「壮絶極まりなし」ブリムストーン masakingさんの映画レビュー(感想・評価)
壮絶極まりなし
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ダコタ・ファニング演じるエリザベスが、名前はジョアンナ、手話を使っていたのに喋ってるし聞えてる、と話がさかのぼるにつれて、なんのこっちゃ?と謎が深まる設定は、長い尺なのに飽きさせない仕掛けとして面白かった。
それを最後まで引っ張るわけでなく、途中途中でしっかり種明かしし、しかもそれぞれのエピソードでは、人間の果てしない罪深さと慈悲深さの交錯を骨太に描いている。
まさに捨てる神あれば拾う神ありの西部劇版といった様相であった。
自らの罪深い性癖を聖書の超訳で糊塗し、ひたすらに実の娘に執着するガイ・ピアース演じる神父のおぞましいこと!
劇中でキット・ハリントンが「おまえみたいな変態」と言っていたが、映画史に残る変態である。ついでに言えば、キット・ハリントンの物語からの退場の仕方も、映画史に残る期待外れであった。教会での登場シーンで、あんな姿の現し方したら、誰もが胸のすくような救出劇を期待するだろう。
若き日のジョアンナを演じるエミリア・ジョーンズは、将来が楽しみなスターだ。『海賊じいちゃんの贈り物』や『グランド・フィナーレ』での透明感溢れる役どころから、今回は一転して激動の少女期を乗り越える力強い演技を見せてくれた。同じく子役スターの花形として銀幕を賑わせたダコタ・ファニングとの共演は、自分のキャリアのよきロードマップとなっただろう。
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