ガラスの城の約束のレビュー・感想・評価
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ダメダメな父親なのに、なぜこんなに魅力的なのか。ハレルソンの名演に拍手を送りたい
『ショートターム』の監督による最新作でありながら、その構成や受ける印象などはだいぶ違う。ストーリーはかなり複雑だし、もしも腕の足りない監督ならすぐさま現在位置を見失い、空中分解してしまう類のものだ。だが、さすがダニエル・クレットン監督は各パーツの手綱をしっかりと握り、巧みなストーリーテリングでこの物語を届けてくれる。
あの口先だけで、自分を妙に大きく見せたがり、だが時々家族を魅了する優しさを発し、かと思えばあらゆる期待を裏切って呑んだくれる父親。
ウディ・ハレルソン演じるこのダメダメな人物の強がりと弱さと、しかし家族のことを心から思っていることだけは確かな人間性が、本当に宝石のように味わい深い。この父親のおかげで、ヒロインも良かれ悪かれ影響されていくのだろう。家族という名の切っても切れない、本当にどうしようもない鎖のような関係性をこれほど光と影を織り交ぜて深く描ききった秀作は久々だ。
親と子
父親と娘の心打たれる物語とは言うが…
最低の父親ランキングぶっちぎりのNo.1
幸せとは
非常識な親は、わるい親なんだろうか。 子どもに苦労させない親が、い...
破天荒過ぎる父親に最後までついていった母親、見捨てずにいた子供達が...
親の愛情表現は一つじゃないのかも
一言「ワイルドすぎるわ、この親父」。
事実に基づくと冒頭にあったけど、見ていくうちにマジですか?状態。
定住の場所を持たず、子に教育を受けさせる機会も持たず。
酒に溺れ仕事もろくにしない。
子供に3日食事を与えず、ひもじい思いをさせる。
だけど、愛情は父親なりに注いでいる。
時代的にありだったのかもしれない。
だけどどうよ、と反感を持ってしまった。
こんな父親嫌だって。
でもそんな状況の中で、しだいに目覚め家から脱出して行く子供達。
これほど強烈な親離れ。
子供の頃の話が半分以上で、今の大人担っての話が挿入されていくのは。
ややこしそうに思ったけど大丈夫。
こういう「一風変わりすぎてる親父」を、さすがウディ・ハレルソン。
ぴったりでした。
2020 BD/DVD 10
昨日鑑賞。二本立て二本目。 すさまじ過ぎる、この崩壊家族。「万引き...
昨日鑑賞。二本立て二本目。
すさまじ過ぎる、この崩壊家族。「万引き家族」どころの話じゃないぞ。
アル中のホームレス、とんでも言動の父親、もはや病気だ。母親も負けてはいない、絵ばかりを描いているネグレクト。ただ、この親たち、時に見せる子どもへの愛情はどうやら本物。
しかしこんな環境では子どもは生きられない。それぞれが自立していく、親への恨みを持って。でもここにも家族への愛、感謝が。
時に歪み、憎しみあい、そして時に笑い、愛しあう。離れようと思ってもどこかで離れられない。
「家族」ってなんなんでしょうね。いろんなことを考えさせられました。
自分は親にとっていい子だっただろうか、子にとっていい親だろうか。まあ、本作のような親にはなりたくはないが(笑)でも、本作のような親の方が子にとってはインパクトがあるいい親なのかもしれない。
もう何が何だか分からなくなる強烈家族の物語、
見る価値ありです。
呪縛と絆は表裏の関係?
ガラスの城は壊れやすいからこそ壊れないように支えあうことが大切と言わんばかりのタイトルだが、子離れできない父親と親離れできない娘の話。
家族愛は大切ですよ。でもそれは子供が大人になるまで。ましてや家族を持とうとしている子供であれば、その子供の家族を第一に考えるべき。それは、子供も同じで、自分の家族を第一に考えるべき。
成熟した親子関係の構築がベストだが、それが実際には難しくとも、この映画はあまりにも父親のエゴが強すぎて、現代社会で暮らしていかなければならない現実を逃避し、それに子供を巻き込んでいるかのようで共感できない。それは社会の中で強く生きるというのとは違うから。
ある意味児童虐待。それの連鎖、逃げられない呪縛と従ってしまう刷り込み。家族の絆と言えば聞こえはいいが、別れたフィアンセに同情するよ。
最後に実在したモデル家族の映像が流れ、これが実話だったことがわかるとなぜかそれまでの嫌悪感や退屈な時間から解放され、安堵してしまった。
フサフサ髪の毛のウディ・ハレルソン
『ゾンビランド』の続編も楽しみなウディ・ハレルソン。乱暴なキャラが得意な彼も、ハートフルなドラマではちょっと大人しかった気がする。それでもDVすれすれ。不法居住を繰り返し、全米を旅する親子。1日4箱のタバコと2リットルの酒を欠かさず、途中、禁酒をするシーンなんてのは本当に苦しそうだった。働いてはクビ、働いてはクビを繰り返し、妻のナオミ・ワッツは優雅に絵を描いているのです。
そんなのんびりした性格ではあるけど、「ガラスの城」を建てることが夢であり、4人の子供たちとも楽しそうに会話をしているのだ。次女のジャネットは幼い頃に腹に火傷を負ったこともあり、キャプテン・マーベルのように勝気で、父親を諫めようとするも、父になだめられてしまう。
印象的なのは、金がないからプレゼントを買ってあげることができない代わりに「好きな星をプレゼントしてやろう」というところ。ダメダメ親父の割にはロマンティストで知識も豊富。嘘が嫌いだという割には大ぼら吹きだと子供たちが回顧する・・・
父のようにはなりたくない!とか思っていても、どこか父親の性格に似てきてしまうし、いい部分ばかりが記憶に残る。それほど突飛な展開はないけれども、ライフスタイルそのものが風変り。祖母の性的虐待なんかもさらりと触れるが、父もまた祖母との親子の縁を切ることはできないってところに共感してしまう・・・。どことなく山田洋次が作ってもおかしくないような、日本人にも通ずるホームドラマだったかな。
基礎作り
簡単に切れない関係だからこそ厄介。
【メモ】
実話ベース。
人と人が理解するのには限界がある。例え親子でも。
簡単には切れない関係だからこそ厄介。
だけど、なんとか愛する方法を見つけようとする話。
万引き家族以前の是枝監督のように、
切っても切れない厄介な親子関係、
そしてダメな親であっても温かい視線で描かれてる。
反抗したあの時の親の教えが、
大人になって自分の糧になっている。
そこ、よく分かる。
私の好きな映画のトップにくる「#ショート・ターム」の監督・脚本・主演再び。なので観に行ってきた。
映画の評価はその人の知識「経験」その時の精神状態によって大きく左右される。
私の経験値が、クレットン監督は、人の心に寄り添う丁度良い温度を知っていると感じる。
判断に苦しむ
自由に、自分らしく生きる幸せ
ヒトは自由を欲する
だが必ずしも 自由 = 幸福 と言えるのだろうか…
「人間は自由の刑に処せられている」
20世紀を代表する思想家、
ジャン=ポール・サルトルの言葉ですが
【実存主義】という、氏を代表する指針があります。
在るものをありのままに受け入れ
目の前にある事象を他人に任せるのではなく
進んで自らが引き受ける
…といった思想だったと思います、端的にですが。
ここからは概説書を引用して
わたしの言葉に代えさせて頂きますが…
「子供が大人になったら自立して生きなさい。
そして責任を他人になすりつけたりせず
自分の間違いを素直に認めなさい。」
それと同時に、
「自分はどこに向かって生きて行くのか?
という人生最大の問題を自己責任で
取り組まねばならない」
…と、サルトルは【実存主義】のなかで
「人間は自由の刑に処せられている」
という言葉で表現しています。
これほどの重荷があるでしょうか…
前置きが長くなりましたが
本作『ガラスの城の約束』は
いわゆる《反面教師モノ》と言ってしまえば
それまでなんですが…
どうしようもない父親のはずなのに
彼のくちをついて出る言葉には説得力がある!
それはなぜか?
言っている言葉が事実だと当の本人が
信じて疑わなかったからです!
そのときだけは…
その「自分を信じるオレを信じろ!」の精神?が
子供たちに浸透してき、転じて
「オレが信じるお前を信じろ!」とばかりに
感性と才能を育み、子供たちが自信を持ち得ることに
繋がったに違いない。まさに反面教師!
実行力・持続力がないだけで
言葉と精神に偽りのない愛を感じていたからこそ
子供たちも完全には嫌いになれない…
「信じたい、でも…」「嫌い、でも…」
この二律背反が、家族のバランスが
常に揺らいでいるので、ときに笑い合い
ときにケンカもしたりする。
そうして時が経ち子供たちも大人へと
成長するにつれ、親離れをより強く促す。
これまさに反面教師!
「あの頃は酷いもんだったよ!でもさぁ…」と
年月を経て、時間が辛い思い出に
“補正”をかけてくれる。
美談になったり笑い話になったりと
語り合える家族の存在が、強い絆の証を
今になって感じられたら
結果、人生は幸福であったと思っても、いいよね?
あと父親とジャネットが言っていた「悪魔」が
なにを象徴していたのか考えてみました。
幸福を得るために、自由に生きようとしたとき
つい世間の目が気になって自分の信じた道を
まっすぐ歩けなくなる
萎縮してしまう、邪魔してしまう、
そんな〈他人の目を内面化してしまう心〉を
言っていたのかなと思いました!
“ 型破り ”で “ 形無し ” な父親が
“ 型にハマる ” 生き方をするなと
自虐的・可逆的に教えてくれた作品ですね。
最近の洋画って最後に現実パート、
実録ドキュメント部分をインサート
するのが流行りなのかしら?
ナオミ・ワッツの母親役が画家だったこともあり
作中にゴッホ、ピカソ、クリムト
抽象主義、リアリズム、MOMAとか
美術系のアイテムがわたしの気を惹きました。
わたし家族モノには弱いのよね…
つい感情が高ぶって
色々と長々と語ってしまう…
わたしも一度でいいから
親と真剣にぶつかって
ケンカしてみたかったな…
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