作品
★1 自分の好みでもなく、人にも勧められないと思う作品
★0 酷い、映画に対する侮辱、謝れ、観なければよかった
「nothing」
神を信じないラッキーはある出来事をキッカケに
自分自身の「今後」に目を向けはじめる。
永遠のものは存在せず、全て無に帰する死生観
など西欧的な考えよりも東洋的な特に仏教的な
考えは、どことなく共感が出来る。
穏やかで典型的なアメリカ中西部の情景は素晴らしく
今後も色褪せない作品なのはもちろん、
人生の節目で捉え方が変わってくるのを楽しめる
スルメ映画。
退屈な老人の映画?ゆっくりと流れていく人生の瞬間
アメリカの乾燥地帯の小さな村に暮らす孤高の老人ラッキーの人生模様をそのまま映画にした感じ。
ラッキーはいつだってやることは変わらない。序盤はそのルーティンから欠伸が出てしまうほど、退屈を感じるだろう。しかしゆっくりと落ち着いて観ていてほしい。そしたら、ラッキーの死生観を味わえるから。
映画は最後まで観ないと分からないと感じる作品であった。
パリテキサスに似てると思ったら
固定カメラ、左右対称、哲学的なセリフの一つ一つ、青い空、砂漠、これは若き日に見たパリテキサスにそっくりだなあと思ってレビューを見て初めて知った。
しかもこれが最後の作品だと。
これを撮影した監督のリスペクトを感じる良作。
胸がいっぱい
たぶん千本近く見てきて、
かなりとてもすごく好きな作品に出会えた
ハリー・ディーン・スタントン
懐かしい彼を、もっと知りたくなった
あのデヴィッド・リンチ
なんて優しい眼差し、盟友への思いもあってか
人生の後半を迎えているすべての映画ファンに見て欲しい
死にゆく者の祈りの言葉風に舞っている。
「パリ、テキサス」はいつか見た映画だ。でも、どんな映画だったかはまるで覚えていない。
スタントンの遺言なのか愚痴なのか・・・いずれにしても人の死に際は後悔の渦の中にに浮かぶ小舟のようだ。過去は変えられない。だから、先に進むしかないのだ。自分自身に対しての恨みつらみならまだマシなのだ。人に対しての恨みや怒りを抱いて死ぬのはやり切れない。最後の最後になって自分自身と対決するラッキーの姿は羨ましい限りだ。
もう一度君とやり直したい。白旗の振り方ならよく知っている・・・そんな歌を歌うラッキーの姿の美しさは90歳を過ぎなければ身につかないのかもしれない。
僕などはまだヒヨッコなんだ。
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