「シリーズ最悪の超駄作」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け HirosHiさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ最悪の超駄作
EP8の時、レイが孤児だという設定は正直受け入れがたかった。しかし、なんとか2年間をかけて自分なりに飲み込んだのだ。これが新しいスターウォーズなのだ。「誰でもフォースを扱える」というメッセージを、ディズニーがラストの箒の少年に込めたのだ、と。
が、蓋を開けてみれば、パルパティーンの孫。なんという行き当たりばったりの展開。ならば、7、8と時間をかけて布石を打つべきだった。
さらに許せないのは、フィンの扱い。名もない一般人で、元ストームトルーパーの脱走兵という、シリーズ通しての成長を期待させ、シークエル3部作を引っ張るポテンシャルを秘めたキャラクターだっただけに、最終作まで脇役に留まったことは残念だ。
対して、アダム・ドライバー演ずるカイロ・レンは、初めはベイダーの足元にも及ばない中二病の引きこもり青年のようだったが、3作かけて深みが増していき、悪役でありアンチヒーローでもある、複雑な役になれたのは素晴らしかった。
が、孤児からの、いきなりパルパティーンの孫設定を追加された主人公レイや、
最後までキャラの定まらなかったエースパイロット、ポー・ダメロン、
ナイスキャラだったのに、ぽっと出のオッサンにその座を奪われてしまったハックス将軍、
いつのまにやら死んでいて登場しなかったキャプテン・ファズマ、
扱いの酷さはシリーズナンバーワンのローズなど、キャラの描き方が総じて雑すぎる。
ただでさえ、7、8の既存キャラを描き切れてないのに、ジャナだのゾーリだのプライドだのD-Oだの、誰だコイツ?みたいな新キャラを次から次へと誕生させたJJの創作センスには脱帽する(笑)
レン騎士団に関しては、言葉も出ない…。
多くのファンを世界中に持ち、映画史的にも名だたる映画の最終作が、中身のないものになってしまったことは悲劇以外の何物でもない。
企画段階から2年ごとと決め、見切り発車で作るのでなく、練りに練られた脚本を5年でも10年でもかけて用意すべきだった。レイア役キャリー・フィッシャーが亡くなったのだから、再考の時間はなおさら必要だったはずだ。
捨てられたルーカス案、首にされたトレボロウ案、どちらにしても今作より製作者のこだわりの詰まった、気概に満ちた作品になり得たであろうことは疑いようもない。
現ルーカスフィルムのトップたちは総入れ替えした方がいい。『マンダロリアン』を成功に導いたデイヴ・フィローニやジョン・ファヴローなら、既存キャラも大切にしつつ、新キャラたちを生き生きと描けたに違いない。