「J・J・エイブラムス監督の手腕が発揮された完結編」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け HALU6700さんの映画レビュー(感想・評価)
J・J・エイブラムス監督の手腕が発揮された完結編
ネタバレを含むtweetなどをTwitterのタイムライン上で目にする前に早々に観に行こうと思い、公開初日の12月20日(金)に、イオンシネマ京都桂川にてドルビーアトモス2D字幕版上映で鑑賞。
ネタバレを極力回避しながら、次より感想を述べさせて頂きますと、
前作Episode8『最後のジェダイ』でお話しの筋道を横道に逸らされて滅茶苦茶にされた上に、大風呂敷を広げられた状況下で、SWシリーズの監督に、Episode7『フォースの覚醒』に続き再登板させられたJ・J・エイブラムス監督の手腕が試された本作のシリーズ完結編でしたが、いろいろと難癖付ける古参ファンなどもいるようですが、Episode8『最後のジェダイ』のあんな無茶苦茶な状況下で続きを作るようにバトンを渡されて、あの内容で、しかも、ほぼ納得が行くラストシーンでまとめ上げた事を鑑みますと、もう本当に充分でした。
あのEpisode8『最後のジェダイ』を振り返り、極論を言えば、ルーク・スカイウォーカーとベン・ソロとの逸話のシーン、そして、様々な逸話を盛り込んだ本作の142分とを併せて、2章に分けて製作すれば良かったくらいに、今作の最終章では、あの前作のEpisode8『最後のジェダイ』の内容をも活かした上で、足早に色んな逸話を盛り込んで完結編としても整合性のあるお話しにしようと思ったら、あの筋書きの内容で精一杯だったのだと思います。
今作は世界的にも(特に中国市場などでは)興行的に苦戦しているらしいですが、それは前作のEpisode8『最後のジェダイ』の出来映えに失望してしまったファンが多かったからかも知れないですが、そんな中、今作は、完結編に相応しい本当に良く出来たお話しでした。
レイが、いったい何故にあそこまで強大なフォースの力を有するのか、いったい何者なのかといった、その理由や出自も今作で明らかになります。
最後の台詞のシーンに至っては、SWシリーズのスカイウォーカー・サーガの最後を象徴するシーンで実に良かったでした。
Episode7『フォースの覚醒』以降からすると、一見すると、あたかもレイを中心とした続3部作と思われがちですが、あのダースベイダー卿の孫であるカイロ・レン(=ベン・ソロ)の苦悩を描いた続3部作とも言えるシリーズでもありました。
今作でドロイドのC-3POが「最後に、友の姿をこの目に焼き付けておきたいのです。」と語る台詞ではないですが、私たち観客も、いつまでも焼き付けておきたいシーンが沢山盛り込まれていた最終章になっていたかと思います。
例えば、今作から登場する新たなドロイドのD-Oを併せて、レイ、フィン、ポー・ダメロン、チューバッカ、C-3POに、BB-8とで、計7名の勇姿はあたかも『七人の侍』のオマージュ的な演出だったのかもと思えたり、また、ポー・ダメロンの元仲間で、今作からの新キャラの運び屋のゾーリ・ブリスなどの活躍も見どころでした。
勿論、旧三部作から再登場のミレニアム・ファルコン号の元船長のランド・カルリジアンの活躍も私達オールドファンにとってはかなり嬉しかったです。
また、レイア・オーガナ将軍役の故キャリー・フィッシャーの急逝により、今作の脚本も大幅に修正せざるを得なくなった訳なのですが、しかしながら、何よりも、レイア・オーガナ将軍の出演シーンは決してCG技術で再現するような事はせずに、故キャリー・フィッシャーが生前のEpisode7『フォースの覚醒』に出演した際に未使用だったフィルムを活用し上手く繋ぎ合わせて、お話しを上手く完成に結び付けた点も、実に素晴らしかったでした。
主題は、フォースの力の<光と闇>は<血筋>よりも<強い絆>に由来するとも言うような展開で、旧三部作(EP4~6)、新三部作(EP1~3)を通して、SWシリーズのスカイウォーカー・サーガに一貫しているお話しの流れとしても整合性を保つことが出来ていて、非常に上手く仕上げてあったと思いました。
私的な評価としましては、
よくぞあのEpisode8『最後のジェダイ』の状況下から、単体の映画としても成り立たせて、且つ、新三部作(EP7~9)の最終章として、また全9章のシリーズ完結編としても上手く成立させる様な話し運びにした力量は凄いと感服しましたし、J・J・エイブラムス監督の手腕が見事に発揮された完結編として、42年に亘る壮大なSWシリーズのスカイウォーカー・サーガを無事に完結に導いてくれた監督はじめ関係者各位を労いたい気持ちと、ただただ感動と感謝の気持ちでいっぱいでした。
従いまして、前作で広げた大風呂敷の伏線が多少回収しきれていない点や、今作が足早に展開しすぎな面など気になる点もあるにはあったのですが、細部に囚われすぎて、「木を見て森を見ず」という諺(ことわざ)の様にならないように、シリーズ全9作品の全体を通して、俯瞰的に見れば、実によく出来た整合性の採れた完結編になっていましたので、あえて文句を付けることなく、五つ星評価的には、満点に相当する★★★★★(5.0)の評価でも相応しい作品だったと思いました次第です。