枝葉のことのレビュー・感想・評価
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主役が実在の人物にしか見えず、凄い役者が出てきたなと思ったら監督自...
主役が実在の人物にしか見えず、凄い役者が出てきたなと思ったら監督自身だった。こういう私小説的な映画は退屈することが多いけど、この映画は最後まで面白く見た。彼が何をしでかすか分からない、何を言い出すか分からないことが緊張感の持続に繋がっているからだと思う。
不穏の蓄積に緊張する
主人公は歩き、タバコを吸う。せかせかと歩く姿が印象的だ。発散するものは乏しく、負のエネルギーが蓄積されていく様を淡々と見続けることになる。
実に不穏だ。しかし、この鬱屈とした空気を表現するのも映画としての正しい在り方だろう。
隆太郎の、そして何かを蓄積し続ける我々の爆発を予感した。一触即発だ。
すごい良かった
誰かの日常をのぞき見しているような、それでいて自分の人生のような、不思議な感覚になりました。
無意味な言葉で間を埋めない隆太郎だから積もり積もったものがあるんだろうな。
主演の二ノ宮隆太郎監督のあの歩く姿が頭から離れません。
優しさの映画
チラシをみて北野映画のようなチンピラ映画かと思いましたが、過剰な暴力表現は一切なく、一人の人間の心の揺れ動きにしっかりと寄り添った作品でした。どんな人間にも人を想う気持ちがあるのだということ。それ自体は瑣末なことかも知れませんが、世界を肯定するための一要素になり得ると私は感じました。
「私」の先にある普遍
「人間を描く」という点において、ここまで真摯に対象(しかもそれは監督自身である)に向き合った映画作品を私は他に知らない。
暴力的なようでいて優しく、わかりづらいようでシンプル。
人間とはそんな矛盾を抱えた生物であり、映画はそれを捉えることで普遍性を獲得し得るのだということに衝撃を受けた。
全編手持ちカメラで1シーン1カットの手法を選択したことについて、監督は「人間の目線は常にブレていて、カット割りも存在しないから」と答えていたが、徹底したリアリズムへの志向がその言葉からも感じられた。
はじめてのレビューです。
商業映画しか見ない私にとってとても衝撃的な映画であったため、レビューをします。
大切な人が近い未来、亡くなると知った時、人はどのような行動をとるのだろう。いつからリアルになり、いつから思い出を取り戻そうとするのだろう。
現実は映画の主人公のような奇跡は起きないし、感動のクライマックスにもならない。
生きるために過ぎていく毎日に逆らう決意も無ければ、その人に寄り添い続ける勇気もない。けれど、亡くなる人が大切なのは事実で、亡くなることも事実。
大切に思う気持ちを伝えたい思いと、残された時間との葛藤の中で、平凡とも言えない堕落にも近い生活をしている1人の大人が経験した、経験せざるを得なかった三日間。
私にとって、どこかこんな世界があったらいいな。と思うための映画が、枝葉のことでは私の思い出と経験を思い出させ、自分の人生の後悔をよみがえさせられました。どこか物足りない毎日を送り続けている人には胸を抉るメッセージが詰められていると思います。
他人にとっては枝葉のこと。二ノ宮隆太郎にとっては違う
公式サイトにある山下敦弘監督のコメントが一番しっくり。
良いとか悪いとかじゃなく、いろんな説得力に満たされた映画だった。とにかく画面に釘付け。主演の佇まいが“一人初期北野映画”のようだった。
本編ではほぼ何の説明もないので、あらすじを読んでから観るほうがいい監督主演作。脚本と編集も役名もそのままなので私小説を映像化ということか。
横浜市二俣川が舞台で自身の父親までそのまま出演させるとは。
二俣川がどんなところなのかよく分からないが、乗り換えはするが関内まで20分と隆太郎がめんどくさがるほど郊外でもないような。
ただ劇中に駅はまったくでてこない。
道路の感じからすると昔からある住宅街という雰囲気。大きな道も出てこないのでさほど便利そうな街にもみえない。
飲んだくれている立ち飲み屋「国民酒場じぃえんとるまん二俣川店」は実在する。
底辺に生きているが27歳だけに人生を諦めているわけでもないが一応周りとも付き合いながら、それでもお前らとは違う!と腹の中で考えているのがたまに口をついて出てしまう。
服装こそヤンキーっぽいが鬱屈した感情を暴力で爆発させるでもなく理性的、知的な部分もみえる。おばちゃんのおかげか継母のおかげか弱者に優しくする一面も。
おばちゃんを亡くしもっと前に母を亡くしいよいよ疎遠になった父しか肉親がいなくなった隆太郎が父親に投げつける言葉が自分に返って来て痛い。
大人になって親に「昔あんたにあんなこといわれた、あんなことされた」となじるのはやっぱりよくないなと思った。
親も完璧じゃない、完璧な大人が親になれるわけじゃないと大人になると分かるのだから。
ちんこもさらしセックスも自慰寸前までもさらして自分の人生を枝葉のことと銘打って映画化する度胸に感服。
何もないといってしまえる中身なのに114分飽きることがなかったのが才能ってことなのか。
次にどんな映画を作るのか気になるがハードルが上がりまくってるだけに・・・
パブスナック絆の2人の女子が良かった。
おばちゃんまで本人が出てるのかと思ってビビったが女優さんでホッとした。
自戒
地元二俣川の自動車整備・解体会社に勤める27歳独身の無口な男の話。
あらすじを読んでいないとおばちゃんとの関係性の設定は判らない箇所多数。
口数は少なく偏屈で、結果としてはそうじゃないだろうけど元ヤンキーみたいな主人公と周辺人物の日常を観察している様な印象のつくりに、いつの時代の何処の田舎の話だよと突っ込みを入れたくなる様な登場人物達。
幼なじみは別としてこんな主人公と一緒に飲みに行きたがる心境がわからない。
結局何も為さないしスジが通っている訳でもないし、人間性に疑問を感じるし、魅力的なところもなく…
だからこそ、たまに感じる自身と重なってみえる部分や共感をおぼえる部分が良い意味で不快に感じた。
性に合わずただ不快なところの方が圧倒的に多かったけど。
全てがムダとはいわないが、淡々とムダなシーンの垂れ流しが多いし、映像の荒さがちょっと辛いし、色々と物足りなく感じた。
うん、評価が低いのもわかります。 もっと切れるんじゃないか? 意味...
うん、評価が低いのもわかります。
もっと切れるんじゃないか?
意味わからん
テンポが
わざとブレブレさせるカメラが不快
ものがたり自体が不快
自己満足映画か?
と私も思う。それは否定しません。
ただ
境遇は違うけど自分のこと言われてるみたい、自分を見てるみたい。
まるで製作者が自分の魂を削り出して作ったような圧力を感じました。
だから映画評論家でもなく、自分でみてみたい映画しか観ない、映画の技術とか知らない私の付ける評価は5/5星
凄い!
カメラワークや音楽を一切使わない演出がダルデンヌ兄弟の作品のようでした。監督本人が演じている主人公のキャラクターが、絶対友達になれないタイプだが、映像では、ずっと見ていたいタイプだった。次に何するんだろうと、行動が読めない所に魅力を感じました。
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