鈴木家の嘘のレビュー・感想・評価
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【”家族の絆とは何であるか”という普遍的な命題を、愛あるけれど、アイロニック感溢れる笑いを通して描き出した作品。】
ー驚くのは、野尻克己監督が(監督デビュー作!で脚本も手掛けている!)自らの辛い経験を基に喜劇タッチでこの重いテーマを、愛ある笑いを塗しながら描き切った点である。ー
・愛する息子(で、引きこもり)、浩一(加瀬亮:弱々しく、何を考えているのか分からない役は、天下一品)がある日、天井から”ぶら下がっている姿”を観て、卒倒し記憶を亡くす母(原日出子)。
そんな母の姿を見て、一致団結した残された家族は、”浩一はアルゼンチンで働き始めた・・”という優しい嘘をつき始める鈴木家の大黒柱、幸男(岸部一徳)と娘(木竜麻生)と頼りないが、ぶっ飛んだ発想を繰り出すおじさん(大森南朋:良い味を出している)達が演じた事柄の数々。
又、彼らを心配するコテコテの名古屋弁(尾張弁)を繰り出す親戚の”仕切りおばさん”(岸本加世子)がグイグイと鈴木家に乗り込んでくる姿がオカシイ。
<上映時間が少し長く感じてしまったところ(簡単に言うと、冗長)は、改善の余地があるが、今作が、野尻克己監督の初作品と言う部分を差し引ても、見応えのある邦画であった。>
<2018年11月16日 ユナイテッドシネマ豊橋にて鑑賞>
自殺、ダメ、ぜったい
ヘビーで滑稽
どうして
シリアスだけでは重すぎて
家族の自殺という題材だけど、登場人物たちの行動はどこか滑稽でユーモ...
家族の自殺という題材だけど、登場人物たちの行動はどこか滑稽でユーモアも交えて描かれるので、そこまで重さを感じずに見ることができる。おかしみがあるからこそ、余計に悲しくなるんだけど。
細部の描写も説得力に溢れていて、演出力が凄く高いと感じた。
木竜麻生の演技が胸を熱くさせる
意外と重いけどいい映画❗
深い喪失の物語
死は残されたものにとって意味を持つ
133分と長いのだが飽きない。
引きこもりの末自殺した長男(加瀬亮)、その父親に岸部一徳、母親が原日出子。父親の妹に岸本加世子、母親の弟に大森南朋。
ベテラン、個性ある役者を配する中でも存在感を放つのが妹役の木竜麻生。デビュー作にして主演の「菊とギロチン」も良かったが、本作も鮮烈な演技を見せる。後半のクライマックスとなる長回しのシーンが見事だ。
死は、その本人ではなく、残された者にとって意味を持つ。
引きこもりからの自死という重い現実。
だが、家族の受け止め方は意外にもバラバラだ。
いや、家族とは言え別の存在なのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが、本作では、こうした点をハッキリと描く。
こうもり、誕生日ケーキ、オタフクソースなど、小道具の使い方も巧み。見応えがあります。
ほほほ・・・ははは・・・
ユーモアがあるとは言え超ヘビーな作品
こんなに重い作品だとは知らずに観た。
引きこもりの長男(加瀬亮)の自殺後、ショックで記憶を喪失した母親(原日出子)を気遣い、父親(岸部一徳)と妹(木竜麻生)は、長男がアルゼンチンに行き母親の弟である叔父(大森南朋)の仕事を手伝っているという嘘をつく。
予告編を見た限りでは、この嘘をめぐるコメディ寄りのドラマかと思っていたのだが…
父親、母親、そして妹がそれぞれに抱える深い後悔の源を丹念に描いていく。
親、兄弟、あるいは子供を死なせた、救えなかった、殺したという罪の意識を背負って生きている人にとっては、トラウマを呼び起こす危険な作品だ。
彼らが膿を出し合いプラスの方向に動き始める時間の中で、苦しい気持ちのまま取り残された方もいるのではないか。
観るに辛く客観的な評価が難しい作品だ。分厚い構成でパワーがある素晴らしい作品なのだろうが…
「菊とギロチン」に続き木竜麻生の存在感が凄かった。
【追記】
トラウマを呼び覚まされた方は、ぜひ「世界を変えなかった不確かな罪」のレビューをご覧いただきたい。罪を背負って生きている人々の魂の救済に重きを置いた素晴らしい作品です。「あなたは悪くない」と…
極めてセンスのなさを痛感した映画。
引きこもりを抱えた家族のとても重たいテーマ。
肉親を自死によって失うことの苦悩は、すごくよく表されていたと思います。
助けてあげられなかったと、みんながみんな自分を責める。
そこにどっぷり浸かり、寄り添ってあげたいと思う映画でした。
そして、できれば涙を流してみたかった。
なのに。
時々出てくるコミカルな場面。
あれにいちいち興醒めし、腹が立ってしまいました。
生涯に限られた数の映画しか見ることができない私たち。
それに対しては、ベストな映画を届けるべきだと思うのです。
監督の周りの人たちは、あの「笑い」の場面について、誰か言及する人はいなかったのでしょうか。
不要だと。
すごく勿体無くて、悔しさを感じる映画だと思いました。
映画の中に明るさを入れることで、家族の影の部分をよりくっきり見せたかったのかもしれませんが、「笑い」に走る必要はなかったと思います。
鈴木家の人たちは、充分健気に力強く生きている人たちなのだから。
良い作品に出会えました、家族の絆の大切さを再認識!
引き籠っていた長男が自死してしまう。その現場を目撃した母親は昏倒して記憶喪失に陥ってしまうが、そんな彼女と、彼女を気遣って長男のことをひた隠そうと嘘を取り繕う家族の哀しくも愛溢れるヒューマンドラマ。設定が荒唐無稽なだけに最初はコメディー作品だと思っていましたが、鑑賞し始めて程なくして実はとても真面目な作品だと気付きました。思わぬ形で最愛の家族を喪うことで、悲しみと混乱が遺された家族を襲います。後悔、慙愧の念に苛なまれる彼らに寄り添うグリーフリリーフなる活動があることもこの作品を通じて知りました。父親・母親・娘それぞれが、それぞれの立場でこの苦しみを乗り越える様をこの作品は淡々と描いてくれているのですが、結局は家族の死を正面から受け入れることでしか人の心は癒されないのだと痛感した次第です。本当に良い作品に出会えたと思いました。ところで岸辺一憲・原日出子と言った大御所と見事に張り合った娘役の木竜麻生は逸材。前作「菊とギロチン」を見逃してしまいましたが、今後の活躍に期待です。
この国の家族のかたち
小津とか山田洋次とか、いわゆる日本的な家族のかたちというものを踏襲しつつ、現代における新しい家族像というものを作り出しているように感じさせてくれる見事な映画だと思う。
すごく笑ったし、ポロリときたし、典型的な家族の灯り人間模様を描いてはいたけれど、決してステレオタイプではない、それでいてどこか真実味のある、絶妙な典型的・演出・絵づくりに予想以上にハマってしまった。
名優の名演と、初々しい演技が見事に融和して、その情景を安定したカメラワークで淡々と映し出しているところなどは、まさにザ家族映画といった感じなんだけど、退屈な感じは全くなくて、最初から最後まで凄く楽しめた。
全体的にシンプルな映画だという印象だったけれど、だから尚更この映画の素晴らしさを身にしみて感じた。
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