「前評判に比して良作だったが、やっぱり7~9の蛇足感を強く感じさせる。評価が難しい作品・・・」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 閑さんの映画レビュー(感想・評価)
前評判に比して良作だったが、やっぱり7~9の蛇足感を強く感じさせる。評価が難しい作品・・・
前評判ではえらく低評価と聞いていたのでどんなもんかと恐る恐る映画館に行ったが、単体作品および7~9の3部作としてはきれいに収まっていたと思うので、ディズニーからこの無理難題を投げかけられた監督の苦労が偲ばれる(笑)
7・8では伏線すらなかったパルパティーンと巨大軍団が急に出てきたり、このままディズニーランドでアトラクション化するのかな?っていうくらいワチャワチャしたシーンが連続する冒険パート、やたらトントン拍子にすすむご都合主義なストーリー展開、フィンが何を言おうとしたのかとか回収されなかった伏線、何の脈絡のないキスシーン、とアレなところは色々あった。が、レイが心を入れ替えジェダイ側に立ったあとのすっきり・キリっとした表情の変化、ラスト反乱軍の味方が一斉に現れるシーンや、レイのライトセーバーがレンに渡って殺陣するシーンとか要所要所アツいシーンはあったし、いい感じに3部作を丸く収めたので80点分くらいのよさはあった。
ただやはり1~9の9部作のラストとしてみると明らかに「コレジャナイ」。急に登場したパルパティーンはじめ、やはり1~6と7~9の間で断絶が大きくてうまく伏線が張れてないのはもちろん、9部作のラストならこれまでのキャラ全員登場みたいなファンサービスがあってもよかったのにオビワンもクワイガンも結局出てこず、ストーリーももっと壮大な物語のラストにふさわしい150点取れるものが期待されてたと思うので、やっぱり「コレジャナイ」という評価に落ち着いてしまう。
で結局SWシリーズとはなんだったのか?1~6を実質ダースベイダーの物語と捉える(特に私は)ならば、ダースベイダーがちょろっとしか出てこない7~9はスピンオフでしかないのでナンバリングにしてほしくなかった。アナキン・ルーク・レイのスカイウォーカー家の物語と捉えるなら、ダースベイダーとルークの壮絶な確執と最後に比べると、ルーク・レイの関係は半端な印象しか残らない。シスとジェダイの抗争としては、9のファイナル・オーダーの唐突感が抜きんでてるし、それ抜きにしてもシス(帝国の時も含め)側の割とあっさりやられてしまうグダグダ感といい、最後の黄色いライトセーバーが何を示してるのかもよくわからない。どう捉えるにしても1~6と7~9の間で断絶が大きくて、1~9の9部作とみるのは無理があるものになってしまっている印象。
なので、すでに7・8を見てしまったというなら「安心して9を見てくださいそこそこ面白いから」という評価になり、1~6しかまだ見ていないなら「7~9は見なくていいです」という風になる。7~9がナンバリングではなくスピンオフを銘打っておけばまだここまで叩かれなかっただろうにと思うとディズニーの罪は重い。これに対し監督はできうる限りの手を尽くしているのでそこは評価したいそこだけは。