「ダメダメな父親なのに、なぜこんなに魅力的なのか。ハレルソンの名演に拍手を送りたい」ガラスの城の約束 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
ダメダメな父親なのに、なぜこんなに魅力的なのか。ハレルソンの名演に拍手を送りたい
『ショートターム』の監督による最新作でありながら、その構成や受ける印象などはだいぶ違う。ストーリーはかなり複雑だし、もしも腕の足りない監督ならすぐさま現在位置を見失い、空中分解してしまう類のものだ。だが、さすがダニエル・クレットン監督は各パーツの手綱をしっかりと握り、巧みなストーリーテリングでこの物語を届けてくれる。
あの口先だけで、自分を妙に大きく見せたがり、だが時々家族を魅了する優しさを発し、かと思えばあらゆる期待を裏切って呑んだくれる父親。
ウディ・ハレルソン演じるこのダメダメな人物の強がりと弱さと、しかし家族のことを心から思っていることだけは確かな人間性が、本当に宝石のように味わい深い。この父親のおかげで、ヒロインも良かれ悪かれ影響されていくのだろう。家族という名の切っても切れない、本当にどうしようもない鎖のような関係性をこれほど光と影を織り交ぜて深く描ききった秀作は久々だ。
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