「毒にも薬にもならない」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け sakanaさんの映画レビュー(感想・評価)
毒にも薬にもならない
スターウォーズファンとしてはとてもエモーションな気持ちで観れたし、劇場での初回視聴時は随所の描写に感動することができた。
しかし、観終えて冷静に振り返ると、ファンの懐古心をくすぐる演出が満載な一方で、映画として何をテーマにしたいのか中途半端な印象だった。
結局、旧3部作のリスペクト以上の価値を創造できたかというと、そうではないと感じた。
このあたりは、今作の評価が評論家とファンとで大きく割れている通りだろう。
そういう意味では、(ファンからは酷評されがちだが)前作ep8の方がスターウォーズの"新作"としては適切だったと私は思う。
また、「今回の続3部作は何をしたかったのか」という点も、宙ぶらりんなまま終わってしまった感が否めない。
一部のファンは、「全てはep8のせい」という感想を抱いているようだが、私はそうは思わない。
確かに、ep7, 9の路線に徹底していれば、プロットとしては一貫していたかもしれないが、それでは旧作の焼き直しという枠を超えることは不可能であろう。
そうなると、わざわざ続3部作として製作する意味があまり無い様に思える。
むしろ、ep8の路線で3部作を展開した方が、"スターウォーズサーガの新作"としては意味があったのではないだろうか。
ともかく、今作の展開・オチも賛否両論だとは思うが、旧作へのリスペクト(と焼き直し)という意味では、今回のep9は良く構成された映画だったと思う。
そのあたりの演出は、流石J.J.、というのが素直な感想だ。
ただ、スターウォーズの新たな3部作の完結作としては、個人的に残念さが残ってしまった。