希望のかなたのレビュー・感想・評価
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カウリスマキの覚悟ゆえに淋しい
もともと貧困や格差の問題を作品に織り込んできたカウリスマキだが、前作『ル・アーブルの靴みがき』で難民の問題に正面から取り組んだことで、完全にスイッチが入ったように思う。『希望のかなた』は前作よりもカウリスマキ本来のテイストが強い作品に思うが、同時に難民の現実をきちんと描くことなくこのテーマは扱えないと覚悟を決めたに違いない。
とぼけたユーモアともの悲しさと確固たる人生哲学がカウリスマキの特徴とすれば、今回の映画はリアルな社会問題をみごとにカウリスマキの意匠に落とし込んだ。その点では『ル・アーブル』より完成度も純度も高いカウリスマキ映画だと思う。
しかし、だ。その完成度の高さ故に、今後はカウリスマキというフィルターを通して灰色がかったファンタジーを眺めるあの感覚は味わうことができないとも言える。カウリスマキの覚悟には感嘆するし応援もするが、はかない夢のようなカウリスマキの世界で現実逃避をする愉悦は過去のものになった。そうさせてしまったこの世界と自分たちを憎む。
揺れる世界を描きつつも、いつもと変わらないカウリスマキの視座
かつては、カウリスマキの新作が劇場でかかるたびに「彼はいつも変わらないな」とニヤニヤしながら心でそう感じる自分がいたが、この映画にはこれまでと同じような「変わらなさ」と共に、あのマイペースなカウリスマキ監督からは想像できないようなグローバルな視点が介在しているのに驚かされる。かくも彼が紛争や難民についてこれほど深く視点を注いだことがこれまでにあっただろうか。
本作は決して夢見がちで希望や感動をもたらすことはない。だがその代わりに、物語が展開するごとに小さな化学変化が絶え間なく生じているのに気づかされる。あの行方不明の妹を救いたいとする主人公の思いや、仏頂面の登場人物たちがかすかに見せる優しさ、心遣い。それらが一つ一つバトンを繋ぐように社会を織り成していく視点が尊く心に響く。今回もカウリスマキは観る者の心に仄かな火を灯して去っていった。あのラストの向こうを切り開くのはきっと我々自身なのだ。
難民問題にユーモアと人情で切り込む
カウリスマキの新作は、前作に続いて難民問題というシビアな題材を取り上げているが、いつもの彼流のユーモアセンスと人情劇で、温かな気持ちで観られる秀作になっている。
不法滞在となったシリア人青年を、無条件で自分のレストランに雇い入れる主人公。警察の手入れの時も、従業員たちも何も言わずに協力して彼を匿う。なぜ彼らがそこまで親切なのかの説明はひとつもない。ただ、そうすることが人間として当然、と言わんばかりに。
唐突にレストランを日本食に改造するシーンは爆笑を誘う。本筋のストーリーに必要なさそうにも思えるが、無駄のある笑いも心地よく感じさせるし、監督の日本愛を感じる。
わびさび感じる寂寥感に独特のテンポのユーモアも健在。シビアな欧州の難民問題に、笑いと人情で立ち向かう監督の姿勢がとても素敵だ。
シリア人の青年が、故郷を追われ、生き別れた妹を探していて、たどり着...
シリア人の青年が、故郷を追われ、生き別れた妹を探していて、たどり着いたのがヘルシンキ。
いい人のいい国だと聞かされたとのこと。
難民申請をするものの、良好な結果ではなく。
夜道で襲われたりもしながら、
出会った人たちの善意で、暮らしながら妹探しをする様子、
難民仲間とか、パブの店主やスタッフ一同など、人々の親切。観ていて、沁みてきました。
怪しい寿司もどきには、ツッコむしかないですが。
(この監督、日本ネタをぶっ混んでくるのがお好きですよねえ… 今回は、おふざけなのが分かりやすくて)
シリア難民
2024年3月20日
映画 #希望のかなた (2017年)鑑賞
フィンランドの名匠 #アキ・カウリスマキ 監督が難民問題をテーマにベルリン映画祭銀熊賞を受賞したヒューマンドラマ
シリア人の青年カリードは内戦が激化する故郷から逃げ出し、生き別れた妹を捜すうちにヘルシンキに流れ着く
寿司は世界的だね
気になってた『枯れ葉』を見逃して悔やんでるタイミングで、u-nex...
気になってた『枯れ葉』を見逃して悔やんでるタイミングで、u-nextに大量のカウリスマキ作品が入荷されてたので公開期限の迫ってるこの作品から観ることに、初のカウリスマキ
移民問題は大きな問題なんだろうと思う
でもあくまで淡々と、派手な演出も大きな展開もなく見せることで、正直あまり自分とは無縁なコトだと思っている移民問題も、普段の自分の生活に置き換えて考えることができた、って言うと少し大袈裟過ぎる気もするけど、、、
スーパーヒーローも聖人君子も出てこない
人間には長所も短所もあるし、頑張って真面目に生きてても理不尽なことだらけだし小突かれることだってある。
なんなら苦しいことの方が多いような気さえするんだけど、それでも日常の中で人の優しさに触れてほっとしたり、クスっと笑ってしまうようなことがあって、そういう部分をピックアップして生きてる、生きていくしかないんやなとそんな風に思う作品だった。
そういえば報われない内容の映画を観た時や絶望的なラストをむかえる映画を観た時も、その中に何か希望や光を見つけて納得してる自分がいる。
それに似てるような気もするな。
イヌ・カイタクナル
カウリスマキの映画を観ると不思議に思う。
どうして無表情な大人ばかりなのに
人となりがこちらに伝わるのか。
ユーモラスな人も
愛情深い人も
聡明な人も
ちゃんとこちらはわかる。
わかるようになっている。
これってめちゃくちゃすごいこと。
一番視覚的に訴えかけやすい表情をほぼ使わず
こちらに情報を伝えるためには、
きっとものすごく綿密な計算がされていると思うから。
それでいて面白いんだもん。
ずるいや。
主人公のカーリド、
山田孝之って言ってる人が多いけれど
もっと似ているレスラーを知っている。
輪郭、濃さ、かなり近いと思う。
調べたら身長や年齢も近くて、
やってきていることも近いという…。
わんこの可愛さが半端ない。
そしてどの作品のわんこも賢い顔してる。
チワワとかも登場してほしい。
カウリスマキの撮るチワワを観たい。
シリアスとシュールコメディの混沌から生まれる何か
有名な人だけどアキ・カウリスマキ監督の作品を観るのは初めてだ。なので作風などについて深く語ることはできないが、本作を観て一番に感じたことは混沌だ。
不法入国している状態で難民申請をする主人公カーリドのパートのシリアスさと、レストラン関係のパートのシュールコメディのような雰囲気が、なかなか合わさらないままかなり物語が進行する。これを混沌と言わずしてなんと言おう。
何となく面白く観られていたので大丈夫ではあったものの、ちょこちょこ自分が何を観ているのか分からなくなる。一体何の物語なのかと。
しかし終わってみれば、微かににじみ出る優しさの連続にうっすら感動してしまう。
大きなドラマチックさがなくとも、コメディ部分が感動を阻害しているように感じても、結果的には後に生まれる小さな微笑みに繋がっているように思える。
監督は、移民が有害というわけではないことを描きたかったと言っていたと思う。
主人公カーリドだけではなく、レストランで働いていた面々もおそらく移民だ。作中で描かれている彼らは勤勉だったとは言えないが、少なくとも有害ではなかった。
移民の彼らが過剰に美化されることがなかったところに適度なバランス感覚を感じる。
そして、殴られても食事を振る舞い、カーリドの後の面倒もみたヴィクストロムが、アキ・カウリスマキ監督が本当に描きたかったことなのかなと思った。
主にコメディパートで出ていたし、無表情無感情の状態が多かったので気付きにくいが、振り返れば、ヴィクストロムの寛大さや優しさは、並大抵のレベルではなかった。
ヴィクストロムのような優しさは伝播しより大きな喜びを生むのかもしれない。
難問をハートフルに
立命館大学映像学部企画 さよならみなみ会館の4番目、最後に上映。
2017年というこの日上映された中では1番新しい映画。
簡単に難民は受け入れられないようだ。兄は強引に身分証を偽造、妹は正攻法で警察へ。妹の明るい未来を期待する。
優しいフィンランドの人達に囲まれ希望が感じられるストーリー展開。
レストランの寿司屋やインドカレー屋などへの業種替えがツボにハマりくすくす笑いました。
ラストシーン、兄の生死が心配でした。
兄が山田孝之に見えて仕方なかったなあ。
犬は結局捨てなかった
フィンランドがとうとうNATOに加入してしまったことが、残念で仕方ない。でも、仕方ないね。
この映画はそれを予感しているね。
イデオロギーのいっぱい詰まったジム・ジャームッシュ(ナイト・オン・ザプラネット♥パーマネント・バケーション♥)みたいであり、ロイ・アンダーソン(ホモ・サピエンスの涙♥)も見え隠れする。
それでいて、目一杯日本をディスる。(かもめ食堂かなぁ)♥
涙で終わらせない力強さが感じられる。相変わらず、悪者はいないけど、笑い事は目一杯する。そして、狡猾に生きる♥
市井の人情と希望
酒、タバコ、車、バンド、犬…、紛うことなきカウリスマキの映像ですね。今作で監督引退されているんですね。カウリスマキ作品のミューズ、カティ・オウティネンも少しだけ観られてよかったです。今作では移民問題を扱っていますが、彼が描くのはいつも貧しい市井の人々の暮らしとか、どちらかというとうまくいってない夫婦とかですが、必ず最後には希望が描かれてきたような気がします。私がカウリスマキ作品からイメージするフィンランドと幸福度世界1のフィンランドとかなりギャップがあるのですが(笑)、ちょっとファンタジーのような雰囲気を感じるのは、やはりムーミンの国だからでしょうか。時々、過去のカウリスマキ作品を見続けたいと思います。
言語化できないから映画にする
不機嫌な顔した男女が90分演じるだけの映画なのになぜこんなに素晴らしいと思うのか。
言葉にできてしまうなら映画にしないという作り手の姿勢も感じてしまう。
あまりに映画的で、映画でしか見たことのない表現でしか作られてない映画だった。
不機嫌な表情とカラフルな背景、衣装だけで締まった、それでいてなぜかコミカルな映画を作ってしまう。
凄いな。
【”フィンランドには、妹の未来がある・・、とシリア・アレッポから逃亡して来た男は言った。”不寛容な思想が広がる世界、市井の人々の無償の優しさの中に微かな希望が仄かに見える作品。】
ー アキ・カウリスマキ監督の視線は、常に市井に生きる善良な人々を優しく描いている。
そして、善良でない人の姿も、辛辣なユーモアを絡ませて描いている。
この稀有な監督の、映画を製作するスタンスにブレはない・・。ー
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・今作では、アキ・カウリスマキ監督はフィンランドの中で、静かに生きる人を描く枠を乗り越えて、シリア内戦により、親族の殆んどを失った青年、カーリド(シュルワン・ハジ:シリア人俳優)をメインに描かれる。
彼は、必死の思いでシリアを妹と脱出するが、途中で逸れてしまい、一人”良い人々の国だ・・”と聞いていたフィンランドに何とか辿り着く。
・だが、彼は一年以上、入国審査を待たされた挙句、”アレッポには、危険性はなく保護する必要はない・・”という入国審査官の無情な判断の元、強制送還の判決が下される。
ー 実際に、2010年以降、欧州では移民排斥運動が盛んになって来ていた。劇中でも描かれる”フィンランド解放軍”の皮ジャンを着た男達がカーリドに対して行う愚かしき行為が描かれる。
アキ・カウリスマキ監督は、そのシーンを淡々と描きつつも、腹の底では不寛容な思想にフィンランドも侵されている事を怒りを持って、シニカルに描き出している。ー
・一方で、行き詰った過去を捨て、新たに人生を始めようとする男、ヴィクストロム(サカリ・クオスマン)が、ポーカーで全財産を掛け、元手を作り、レストランを買い取る姿が、平行して描かれる。
そして、カーリドとヴィクストロムの出会い。殴り合った後にヴィクストロムが、カーリドに掛けた言葉”働くか?”
ー ヴィクストロムは、自らの人生の再出発に当たり、同じく人生の再出発を夢見る男カーリドに、手を差し伸べたのである。ー
・買い取ったレストランの古参の従業員カラムニウスとニエルヒネン、そして見習いウェイター達の”前オーナーから給料を支払って貰っていない・・”と言う声を聞きつつ、ヴィクストロムは、お堅い役所の監査も乗り越え、寿司店挑戦&失敗にめげず、店を遣り繰りしていく・・。
ー この辺りは、アキ・カウリスマキ監督の手中の技を楽しむ。ー
・そして、カーリドは漸く妹と出会い(そこには、イラク人移民希望者のマグダニクの寛容な行いが大きく寄与している。)、ヴィクストロムも過去の負の状況に向き合っていく・・。
<今作は、世界に広がる不寛容な思想をシニカルに描きつつ、アキ・カウリスマキ監督が、人間の無償の優しさを描いたヒューマンドラマである。
静かなトーンは、前作までと変わらないアキ・カウリスマキワールドであるが、今作ではそこに、秘めた怒りをそっと忍ばせた作品になっている作品。>
<2018年1月20日 京都シネマにて鑑賞>
<2021年8月4日 別媒体にて再鑑賞>
ラスト涙!
難民で故郷を去る気持ち
ツラいよな…
この映画は
それぞれ皆んな
何らかの理由で
生活に困ってて
余裕がない
けど
本当に
そう言う時こそ
助け合う必要がある
それを
少しコメディタッチに
そして社会情勢も交えて
映し出す
妹想いの兄
カッケ〜な
難民問題
フィンランドといえばサンタさんの国なので温かい国民性と思っていたが欧州評議会によれば反移民感情を示す国民も少なからずおり人種差別も問題と指摘されているらしい。アキ・カウリスマキ監督もフィンランドの移民政策は恥ずべきことと公言しており問題提起としての本作を製作したのでしょう。
ただ監督の持ち味でもあるのですが説明的な表現は嫌うので人物の動機的背景などが分かりづらくビクストロムがどうしてああまでカリードに尽力するのか、善人にしては品行方正というわけでもないし・・、元は服のセールスマンという職業から推察すると彼はユダヤ系だったのかもしれませんね。(Wikiによるとたフィンランドのユダヤ人は主に服売りとなって成功したとあった)
監督は親日派ですからわさびがあんな盛り方をする訳はないと知っていてのギャグ、ただ、コメディセンスは微妙ですね。おそらく監督は劇伴の注文には仕方なく感情表現を用いたのでしょう映像とのちぐはぐさが際立ち、本当はそういうシーンだったのかと副音声解説のように思えます。作家性とはいえ面倒な監督です。難民映画では「グッド・ライ いちばん優しい嘘」の方がハートウォームで好みですが使命感に駆られて作っているのでこういう顛末になったのでしょう。
カウリスマキの芸風
カウリスマキの芸風が大好き…
なんでか知らないけど大好き
悲哀の比重が高い割には気軽身軽で
どこか他人事でシニカルに受け流すところ
でも今回は割と真面目に真剣に難民の流れが描かれていてとても勉強になった
相変わらずの色合いと役者陣に満足🙂
人間の美醜両面を見つめながら
カウリスマキ作品はいつ観ても安定の癒しを得られたのだが、本作は少しばかり薄暗い要素が増えたように感じた。
石炭の山から姿を表す主人公カリードの登場場面や、わさびの使い方を一体どこで学んだんだと吹き出してしまった寿司店への方向転換など、随所にいつものユーモアは感じられた。
だが、最先端の教育制度などで知られるフィンランドにあっても、人種間の諍いや偏見は避けられない問題になっているのだということをまざまざと見せつけられるエピソードの数々に、監督自身が笑うに笑えない状況なんだよ、という秋波を感じた。
それでも人間は基本的に善であると一縷の望みを託したであろう、脇を固める人物たちの無償の優しさは、カウリスマキ作品の根っこに常に根ざしている。
難民収容施設で親しくなったイスラエル人の友人は、いつか裏切るんじゃないかと思いながらハラハラしていたのだが、それこそ自分の偏見を最後に思い知らされて恥じ入った。
絶望的な状況にトドメを刺されたように見えるラストシーンでも、カリードの目は希望に満ちたかなたを見つめていた。彼にとって、そして、祖国を追われ、今も悲惨な生活を余儀なくされている人々にとって、希望とは何か考えさせられる作品だった。
希望のかなたには希望が続いて欲しい
難民の過酷さ辛さ。愛想の良い日本人から見ると愛想の欠片もないフィンランド人に見えるが、下手な同情に訴えることなく確かな人情が伝わってくる。情景は暗く静かでひたすら耐えるその先にわずかに見えた希望。それすら奪うわずかな悪人。観る側にも深いため息。でも終わりは希望のかなたへ向かう人間の強さに溢れていた。素敵な作品。
ジミ・ヘンドリックスとワサビネタ
石炭の中から徐に登場したシリア人カーリド・アリ。密入国、しかし彼の説明によれば、トルコ国境を越え、ギリシャ、ポーランド、リトアニアなどの東欧諸国を超え、ネオナチから痛めつけられたため逃げ込んだ船がたまたまフィンランドに着いたとのこと。真っ先にすることは警察で難民申請することだった。収容所で知り合ったイラクから来たマズダックと友達になり、生き別れた妹を探すために携帯を借りて、あちこちに連絡するのだ。
フィンランド解放軍と銘打ったジャンパーを着た、明らかに右翼かネオナチのような男3人組。映画の中でこいつらだけは排他的偏見の持ち主で、カーリドを見た途端にいじめ抜く憎々しい奴らだ。ヨーロッパで難民問題が深刻化する中、警察など行政側の人間は追い出そうと躍起になるものの、市井の人たちは皆優しく、彼らに救いの手を差し伸べる。特に妹を見つけた連絡を受け取り、密入国に協力した長距離トラックの運転手が報酬を受け取らなかったところで泣けてくる。
カーリドの描写と同時進行で、酒浸りの妻に別れを告げ、商売替えしてレストラン経営を試みる中年ヴィクストロムが描かれる。深刻な状況のカーリドとは対極で、店のシャツを売りさばいた金を使い、のんきなことに闇賭博のポーカーで手持ちの金を倍増させる。駐車場の出口でカーリドとは遭遇しているが、強制送還からの逃亡中に店のごみ置き場で一発ずつ殴り合って一気に打ち解けた二人。従業員として迎え入れた上に偽造身分証まで作るという手厚さを見せてくれるヴィクストロムだ。なんだ、いいオヤジじゃん。
敗者三部作の次は難民三部作と位置付けたカウリスマキ監督。まだまだ未見の作品ばかりですが、この作品も日本びいきのシーンがいっぱいあって、特にレストラン“ゴールデン・パイント”を寿司店“インペリアル・スシ”に変えるところは笑える。ワサビもネタ以上に大きいし、「いらっしゃいませ」と日本語で客を迎え入れる。音楽も渋いブルースの弾き語りから日本歌謡曲までと魅力満載です。調べると、篠原敏武の演奏する「竹田の子守唄」とありました。
最後は悲しい出来事がありましたけど、結末はわかりません。このまま病院へ行っても偽造証明書がばれて、たちまち強制送還か、それとも死か。友人となったマズダックは看護師の資格を持っていたはずで、彼に頼ればなんとかなったのかも・・・と、色々想像できる余韻を残してくれます。
わさびの量と位置!
なんだか世界観と色合いだけでも見れちゃう。
今までの生活を一新し、ある意味命がけで新しいことに挑戦して生きていこうとするおっさんと、自分のことは二の次で、これまた本当に命がけで生き別れた妹を助けようとする青年。そしてそれを取り巻くヘンテコだったり優しかったりする人たち。
難民という深刻なテーマにもかかわらず、ちりばめられたユーモアが作品全体にコミカルさをあたえ、観る者をにっこりさせてくれる。
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