ガラスの城の約束のレビュー・感想・評価
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ダメダメな父親なのに、なぜこんなに魅力的なのか。ハレルソンの名演に拍手を送りたい
『ショートターム』の監督による最新作でありながら、その構成や受ける印象などはだいぶ違う。ストーリーはかなり複雑だし、もしも腕の足りない監督ならすぐさま現在位置を見失い、空中分解してしまう類のものだ。だが、さすがダニエル・クレットン監督は各パーツの手綱をしっかりと握り、巧みなストーリーテリングでこの物語を届けてくれる。 あの口先だけで、自分を妙に大きく見せたがり、だが時々家族を魅了する優しさを発し、かと思えばあらゆる期待を裏切って呑んだくれる父親。 ウディ・ハレルソン演じるこのダメダメな人物の強がりと弱さと、しかし家族のことを心から思っていることだけは確かな人間性が、本当に宝石のように味わい深い。この父親のおかげで、ヒロインも良かれ悪かれ影響されていくのだろう。家族という名の切っても切れない、本当にどうしようもない鎖のような関係性をこれほど光と影を織り交ぜて深く描ききった秀作は久々だ。
負の遺産、だと思っていたもの
「ショート・ターム」が凄く良かったので、ブリー・ラーソン&デスティン・ダニエル・クレットンというタッグに惹かれて鑑賞。
「アメリカ社会が抱える問題」+「登場人物の内面描写」+「自己肯定的な成長」という物語構成は健在。最後の「自己肯定的な成長」っていうのがポイントで、エンディングの爽やかな高揚感に繋がっていく。だから好き。
バッチリメイクにスーツ姿のブリー・ラーソンはとても新鮮。キリッとした姿が似合うけど、良い家に住み、濃い化粧をし、高価そうなスーツに身を固めた姿はヴァイオレットの「見せたい自分」という虚構の姿。
彼女が知り合って間もない人に語る「家族」は偽りの「家族」だ。特に父親・レックスについては「本当のこと」を語ろうとしない。帰りがけ、婚約者に「嘘は私に任せて」と微笑むヴァイオレットは寂しそうでもある。
虚構の父親は生産的な仕事に就かされていたが、本物はどうか。レックスはほとんど仕事に就いていない「自由奔放」「豪放磊落」な人物だ。
「行き着いたところが家」みたいな暮らし。子ども3人を連れて、野宿もする。
母親・ローズマリーは画家で、家事よりも創作が大事。「自由」な両親は子どもを愛しているが、生活力はゼロだ。二人は大人で、自分達が選びとった「暮らし」だが、子どもたちにとっては強制された「自由」。借金取りに追われてレックスの故郷・ウェルチに戻ったことがきっかけとなり、ヴァイオレットは親の抱える問題と、自分の求める世界に向き合うことになる。
父親であるレックスを演じたウディ・ハレルソンが最高に良い。
レックスもヴァイオレットと同じように、親の与えた環境から抜け出そうともがき、志半ばで生まれた場所に戻らざるをえなくなる。
彼の故郷はヒルビリーの集落だ。世間から忘れ去られたような、アウトローな集落。独特の価値観を共有し、近代化とは別の次元で生きている人たち。
レックスもヴァイオレットと同じように、親から与えられた環境に反旗を翻した。レックスの知性は自然を愛しながらも、教育への興味や人間のあり方の多様性を求めたからだ。
先進国アメリカでも、親の教育方針によって学校に行かせてもらえないことはある。神を冒涜する科学の拒否とか、理由は色々だ。
故郷に戻った後に、ヴァイオレットたちが学校に通っている描写があるので、学校自体はあるみたいだが、全員が通っているかは疑問である。
そんな状況に「No!」を突きつけ、放浪の道を選んだレックスだが、親に与えられたことの全てから逃れられず、破滅的な生き方をするしかなかった。
レックスに一番似ていたヴァイオレットは、レックスと同じようにもがき、遂にはレックスが成し得なかった「破滅ではない脱出」に成功する愛娘なのである。
父親が捨てきれなかったもの。父親が求めたもの。一番父親に似ているからこそ、一番反発し、一番共感した。
エンディングで笑うヴァイオレットの表情に、もう寂しさや自分を飾る虚構はない。
最低で最高の父からプレゼントされた思い出は、少し顔を上げればいつでも輝いている。
主役はヴァイオレットだけど、レックスの人生にどうしても思いを馳せてしまうなぁ。繰り返しになっちゃうけど、本当にウディ・ハレルソンが最高だったんだもん。
実話ベースな上に書いたご本人が健在なので、目を瞠るようなドラマチックな演出に欠けるところがちょっと残念。
でも、また新作が出たら観たい監督の一人だ。
親と子
愛憎相半ばする、親子関係でよくあるケースであるが、さすがに自分の親がホームレスになっていたとしたら、子はどういう気持ちになるだろうか。しかし、人生とは不思議なものである。安定した生活というのはしばしば退屈さを生み出し、倦怠に陥りがちである。不安定な生活は恐怖や苦労を伴い、残酷な環境に置かれるが、エキサイティングであり、退屈しない。後で思い出すと、いい思い出になっていることもある。親から受けた影響というのは、一筋縄では括れず、この物語のような親子関係であっても、親を反面教師にして育って成功を掴んだのだから、美談として終わる。人生とは不思議なものである。
父親と娘の心打たれる物語とは言うが…
夢追い人の父親が時たまそれらしい名言をのたまうが…いずれもそれほど刺さらず、何よりもいくらなんでも破天荒過ぎるでしょう。理想や夢ばかり追い求めてるというより、その姿は荒くれ者に映ってしまって、いまひとつ共感できなかった。 母親のキャラも一定ではなくちぐはぐな印象で、ストーリーを盛り立てるまではいかなかったかな。 時たま美しい映像にハッとさせられたが、このストーリーではあまり映えなかった。 でも、子役ちゃん達はみんなかわいく、その点ではほっこりできました。
最低の父親ランキングぶっちぎりのNo.1
ウディハレルソンのクソ親っぷりがたまりません。 頭はいいけど実績と自信がなくて自分より明らかな弱者にしか威張れず、常に遠吠えをしているようなアル中。 でもこのアル中の言うことは、確信をついていることが多く名台詞がたくさん散りばめられている。 本当にサイテーの父親なんだけど、愛情もすっごく感じられるし、子供たちが彼を愛しているのもすっごく感じられる。絶妙なバランスの上で成り立っている関係。 私なら無理。
幸せとは
若い頃は最低だと思っていた父を主題にした家族の話です。エンドロールではみんな、笑顔で笑いあえるので何が良くて何がダメなのかって言われると当人たちが幸せと感じるならOKってことなんでしょうか。 私自身は、あまり共感できないなと思った作品でした。 余談ですが髪の毛のあるウディ・ハレルソンには最後まで馴染めなかった。
恵まれてる!?
って実話ベースでラスト本人が言うなら、そうなんだろう。。しかし、映画が始まってから、ずっと苦しくて、いつかどんでん返しが来るだろうと見ていたが、ラスト15分迄は中々来なかった。父親だけでなく、両親共に糞親。父親も祖母の影響があるかも知れないが、祖母も糞親だった。定職に就けず、酒浸り、家には金を入れず、子供に食べさせる物も与えないし、学校にも通わせず、夢ばかり語り、たまには良いことを言うが、実行力が伴いわない。母親も父親に頼り、趣味の絵ばかり書いている。こんな人達は子供を産んではいけない。しかも四人も。子供は親を選べない。こういう子こそ、ちょっとの事で親への感謝を忘れず、親孝行するのだろう。ウッディ・ハレルソンは口は達者で傲慢で、荒くれ者がよく似合う。最後は父親が奨学金を出してくれたり、子供の頃の想い出話はあったけど、やっぱりできた子供だと、よくぞ育ったいう思いだった。
非常識な親は、わるい親なんだろうか。 子どもに苦労させない親が、い...
非常識な親は、わるい親なんだろうか。 子どもに苦労させない親が、いい親なんだろうか。 どんな家族が、恵まれた家族なんだろうか。 親の役割って、なんなんだろう。 美しく、賢く、独創的で、強い。とっても強い。 たとえ、どんな劣悪な環境で生まれ育ったとしても。 傷ついても愛し方を探し続けた父娘の物語。
破天荒過ぎる父親に最後までついていった母親、見捨てずにいた子供達が...
破天荒過ぎる父親に最後までついていった母親、見捨てずにいた子供達がすごい。理解し難いがこんな形で紡がれる家族の絆もきっとあるのだろう。ウッディ・ハレルソンはいつもすごい演技をみせてくれる。このしわがれた声と様々に表情を変える目つきで心の奥底が垣間見え、この父親像を完全には否定出来なかった。
親の愛情表現は一つじゃないのかも
一言「ワイルドすぎるわ、この親父」。 事実に基づくと冒頭にあったけど、見ていくうちにマジですか?状態。 定住の場所を持たず、子に教育を受けさせる機会も持たず。 酒に溺れ仕事もろくにしない。 子供に3日食事を与えず、ひもじい思いをさせる。 だけど、愛情は父親なりに注いでいる。 時代的にありだったのかもしれない。 だけどどうよ、と反感を持ってしまった。 こんな父親嫌だって。 でもそんな状況の中で、しだいに目覚め家から脱出して行く子供達。 これほど強烈な親離れ。 子供の頃の話が半分以上で、今の大人担っての話が挿入されていくのは。 ややこしそうに思ったけど大丈夫。 こういう「一風変わりすぎてる親父」を、さすがウディ・ハレルソン。 ぴったりでした。
2020 BD/DVD 10
この家族の生き方や父親には共感はもてないが、ブリーラーソンや、ウッディハレルソンの演技が特に素晴らしかった。幼少期の思い出から現在を交錯させる展開。ルームのときもそうだったけどブリーの魅力がたっぷりありました。
昨日鑑賞。二本立て二本目。 すさまじ過ぎる、この崩壊家族。「万引き...
昨日鑑賞。二本立て二本目。 すさまじ過ぎる、この崩壊家族。「万引き家族」どころの話じゃないぞ。 アル中のホームレス、とんでも言動の父親、もはや病気だ。母親も負けてはいない、絵ばかりを描いているネグレクト。ただ、この親たち、時に見せる子どもへの愛情はどうやら本物。 しかしこんな環境では子どもは生きられない。それぞれが自立していく、親への恨みを持って。でもここにも家族への愛、感謝が。 時に歪み、憎しみあい、そして時に笑い、愛しあう。離れようと思ってもどこかで離れられない。 「家族」ってなんなんでしょうね。いろんなことを考えさせられました。 自分は親にとっていい子だっただろうか、子にとっていい親だろうか。まあ、本作のような親にはなりたくはないが(笑)でも、本作のような親の方が子にとってはインパクトがあるいい親なのかもしれない。 もう何が何だか分からなくなる強烈家族の物語、 見る価値ありです。
呪縛と絆は表裏の関係?
ガラスの城は壊れやすいからこそ壊れないように支えあうことが大切と言わんばかりのタイトルだが、子離れできない父親と親離れできない娘の話。 家族愛は大切ですよ。でもそれは子供が大人になるまで。ましてや家族を持とうとしている子供であれば、その子供の家族を第一に考えるべき。それは、子供も同じで、自分の家族を第一に考えるべき。 成熟した親子関係の構築がベストだが、それが実際には難しくとも、この映画はあまりにも父親のエゴが強すぎて、現代社会で暮らしていかなければならない現実を逃避し、それに子供を巻き込んでいるかのようで共感できない。それは社会の中で強く生きるというのとは違うから。 ある意味児童虐待。それの連鎖、逃げられない呪縛と従ってしまう刷り込み。家族の絆と言えば聞こえはいいが、別れたフィアンセに同情するよ。 最後に実在したモデル家族の映像が流れ、これが実話だったことがわかるとなぜかそれまでの嫌悪感や退屈な時間から解放され、安堵してしまった。
フサフサ髪の毛のウディ・ハレルソン
『ゾンビランド』の続編も楽しみなウディ・ハレルソン。乱暴なキャラが得意な彼も、ハートフルなドラマではちょっと大人しかった気がする。それでもDVすれすれ。不法居住を繰り返し、全米を旅する親子。1日4箱のタバコと2リットルの酒を欠かさず、途中、禁酒をするシーンなんてのは本当に苦しそうだった。働いてはクビ、働いてはクビを繰り返し、妻のナオミ・ワッツは優雅に絵を描いているのです。 そんなのんびりした性格ではあるけど、「ガラスの城」を建てることが夢であり、4人の子供たちとも楽しそうに会話をしているのだ。次女のジャネットは幼い頃に腹に火傷を負ったこともあり、キャプテン・マーベルのように勝気で、父親を諫めようとするも、父になだめられてしまう。 印象的なのは、金がないからプレゼントを買ってあげることができない代わりに「好きな星をプレゼントしてやろう」というところ。ダメダメ親父の割にはロマンティストで知識も豊富。嘘が嫌いだという割には大ぼら吹きだと子供たちが回顧する・・・ 父のようにはなりたくない!とか思っていても、どこか父親の性格に似てきてしまうし、いい部分ばかりが記憶に残る。それほど突飛な展開はないけれども、ライフスタイルそのものが風変り。祖母の性的虐待なんかもさらりと触れるが、父もまた祖母との親子の縁を切ることはできないってところに共感してしまう・・・。どことなく山田洋次が作ってもおかしくないような、日本人にも通ずるホームドラマだったかな。
基礎作り
歳を重ねた今、ふと 親に似てきたなぁと 思うことがしばしばあります。 自分が親になって、息子達に伝える 言葉も、自分が母から言われていたこと だったり…全く違う道を選んで、違う 人生を歩んできても、生き方の基本を 親から学び、感じ、無意識のうちに 身にしみているのだと感じます。 この作品のお父さんは破天荒過ぎ(笑) で、虐待に近いかもしれません。 ただ生きて行く上で 大切にすべきことを、子供達に 十分に伝えられたのではないかと思います。 うまく言えませんが、それが子供達に 対する一番の愛情ではないかと思います。 仮面を被って体裁ばかりの家族より 生身の人間同士ぶつかり合う姿の 方が幸せな家族なのかもしれませんね。
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