シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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シェイプ・オブ・マイ・ハート
今頃も今頃になってしまったけれど、
やあ、アカデミー賞作品賞&監督賞受賞、おめでとうございますです、デル・トロ監督。
『ミミック』の頃から彼のファンだったし、元々『パシフィックリム』のように日本の
サブカルを超リスペクトしてくれてる方なので今回の受賞はホント、素直に嬉しい。
まあ賞を受賞したからといって好みに合うかは人に依る訳だが、今作は個人的にも大満足の4.0判定です。
...
映像美と滑らかなリズム、まずはここである。
クラシカルで暖かみのある琥珀色に彩られた'60年代の風景。
幻想的な碧が印象深い、イライザと“彼”とのロマンスシーン。
デル・トロ監督作品はいつもいつも色遣いが美しいが、
今回の作品では特に琥珀色と深碧色が映えている上、たゆたうような映像
(監督曰く、水をイメージして常にカメラが静止しないよう意識したらしい)
と併せると、もうずっとこの流麗たる映像世界に浸っていたくなるんである。
モノクロテレビで流れるミュージカル映画や、今や見られなくなった華やかな
造りの映画館などノスタルジイを感じさせる小物の数々も利いているし、それこそ
『大アマゾンの半魚人』公開時期に近い年代が物語の舞台な訳だが、その時代の
風景・衣装・意匠も、神秘的で温かくロマンチックな空気に一役買っている。
...
そして魅力的なキャラクター。
脇を固めるキャストも好きだが長大になるので主人公たちだけに絞って書く。
ヒロインのイライザ。いわゆる美人ではないが――
椅子に座ったまま繰り出すタップダンスや窓を滑る雨粒をつうっと指でなぞる場面、
モップや卵で“彼”の興味を引こうとする場面等の、控え目だが愉しそうな笑顔が心に残る。
音楽やリズムを愛し、シャイではあるが剽軽にも振る舞える彼女は可愛らしいし、
言葉を発せられない彼女が必死で相手に気持ちを伝えようとするシーン2つには思わず涙。
そして、“彼”だ。
鋭い爪やヒレは恐ろしげだが、均整の取れたしなやかなフォルムは力強く美しく、時に神々しくすらある。
そのくせ大きく丸い瞳は猫のように表情豊かで、穏やかな時は愛らしくも見えるという絶妙なデザイン。
元居た土地では神のように崇められていたという“彼”。だが畏怖はされても、
イライザのように男女として、一個人としての愛情を注がれたのは初めてだったのかも。
「違う、私達は一緒じゃない」と、終盤でイライザは“彼”を引き離そうとしたけれど
(それは“彼”の為を想って絞り出した言葉だったけれど)、
棲む世界が違っても、同じ種ですらなくても、言葉も利けないままにこの世界に放り込まれた立場は同じ。
音楽や、ダンスや、茹で卵が好きなのも、ずっと寂しい想いを抱えて生きていたのも、
お互いに言葉も要らずに心を通せられることも、そしてなにより、心を通わせたいと願っていることも。
それならたとえ姿形は違っても、心の形は同じ。
ラスト、イライザは人魚になって幸せになったのか、それともあれは
画家がそう願って想像したハッピーエンドだったのかは分からない。だけど、
口の利けない人魚姫なら、言葉も要らずに想いの通じる相手と出逢えて幸福だったのは疑いようもない。
...
二人の共通の友人となった画家は“彼”に向かって呟いた。
「今の時代に合っていないんだ、我々は遺物だな。」
世間から忘れられ、弾き出され、傷付いたからこそ、同じように傷付いた者の
気持ちを理解して優しくなれる。アウトサイダーに向けたこの優しい視線こそが
まさしくデル・トロ監督の“味”であり、そして本作の堪らなく美しい点だと感じる。
<2018.03.01鑑賞>
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余談1:
アカデミー賞作品賞&監督賞受賞について。
個人的には、脚本の妙や役者のアンサンブルといった点では対抗馬
『スリー・ビルボード』の方が上手だったと感じたが、映像表現や美術面、
またクラシカルで落ち着いた味わいといった異なる魅力が本作にはある。
最近とみに思うのだが、同一競技ならともかくジャンルも作風も全く違う映像作品を横に並べて
「さァさ選びねェッ!」と決めるって割と酷な話。カレーとラーメンどっちが好き? てやんでェ!
どっちも食わせろィッ!って言う話ですよ(ジャンキーな食生活してるのかしらとか言うな)。
最近は『その年のベスト作品を知る』ではなく『面白い可能性のある作品を
まとめて知る』というスタンスでアカデミー賞を楽しませてもらってますです。
余談2:
「手を洗うタイミングで男が知れる……」じゃないよ!
カッコつけてないで手ェ洗いなさいよッ! バッチい!
愛。
どこか欠如していたり、コミュニケーション下手で、高圧的な人に虐げられがちな人間の真ん中の部分を描いた作品なんだろうなぁ。
主人公の自慰行為はリアリティを出すために必須だったと聞いたけど、そんなにリアリティはないよね、あの表現は…(・∀・)
色々突っ込みどころ満載だけど、愛はいろんなモノを超越する!
最後に、主人公の人魚さんは一度も名前を呼ばれてない。名前なんてただの記号で存在だけあればいい、ってことなのかな。
やらかしやがった of the year!
設定は昔でも、現代にも通じる差別と業の物語。
ヒロインの女優とは思えない地味っぷりが後半になると芥子の花の様に毒を孕むのは「あーこういう事のためなのかな?」と思うほどで、あの怪物の肩越しの表情にはゾクッとした。
結局、怪物に名前は付けられなかったけど、世界に二人だけだったら名前なんか意味を持たないのかも?
……と、せっかく素晴らしい大人のファンタジーだったのにポスターやチラシを作った連中のアホ加減に愕然とした。
クライマックス「イヤイヤ!きっとハッピーエンドだ!イライザは生きてる!」とドキドキ見てたら「え?このシーン?え?は?ポスターの?え?オチをポスターにしたの?公式がネタバレ?」と一気に冷静に。
アホですか?センスを疑うわ!
この作品で宣伝に携わった人は全員、二度と作品のプロモーションに触るな!
切に、切にお願いします!
緊張するシーンが多かったな
サリーホーキンスが好きで見に行きました。
なんか緊張するシーンや気持ち悪いシーンも多く、ウヘェーとなり。
その中にミュージカルシーンがあっても、その真逆のシーンのインパクトが強くて、「どうしたらいいのかな?σ^_^;」という気持ちになってしまいました。
ストーリーはダメじゃないけど、これファンタジー?
私には、バイオレンスサイコスリラーラブロマンスでした。
あと、主人公が彼を好きになる理由の描写が弱い。
ゲイのおじさんがゲイというのもわかりづらかった。
見る前の予備知識でわかったけど。
もう、この監督の作品は見なくていいかな。
でも、サリーホーキンスはやっぱり魅力的でした。
そういえば、ドアにバスタオルでお部屋が水槽状態は、パディントンから学んだのかな?と思いました(о´∀`о)
まさかコメディー?笑っていいのか
これ、コメディー??
笑っていいの?
主人公女性の遅刻で横入りする厚顔無恥と、ほとばしる性欲。
半魚人が日本の仮面ライダー●●シリーズレベルのキャラクター性。この二人のぶつかり合う性欲の物語?
アマゾンの半魚人どうやって連れてきたんだよって。
ご都合主義もここまでくれば、B級超えて、z級。
なにもかも、スムーズ、問題なしで進む掃除婦の探検。
なんで卵好きって知ってんだよ。
あんなでかいレコード音にも気が付かない周囲の研究者達。
国家機密に低レベルセキュリティーで掃除人が出入り自由。
なぜか主人公にみんな夢中、仕事サボってばかりの掃除婦モテモテ。
無駄な暴力シーンとセックスシーン。
土砂降りの中電気棒炸裂!感電しませんでした?
敵役は家に帰ればマイホームパパ。
この設定要る?
突如踊りだすが相方の半魚人卵に夢中、借家水びたしも全く気にしない、ハート強すぎ主人公。
高度な治癒能力も、隣人の禿げ治して終了。
食われてくっつけた指も、包帯真っ白ってことは医者行ってますよね?あんなに真っ黒になって放っておくって医者変えたほうがいいよ!
べたな突っ込み多すぎて、吉本新喜劇みたい。
久々の駄作。35点。
ファンタジーというにはつらい
スプラッシュそういえば、可愛い映画で大好きだったなあ。
そういうファンタジーかというと、あまりに血まみれで、暴力的シーンが多過ぎて、もう、つらい。
R15指定にしたのは正解だった。
古きよきアメリカの時代で、インテリアとか、ファッションとか、いちいち素敵なんだけど、ああこの頃はまだ、パワハラとかいう言葉とかないんだっけ、思いっきり上司や権力が威圧的、戦争してる頃だしなあ、とか思ってしまったり。
なんなの、テーマ的には、エレファントマンだとかみたいな、形とか言葉でなくて、こころや魂が通じ合えば愛しあえる、みたいな?美女と野獣もヒットしてたし、見ためゲテモノというか、そういうのがアメリカって、何故か多いのね?
なんかウルトラマンみたいでもあり。
しかし、時代は70年代でも、現代に作られたこの映画を観て、私にはアメリカって、病んでるなあ、という印象ばかりが残って辛かった。
アートといえる深さは感じなかった。
サリー・ホーキンスは良かった。あの刑事さん、日本の遠藤憲一さんそっくりで、似た俳優さんっているんだあと思ってしまった。
完成度高い
「え、サリー・ホーキンスかわいい!」と冒頭で思うのね、いままで予告編でしか観たことなかったから。そしたらいきなり脱ぐし、自慰はじめるしで心をつかまれんの。
「なんで口きけない設定にしたんだろ?」と思って観てたんだけど、謎の生物が出てきて納得すんのね。そういうことかって。
そこからは基本「愛は全てに勝る」って話。黒人差別やゲイ差別も入れてきたり、パワハラ・セクハラあったりするけど、本筋とそんなに関係ない。
あとは比喩的表現の使い方がうまいの。「成功者の車、あなたの車です」ってキャデラック買わせといて、謎の生物盗み出すときに壊されちゃうとか。主人公の部屋が探索されて「カレンダーでばれちゃうんだ!」ってやってみたり。
役者さんはみんなうまいし、脚本は丁寧だし、完成度高いね。差別の話や愛の話で難しい話もできそうだけど、単純にエンターテイメントとして面白いの。良かったよ。
相手を選ぶ
この映画は観に行く相手を選びます。
それを知って行くべきかと…
友達以上恋人未満だと、もしくは付き合いたての
まだ…っていう相手と観に行くと序盤から
非常に気まずいシーンがございます。
私は思わずギョギョッとしてまって
映画を観た後で感想を彼と話す時に
アダルトリトルバイオレンスディズニーと
伝えたら笑われてしまいました!
そして序盤のアダルトなシーンを見て目を丸くした
私に気がついたようで、驚いてたねと言われて
それに返す言葉の正解が見つかりませんでした。
だって突然アダルトすぎるし、そのあとグロいし
でも女性の首の傷がエラになるハッピーエンド!
むしろ露骨な描写があると知ってたら他の作品を
選んでたよね?!と確認したくなってしまった。笑
ちなみに途中で相方はトイレに立っていた…
私も終わった後で長いと感じました。
あのセクシー描写は監督の個人的な趣味?
とまで思ってしまう悪役の手を食いちぎられた
男と妻とのセックスシーンは必要だっただろうか…
まぁとにかく声を失ったアダルトな人間アリエルと
ゆで卵で胃袋を掴まれた手話のできる人魚王子は
めでたく一緒になれたわけですが1800円は
ちょっと高いかなぁ…でも音楽は良かったです!
ちなみに猫食べられた隣の部屋の良き友も髪の毛を
気にしてて、カツラってワードが出てきますので
それも観る相手を選びますので、ご注意ください。
これから鑑賞される方は、相手を選びましょう。
会話をしない愛の形
声を出せない主人公に対して、身の回りの登場人物は声を出してコミュニケーション出来るにもかかわらず、無口な夫に呆れる友人、業務的に性行為をする上司など、皆孤独です。その中で半魚人と主人公は心を通わせます。よく「これは〇〇よ!」と言葉で教えて通じ合った気になってしまうことがありますが、身近にない手話でコミュニケーションを取ることで、本当に通じているのか?理解出来ているのか?と、コミュニケーションエラーを疑ってしまいました。普段使い慣れた言葉でコミュニケーションをとることで、相手に自分の真意が伝わっていると信じている事実に気づき、ハッとしました。
最後に主人公の首の傷が半魚人の能力によりエラになりましたが、半魚人の能力は傷を癒したり、元の姿に戻すことなので、もともと主人公も半魚人だったのでは?と思いました。
途中で半魚人は衰弱していましたが、理由が分からず、しかも後半にはピンピンしていたので分かる人がいましたら教えて欲しいです。
サリーホーキンスはかわいい!
美女と野獣的なロマンティックなお話だとテレビで紹介されていた気がしましたが、ぜんぜーん違います。R15指定でしたがR18指定でも良いくらいグロテスクで性的です。心の準備をしておかないと序盤から度肝ぬかれてしまいます。
最後は所謂ハッピーエンドでしたが、あれで主人公は幸せになれるのでしょうか?
主人公が半魚人に恋をした理由は、半魚人の姿が美しい(見ようによる)ことと、言葉が話せないという共通点があることも大きいと思いますが、何よりこの主人公がかなり欲求不満なので相手してくれるならもう誰でも良かったんじゃ…
そして主人公への半魚人の愛はそこまで描写されてないので主人公の一方的な愛なのではないのか?本当に愛し合っているのか?この先ふたりはどうなってしまうんだ…ともう2日考えている時点で私はこの作品の虜になっているんですね〜、こんなに余韻の長い映画ははじめてだったので私にとっては心に残る作品になりました。
作中でも主人公のサリーホーキンスは美人ではないと言われてましたが、誰がなんと言おうと彼女は可愛くて魅力的な女優さんです。
わかりやすい。
話の流れがわかりやすいので見やすいのでは。謎といえば、あの水に浮かべる緑のやつは何だ?見た目てきに必要なの?くらい。あとはヒロインがちょっと年だなって思ってしまった。
お伽話
私はある程度健常な人間なので、メイン登場人物の気持ちを理解する事は難しいのだけれど、一見ホワイトカラーで何もかもを持っているような悪役の警備室長も、上の人から「まともな男になれ」と圧迫されている時の場面には得も言われぬ気持ちになります。本当は普通の人なんてどこにもいないのかもね、と思わされます。
ラストは二人は幸せだといいね!と6歳のギレルモ・デル・トロ監督に微笑みたい気持ち。
愛に包まれて生きる幸せ
まず印象深かったのが、計算し尽くされた映像美である。
終始、青緑色が至るところにちりばめられていて、レトロな音楽や雰囲気とも相まって、ずっと水の中にいるような、昔に戻ったような感覚に心地良さを感じた。ところどころ、直接的な姓描写や、グロテスクなシーンがあったにも関わらず…もしかしたら、誰もが経験したお母さんの羊水の中のような?そんな安心感が全編を通してあった。
また、ヒロインの気持ちの変化に合わせて、だんだん赤などの差し色が増していくのが、非常にお洒落で可愛かった。
何気ないひとコマも、そのまま静止画として切り取れば立派な構図になっていて、ストーリーを追うのと映像を楽しむのとで非常に忙しい二時間となった。
観ている間は気づかなかったが、常に3分置きくらいに何かしらの形で水が出てきていたらしい(ギレルモ・デル・トロ監督インタビューより)。
そして、ときどき聖書(サムソンとか)の内容があったので何か意味があるのかと気になったが、具体的な理由は見つけられなかった。アメリカはキリスト教の国なので普通なことなのか…?
「シェイプ…」は「愛」がテーマとのことだが、キリスト教も愛を説いているから、もしかしたら自然なつながりなのかも知れない。
ちなみにカレンダーの「10日」にも何か裏設定があるのかと思い探してみたが、イエス・キリスト復活のち昇天後10日の「ペンテコステ」くらいしか見当たらなかった。深読みし過ぎかな…?
魚人(謎の生物)と人魚(ヒロイン)の違いについても考えた。
最初のナレーションでヒロインのことを「声を失った姫」と言っているのがすごく気になった(日本語訳だが)。「姫」と言われれば人魚姫を連想するが、人魚姫の物語では、姫は声と引き換えに地上で歩くための足を得た。最後に、実は元々いた海に戻っただけだったのだかも、と考えてしまった。
最後に詠まれた詩、はっきりとしたフレーズは覚えていないが「愛に包まれながら、漂いながら生きる」だったか…?
美しいが、ちょっと夢うつつな、この世のものではない幻想的な印象を受けた。いつもあたたかな愛に包まれて生きていられたら、どんなに幸せだろう。
あるがままの二人に、名前は要らない
デルトロ監督の映画には、湿り気というものがある。
パンズ・ラビリンスにも、ミミックにも、そしてこのシェイプ・オブ・ウォーターも。
イライザの肌、バスタブに注がれるお湯、かき混ぜる指、茹で卵の煮沸している水、さらに踏み込んで自慰にふけたり性交するときの分泌液まで想起させる。
そういった生々しさを生理的に嫌悪する人もいるかもしれない。
でも私は、純愛ものでボカしがちな女性の性欲を生々しく描くことで、ある意味男性と対等な存在に引き上げた監督に敬意を抱いた。
また、何となく健常者が身体障害者に対して抱くイメージが「聖者のようにクリーン」であることが多いように思う。
パラリンピックなどのイメージがあるためだろうか。彼らの純粋な部分ばかりが前面に押し出されてしまい、性欲など超越しているかのような、はた迷惑な固定概念の押し付けをしている気がするのである(乙武さんの不倫騒動があったとき、世間が過剰に反応したのはそういう理由かも)
冒頭でイライザが自慰にふける場面をいれることで、それらの固定概念やステレオタイプのイメージをぶっ壊し、「あるがまま」の女性を描いたことは特筆すべきだろう。
イライザが半魚人に抱く気持ちを、とうとうと手話で説く胸を打つシーンがある。
彼女はあるがままを見てくれる彼が、かけがえのない存在だと訴える。
そこで気がついた。
イライザは、彼に名前を付けないのである。名前をつけるということは相手を自分のイメージに縛りつけることでもあり、何者であるかを制限することでもある。そして、あなたは私のモノだと宣言することでもある。
でもイライザは彼に名前を付けないのである。二人の関係には「私とあなた」しかなく、二人はまさしくどのコミュニティにも属していない「あるがまま」の存在なのである。これ以上の純粋な関係はあるだろうか。
この映画には偏見と差別が渦巻いている。
イライザを取り巻く親しい人々はみなマイノリティ。隣人ジャイルズはダイナーの若者に恋をする初老のゲイで、ふられた挙げ句相手は生粋の差別主義者であったし、友人ゼルダは黒人であることで会社で差別発言を受ける。
しかし二人はイライザに対して痛々しいほど誠実であろうとするし、真摯的である。
対して、ゲスの極み、ストリックランドという白人男の存在。
妻との性交のときに口を押さえる仕草は、弱き者の意見を塞ぐという独裁者への皮肉なのだろうか。
イライザらがせっかく掃除したばかりのトイレで小便を撒き散らし、手を二回洗うのは軟弱な男という持論を振りかざし、出世欲に取り憑かれ、独りよがりでマゾ。本当にゲスい。
人間性という点では、マイノリティ側の方がよほど優れている。人種や偏見にとらわれず、人間のあるがままを見よう、というメッセージかここでも込められている気がする。
最後、ストリックランドが引き裂かれた喉は、失われた声のイライザの痛み。そしてイライザの傷は「彼」の力で生きるすべとなる。彼女の傷はこのためにあったのかと、みごとな布石にため息がでた。
傷つけられた人々はそれを糧にして、立ち上がる強さを持っているぞ、というデルトロ流の人間賛歌なのかもしれない。
卵や緑などの隠喩、米ソ冷戦とミュージカル黄金期の光と影、デルトロ監督が敬愛する怪物映画へのオマージュ、様々な要素で成り立つ多重構造。
そして、クリーチャーと人間との純愛というリスキーな物語を、上品かつ生命力溢れる映画に仕立てた手腕に脱帽。
展開はわかりやすいが、賞を取るのもうなずける。
ハンギョドン
意味のない露骨なセックスシーンがあって下品だ…と指摘されている方もいますが、それは少し違います。
ハンギョドン(by Sanrio)とイライザの美しい(とする)セックスとの対比として、悪役とその妻のあのベッドシーンがあるのでしょう。むしろ見処じゃないでしょうか。冒頭の自慰シーンもそうだし、絵描きの同居人や清掃の友人、悪役とも、随所に卑猥なセリフが出てきます。
そうですこの映画は、セックスこそがテーマなんです。それを下品だと批判しても、そういう映画なのだから仕方がないです。
オスカー受賞のファンタジー作品と謳われてますから、それ目当てに見に行ったら気分を害するのは無理もないですけどね。
こんなになってるのは、ギルトロさんのコンプレックスから?とか疑っちゃいますね……
さて、私の率直な感想としては、以下のとおり。
異種性交!昭和の時代に祭りで見た「見世物小屋」を思いだしました。
ラストはターミネーターばりに強くて、自分でサっとなでて銃創をなくしたり出来るのに、お風呂で弱ってしまうとは意外。
ギルトロさん、拷問が好きなんですね。
あと、何かと顔へのいたぶりに固執してますよね。それは単に痛そうだからでしょうか。
パンズラビリンスからあまり代わり映えしてないようです。ラストも、撃たれて死ぬけど別世界で生き返る。一緒です。
それでも、最初の30分くらいかな、ザ・フライのポッドに似た水槽が出てくるあたりまでは、特に同居人とのシーンなんてとても良かったし、おぉ これはもしかして良いんじゃ!?って期待しちゃったんですけどね。
それこそ、いっそクローネンバーグが監督したら良かったかもしれません。
半魚人だけに難しいですが、愛を育む過程に無理があるので、感情移入がしにくいですね。踊ってもダメですよ。
イライザ結局はやりたいだけなんだし。
これにオスカーあげるなら、ラ・ラ・ランドに改めてオスカーあげたらどうでしょうか?アカデミー会員さん。
去年はすいませんでしたって。
ということで、これだけコメントできるのだから、楽しめたということで良い作品でした。星2つ。
またやり切ないファンタジー?
アカデミー賞で監督・作品の主要2冠に輝いた訳だが、「パンズラビリンス」に感動した人なら当然の結果だと思える作品になっている。当時、外国映画でありながらアカデミー賞の主要な部門でノミネートされ受賞もした凄みは今回も十分に感じた。
二度観たが最も感心したのは脚本の素晴らしさ。特にファンタジーなのだから当然かもしれないが、個々の人物の設定がすごく判り易く無駄が無い。中心人物であるモンスター(当然語り部の言う)の嗜好がこの映画の肝になっていて、壊れ行く過程がヒロインと対比して、プリンスを中心に影響し合いながら心情的に真逆になっていく関係に時間を感じさせないスリリングな展開を構築している。
観終わっても直ぐには席を立たせない、個々に感じ入れる深みのある稀な名作だと言える。その判り易い完璧さに「パンズラビリンス」と同様に、今回は語り部である人物の病みオチに思えたのは自分だけだろうか。その場合、ヒロインは残酷な結末になる・・・
時代背景から現在にも繋がる黒人などの人種、障がい者、ジェンダー、の差別問題、軍事的な国際競争もあり、対立がテーマの傑作です。ファンタジーでここまで描けたのが凄い!差別、国際対立などは人間の本質として、奇跡でも起きない限り完全には無くならないのでは?と投げかけられているような気がする。
良作かどうかは微妙
冷戦真っ只中のアメリカが舞台の、話す事が出来ない中年女性と半魚人との純愛映画…と聞いて見てみました。
当時のリアルな描写・映画・音楽・テレビといったガジェットで懐古心をくすぐりつつ、手に汗握るアクションやサスペンス!そして話せぬ双方が手話で意思疎通する所から純愛に繋がる展開…そんな良い時に露骨に横槍を入れる性描写がドン引き要素。
純愛映画という触れ込みで、まさかボカシを入れながら腰振る場面を見るとは思って無かったです。
そして純愛映画という触れ込みで(2回目)、まさか主人公と恋する相手がヤッちまうとは…
おそらく性描写だけだと数分程度なんだが、それを入れただけで個人的に星マイナス2です…その数分を時間的なお蔵入りシーンと入れ替えれば、より良い作品になるんじゃないかと思った映画でした。
露骨な性描写が無ければなぁ
(´・ω・`)
ありのままの私を見てくれる
【シェイプ・オブ・ウォーター:おすすめポイント】
1.さすがアカデミー作品賞:映画の完成度が高すぎる(脚本・音楽・映像・キャスト)!!!
2.イライザ・エスポジート役サリー・ホーキンスと不思議な生きもの(彼)役ダグ・ジョーンズの究極の愛の形は凄すぎる!!
3.生きること=二人の愛。愛は万物のなにものよりも優ることを実感させられる!
【シェイプ・オブ・ウォーター:名言名セリフ】
1.イライザ・エスポジート役サリー・ホーキンスとの名言名セリフ
→「彼は不完全な私ではなく ありのままの私を見てくれる」
→「 彼を助けなければ 私たちも人間じゃないわ」
→「F・U・C・K Y・O・U」
2.ストリックランド役マイケル・シャノンの名言名セリフ
→「アマゾンの原住民は神として崇めてきた」
→「いつまでまともな男であることを証明すればいいんですか」
3.ホイト将軍役ニック・サーシーの名言名セリフ
→「宇宙にお前の形をした穴が空くぞ お前はここではない見知らぬ世界で暮らすことになる」
大人だけが見れるお伽話
「彼を救わないなら私達も人間じゃない」
かな?そんなようなセリフを言っていたイライザがかっこよかった。
あとは最後のシーンが特に美しかった。
観おわった直後はあっけにとられて、すごかっなぁ…で終わったけど、じわじわと思い出していい映画だったって思う作品。
レイトショーでひっそりと見るか、家で部屋を真っ暗にして、お酒を片手にしっとりと見たくなる。
ポスター「は」よくできている
ポスター「は」ね。
まさにジャケ買いというか、ポスターが素敵だったので観てしまった。
そこが失敗だった。
時間返せとしか言いようが無い。
自慰のシーンは後から人のレビューを見て気付いたくらい分かりにくかったのでまあ良しとするが、
大佐のベッドシーンははたして必要だったのか…。
その割に、何故より大切であるはずの主人公と半魚人の行為はしっかり描かないのかw
確かに主人公が裸でバスルームに入っていった時は、「ェ・・・・」という悪い意味の驚きはあったが、
そこまでやるならしっかりと半魚人との行為も描いた方が良かったのでは。
色々中途半端すぎる。
セキュリティが甘すぎることもそうだが、大佐は半魚人に指を噛みちぎられているわけで、棒で叩くくらいあまり極悪非道には見えないし、
(むしろあの大佐のキャラクター上、叩くだけで済んでいるほうが違和感がある。死なせさえしなければいいと、実験だとか言って手足をもぎとるくらいするかと思った)
顔が怖い割にそれほど絶対悪でもないところが中途半端。上から命じられて働いてるだけだし。
同僚の黒人女性は、やたらお人よしな黒人女性役でよく出てくる女優だが、いつにも増してお人よしすぎる。
黙って愚痴を聞いてくれたのが良かった、ということなのだろうが、にしたって協力的過ぎません?
ゲイの隣人は途中までは哀愁たっぷりでとても良かったが、いや飼い猫が殺されたんだぞ怒れよ!
彼は半魚人救出にかなり協力しているのに、恩を仇で返し過ぎ。何故それで怒らない。不自然。
最後まで悪い意味の「ェ・・・・」ばかりだった。
ポスターはカラーのものも白黒の方も綺麗でよく出来ている。騙された。
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