劇場公開日 2017年9月23日

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「「静」に宿る人間味、石川慶監督のポテンシャルを垣間見る」点(2017) たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「静」に宿る人間味、石川慶監督のポテンシャルを垣間見る

2021年7月10日
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鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

『Arc』も観たので、せっかくなら石川慶作品を観よう、ってことで鑑賞。短編とは言え、私はもっと観たかったですよ。

この監督さんの特長として、画の静けさに反するような音楽との調和がかなり魅力的。この作品も、全体的に「静」が強いのに、確実に心を動かされてしまう。

山田孝之と中村ゆり。ほぼ二人芝居だが、床屋に詰まる歴史や甘酸っぱい過去の思い出が時折顔を見せる。そして、知らない顔も一緒に…。居心地の悪さを飼い慣らしていくように、いつかの思いを巡るように、雪解けしていく様はどこか惹かれる。

やっぱり派手な世界観に落とし込んで作るより、心の小さな毛玉を取るような作品の方が、石川慶作品は面白く感じる。だからこそ、『愚行録』のようなサスペンスに、『蜜蜂と遠雷』のようなドラマ、『Arc』のような空想的ヒューマンドラマを作れるのだろう。そんなポテンシャルを垣間見れるような作品で面白かった。

たいよーさん。