「トモエの心の揺らぎ」点(2017) R41さんの映画レビュー(感想・評価)
トモエの心の揺らぎ
タイトルになっている点とは、ホクロのことだろうか?
このホクロは過去への回帰点であり、トモエとタカシの高校時代へと記憶へと誘う。
心が揺れ動いているのはトモエで、つまりこの物語はトモエの心の揺らぎを描いたものだろう。
母の言葉にもあるように、最後の晴れ着というのは、30代最後を意味しているのだろう。
トモエは独身で、不倫相手の都合いいようになっている自分に辟易している。
友人の結婚式に着る着物のために、うなじを剃りに出掛けた先が、タカシの床屋だった。
もう10年以上会ってなかった高校時代の彼氏
トモエはもう一度前髪を切ってもらう。
そこには過去との決別と、もう失敗しないという決意があったのだろう。
トモエの家の鏡と同じステッカーが、彼のトイレの鏡にもあの時と同じで貼ってあった。
その一部が剥がれ、時間の経過を思わせる。
「じゃあ」という言葉に残された余白
少しぱっつんぱっつんになった前髪は、当時を彷彿とさせたのだろう。
自転車で帰る彼女の表情は別れの時のこわばりが取れて、前向きになってエンドロールを迎える。
点とはホクロであり過去でもあったが、同時に今のこの時点を指している。
一旦過去に戻ってリセットされた気持ちは、この時点から明るくなってゆく。
トモエはまた新しい自分自身を見つけていくのだろう。
不倫を終わらせ、心の不安定さから解放されるのだろう。
とてもいい作品だった。
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