「種まく人々」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
種まく人々
エピソード7での再起動以来、豊富なリソースを生かしてあっちゃこっちゃと種はバラまいたものの、最終的には王道のライン以外は強引に間引きしてしまったような実りの1作。
まあそれはディズニー傘下でのややこしい制作経緯を考えれば仕方ないのかも…
とはいえ作品愛に溢れたちょっとした目端の利かせ方や、質感を大切にしたビジュアル作り、細やかなフィルムスコアリングのおかげで少なくとも「間違いなく今スターウォーズをみてるんだ…」感はあったので、リアルタイム世代でない身からするとそれなりに幸せな時間でした。
目立つのはシナリオの突貫ぶり、力技を俳優の演技力+VFXでなんとかしてる印象。
不満をあげたらキリがありませんが、個人的に一番残念だったのは、ジョン・ボイエガ演じるフィンの設定。
せっかく画期的な「中の人」設定を生み出したのに、大きなストーリーの中ではうまく活かせず、本作でかろうじて対話の場面で小さく回収するというオチに(あの場面じたいは泣けたし、エピソード8でやろうとしたことへのささやかなアンサーでもあるとは思います)。
たとえば、あの集団の内部に蜂起があるとか、色々映像的に見せる方法はあったと思うので、
活かされなかったことが残念でならない。
逆にあの設定を入れたばっかりに、モブに過ぎなかったキャラが倒される瞬間に裏側を考えたり、幹部たちはどうやってこの地位に着いたのかしらん…とか、いちいち想像がふくらんでしまい気が散ること山のごとし。
つまり最終的には大枠の勧善懲悪に帰着してしまった構図からすると、単に邪魔なノイズとして足を引っ張ることに。
それもこれも、エピソード7の冒頭があまりにうまく、印象的過ぎたがゆえの影響でしょう。
なのにそれが結果としてマイナスに作用してしまったのがひたすら残念でならない。
とはいえ下手に深掘りして看板代わりのテンポのいいアクションがモタついては元も子もないので、仕方ないとは思うけど。
フィンはいいキャラだと思うけど、ちょっと罪作りだったなあ…