劇場公開日 2018年3月1日

「面白かったです。すごい映画でした。 物議を醸すべき、いろんな評を聞...」シェイプ・オブ・ウォーター 雨丘もびりさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5面白かったです。すごい映画でした。 物議を醸すべき、いろんな評を聞...

2024年1月31日
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面白かったです。すごい映画でした。
物議を醸すべき、いろんな評を聞いてみたくなる一本。

主人公イライザのヒロインらしからぬ外見(含:発声障碍)が多く取沙汰されていますが、私はヒロインらしからぬ内面の苛烈さ、身勝手さ、歪な人間性に惹かれました。
相手の都合も顧みず「手話を読んで!(私の主張を聞きなさい!)」と詰め寄り、激しい手ぶりで威圧的にまくし立てるシーンでは、つい(コイツ嫌だな/関わりたくないな)と思いましたし、
職場のクソ上司が読み解けないのを良いことにジェスチュアでF***と見せつけるシーンには、外国語で侮蔑されニヤニヤされたような不快感を覚えました。
記号的なヒロイン(内気で薄幸)ではなく、熱い血の通った人間として描かれているからこそ、賛否両論あって然るべき人物造形だと思います。
そのダダ漏れな情念が(文字通り)世の中に噴き出していくサマに、こりゃとんでもない映画だなあー、と唖然としました。

そして、内面に凶暴性を秘めた半魚人にシンパシーを感じ、慈しみを抱き、そして愛に変容してゆく。

そんな二人が惹かれ合う理由が不明瞭で、説明されないのもリアル。
半魚人と裸で抱き合い、眼だけでにんまり笑うイライザの胸中にざわざわしました。二人にしか分からない心情が滾っている。。。通じ合っている。

一筋縄ではいかない人物造形なのに、主人公と半魚人の恋愛に感情移入させていく手法が巧みなので「切ない純愛映画」と思えてしまう。
エンディングで示唆されている通り、観た人が頭の中でハッピーエンドに作り上げる映画。
(パンズラビリンス同様)デルトロ監督らしい観後感の映画でした。

マイナス0.5点分は私情。私は、自分の傷に触れられたくないので(^^;)、痛みや悲しみに触れあって愛が芽生えるっていうのがよくわからなかったから、その分気持ちが引いてしまいました。

雨丘もびり