「全て終わらせる、は何を終わらせたかったのだろうか」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け RustyNailさんの映画レビュー(感想・評価)
全て終わらせる、は何を終わらせたかったのだろうか
あくまでも、どこにでもいるスターウォーズファン1人の所感として。
〇シークエル・トリロジーとして
今作EP9はSW続三部作の完結編として位置している。
一応の完結はみたが、果たして”三部作”として成立していたのだろうか。
EP7,8,9の三つで一つの作品であるはずだが、作品間のシナジーを感じられなかった。
ストーリーに一貫性を見出せなかったし、キャラクター達も右往左往していた。
これらの原因は、『リレー脚本』と明確に構想を決めなかった事だと思う。
監督達に非があるというより、複数の監督を起用してリレー形式で作品を作ることを決定した上層部に問題があったのではないか。
おかげでストーリーは歪となり、作品として何を伝えたかったのか、何を表現したかったのかがボケボケになったものと思う。
〇皇帝復活
冒頭でお馴染みのあらすじが流れたとき、まず目を疑った。
パルパティーン皇帝の復活である。例のあらすじでサクっと復活してしまった。
わずか数行の復活劇により、EP1~6の内容がとてもチープになってしまった。
アナキンはフォースにバランスを取り戻すことは出来ず、ルークも父親を助け自信の信念を曲げずに皇帝に立ち向かった事が、ほとんど意味を成さなくなった。
EP8の頃から悪役不足は良く言われていたと思うが、あまりに使い古された手法で、アッサリ復活させてしまったのは、どうなんだろうか。
EP8のスノーク退場も相当酷かったが、今回の復活も個人的には同等の酷さである。
最低でも、皇帝復活はEP8ラストでやっとくべきだったのでは。
〇総じて雑なストーリー展開
EP9のストーリーは「悪の皇帝が復活して銀河がヤバいから倒そう」という話だ。
前作EP8の内容が生かされることも無く、あらすじ復活した皇帝打倒が主軸。
前向きに考えれば「EP9単体でも楽しめる!」とも言えるかもだが、三部作の完結編でそれはどうなのだろうか。
もっと言えば、SWは40年以上の歴史があるのだし(良くも悪くも)
また、EP8の『やり直し』を如実に見せられた気がする。
なんだか別人かのようなルーク、レンのマスク修復、何物でも有ったレイなどなど。
SWを新しいものにしようとしたEP8の多くを否定していた。
EP8も全然好きではないが、三部作なのにも関わらずずいぶん蔑ろにされている。
「EP8ベースの展開の方が面白くなったのでは?」
と一瞬でも思った自分に大変驚いている。
結局SWは過去に縛られたままで、悪役も過去で、血筋が物を言う世界で、
出てくるテクノロジーや兵器も過去だった。
〇必要性に疑問のシーン達とご都合主義
例えば、3PO。シス言語を解読するため記憶を消去することとなり、
SWファン達の涙腺を多少刺激していた気がするが、あれは必要だったのだろうか。
何故なら、記憶を無くした後にアッサリR2が復元した。うーん・・・?
なんのカタルシスも無いし、解読出来なくても(結果的に)良かったのでは。
だってD-Oが何か情報持ってたし・・・
あとチューイも似たような感じで、退場かと思ったらすぐに再登場。
何か、無理やり旧キャラ達に役割を与えようとしているのかとも思ってしまう。
それぞれの展開にも厚みがなく、ずいぶんとご都合主義が展開されていた。
ファイナルオーダーのデストロイヤーとかね。バトルドロイド並みのポンコツかよと。
デタラメな連続ジャンプにピタリとついてくるFOタイファイターとか。
全体的にオマージュも多い。表面的にSWらしさを取り繕っているが、
「こうすればSWらしい」という感じでSWを装っているだけに感じられた。
〇結局は血筋だったのか
皇帝復活劇からの流れで、レイはパルパティーンの血筋でした!という話。
EP8は何だったのか。またしてもベタな展開である。
血筋が付与されても、私にはレイというキャラクターが良く分からなかった。
というか皇帝復活のお陰で、レイの血筋の意味が薄くなっている。
孫だから何なんだよ、という。例えば皇帝は復活せず、レイはパルパティーンの孫だった、ならまだ分かるしレイの存在感もグッと増すと思うのだが。
当初レイは強すぎ的な話があったが、その為だけの血筋だったのだろうか?
そんなレイが歴代ジェダイ応援団(アソーカはジェダイ枠でいいの?)の元に皇帝を倒す訳だが、ライトニングを返すだけ。
聡明で最強だったシディアスは何処に・・・
そしてラストの「レイ・スカイウォーカー」。いや意味は分かる。
『スカイウォーカー』は"血筋"から"象徴"や"記号"になったのだと解釈。
しかしレイが『パルパティーン』を拒絶したかのような印象も受ける。
ジェダイに必要なのは拒絶ではなく、受け入れた上で乗り越えることだと思ってしまう。
〇フォースマジックとライトセーバー
今作のフォースはそりゃぁ凄い。ここだけはEP8から引き継ぎ、より万能な魔法として表現されている。やりすぎはやっぱり良くない。
アナキンが暗黒面に堕ちてまで求め、得られなかったリザレクション。
輸送船をあっけなく撃墜したライトニング(皇帝は撃墜してなかったけど)
あと霊体が普通にフォース使ってましたね。
シーンとしてはグッと来たけど、あれはEP8でやるべきだった。
霊体があそこまでフォース使えるなら、皆霊体化して皇帝倒せば?みたいな。
フォースが万能かつ強力なのは構わないが、そうすると「ライトセーバー無しでフォースのみで良くね」みたいなことにも成りえるでしょう。
仮にも戦争とタイトルにあるなら、死者蘇生はちょっとアレでしょう。
なんでも程々が良いのかなと思いましたね。
あとライトセーバー。殺陣はEP8よりは良かったと思います。
ただ個人的に、レイは自身のセーバーを作成した上で戦って欲しかった。
結局過去に回帰したのであれば、セーバーを自作し修行を終えても良かった。
(闇落ちレイのダブルセーバーはかなり良かったのですが・・・)
あれ、アナキンのセーバーは結局なんでカナタの手に・・・?
大変長くなってしまいましたが、まだまだ思うところはあります。
また随分ズタボロに言ってしまいましたが、良い所もあったと思うし、
今後もSW作品を応援する予定です。
マンダロリアン楽しみ。
スターウォーズファンの1人です。同意するところが多くてついコメントしてしまいました。アナキンがダークサイドに堕ちた苦悩、オビワンがクワイガンや愛弟子を失った時の悔しさ、パドメがどんな気持ちで2人の子を産んだのか、ヨーダの名言の数々…SWの魅力は上げたらキリがないくらいの超大作。だからファンも沢山いる。今作ではSWの様々な魅力をいとも簡単に、結局SWってこんな話だったんですよ。とSWをよく知らない人から適当に解説されている気分でした。特にフォースについてはあまりにも雑に描きすぎです。ep7からすると想定内の残念感でした。そりゃあもちろん良いところもありましたが…
おっしゃるとおりですね。話がぶれぶれ、媚売りすぎて焼き直し、ご都合主義…。自分ではEP7~EP9はファンムービーだと思ってEP1~EP6までがSWだと思っています。