「実録怪異譚 呪いの迷宮屋敷 【ネタバレ無し・長文&駄文注意】」ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
実録怪異譚 呪いの迷宮屋敷 【ネタバレ無し・長文&駄文注意】
【今回は趣向を変えて某ヒゲの怪談士っぽくレビュー。
ネタバレ無いですがくだらない上に長文注意です】
あれは――……今年の7月初めくらいでしたかねえ……
その日は朝から晴れたり曇ったりを繰り返す変な天気でね、
暑いし湿気もあるし何だかヤーな感じだなぁと思ったのを覚えてますよ、ええ……
その日は休暇を利用して、
名古屋の伏見という所に遊びに出掛けたんです。
あたし、趣味の関係でいろ~んなホラー映画を
観るんですがね、東海地方ではそこぐらいでしか
上映してないホラー映画があったんだ。
それでね……コレ言っちゃっていいのかなあ、いちおう
伏せ字にしますけど、“Fミリオン座”って映画館なんですがね、
あたしたまーに行くんですが、カフェみたいな雰囲気
のある綺麗な良~い映画館でね……ええ……ええ……。
チケットを買って案内に従ってツツツーっと劇場に入った。
ところが入ってすぐに、あれぇ?と不思議に思ったんだ。
劇場内にお客さんが10,20人ほど座ってる、
なのにみんな妙ぉぉに静かなんだ、
時々ヒソヒソ話が聞こえるくらいでね……。
おまけに劇場内の照明もうっすらと暗いし、
どこからともなく冷気も流れてきててね……。
思わずウウウッ!と身震いしちゃって、
おいおいなんだか通夜の席みたいじゃねえか、
なんだか気味が悪いなヤだな~、と思ったんですが、
とにかく座って、じぃーっと様子を伺ってたんです。
そうするうちに照明がひとりでにスゥーッと
音もなく消えてね……もう辺りは真っっ暗ですよ……
そうしていよいよ……映画が始まっちゃったんです……。
...
ああこれ、皆さんもご存知かなあ……
この映画ね、実話が基になってるんです。
ウィンチェスターハウスはカリフォルニア州に
実在する屋敷でね、増築に増築を繰り返して
迷路みたいに複雑になってるおかしな屋敷なんです。
部屋の数160、窓の数1万、暖炉47つ、煙突17本!
ねぇすごいですよねえ……。
二階へ続く階段が天井で塞がれてたり、
戸棚かと思って開いてみたら実は狭ーい通路
だったり、とにかく妙ぉな造りになってるんだ。
ここは第1次世界大戦で多くの兵隊さんが使った
有名な銃・ウィンチェスターライフルを製造した、
ウィリアム・ウィンチェスターさんのご夫人が
建てたお屋敷なんです。
このサラ夫人とウィリアムさんとの間にできた長女は
生後たった1ヶ月で亡くなってしまってね、その後は
ウィリアムの父親が死んで、そして最後には
ウィリアムさんも死んでしまったんですね。
……ねえ、おかしいじゃない、そんな立て続けにね……
残されたサラさんはすっかり怯えちゃってね、
藁にもすがる想いで霊媒士に助言を求めたんです。
そしたらね……
「……奥さん、アンタね、
アンタの周りにはものすごい数の怨霊が憑いてるよ、
アンタのご主人が造った銃で沢山の人が死んだからね、
アンタ、このままだと一族もろとも呪い殺されちゃうよ、
怨霊の魂を鎮めるためにアンタはね、
銃で死んだ人たちのために豪華なお屋敷を建てて、
それを増築し続けなければいけないよ……」
...
そうしてサラさんは巨大な屋敷を建て始めるんですが、
映画はそんなサラさんの精神鑑定を
依頼されるお医者さんが主人公なんですね。
最初はこのお医者さんもサラさんを疑うんですが、
やっぱり屋敷の中がどぉぉにもおかしいんだ……
サラさんの動向を調査するためにお医者さんが、
真っ暗な部屋で扉をソロ~っと覗き込んで、
ジイイ~っと様子を伺ってたらね……ウェッッ!
いきなり扉の隙間からモノスゴい形相をした男の霊が
ヒュッ!と現れてこっちを睨み付けてきたんだ!
男の顔を一目見てあたしはすぐに気付きましたよ、
ああーこの人、この世の者じゃない!ってね……
嘘だと思うじゃない、けどね皆さん、
これ本当なんだ、確かにあたしこの目で見たんだ!
劇場にいた人たちもみぃんな見てるんだから!
それからも屋敷ではいろ~んな怪奇現象が起きましたよ……
釘で封印してる扉がひとりでにスゥーッと開いたと思ったら
そこからバッ!と霊が飛び出してきたりね、
壁から長ぁ~い女の指が耳元にスススーッと伸びてきたりね、
おいおいなんだよこの家は、こわいな~こわいな~、
ウウウ~!と何度も目を閉じそうになりながら、
ナンミョウホウレンゲーキョーナンミョウホウレンゲーキョーと
あたしは必死に唱え続けて見てましたよ、ええ……。
...
ただこの映画、怖いんだけど、非常に良い後味でね……
この世に未練を残して死んだ人の恨み辛みってのは
やっぱり怖いし恐ろしいものですよ、だけどね、
その根底にあるのはやっぱり悲しみや苦しみなんだ。
なかにはとことん怒り狂って手の付けられないような
恐ろしいのもいますけどね、この映画ではそういう
恐ろしい霊の最期さえもやっぱり……
哀れを誘うように描かれていましてね、
あたしもこういう生業をしている以上は幽霊
(の出る映画)と何度も接触しているんですが、
彼らの悲しみや苦しみを理解してあげれば、
必ずしも恐ろしい霊ばかりじゃないんだなーと……
思いましたねえ、ええ……
生者の側も良いドラマがありましてね、
特にサラさんはね、彼女は自分たちの造った銃で
多くの人々が死んでしまったことを心の底から
悔いていてね、悲しい想いを遺して死んだ人々の為に
何ができるかを一心に考えている優しい人なんだ。
と同時に、自分の家族を命懸けで守る覚悟もある。
演じるヘレン・ミレンの妙演もあって、威厳と優しさに
満ちた実に良いキャラクターになっていましたねえ。
その他にも、主人公が過去のトラウマを乗り越えていく姿や、
サラさんの姪が息子を守るために強くなろうと決意する姿
とかも、なかなか胸に響くものがありましたよ、はい。
...
けどね……ああこれ、言っちゃっていいのかなあ……
ホラー映画としての演出はね、いきなりドン!と
幽霊が出て驚かせるだけのパターンが殆どでね、
そこはちょっと残念だったなあ。
いきなり大きな音と怖い顔で驚かせる、いわゆる
“コケオドシ”演出かな、それで怖がらせてばかり
というのは、ホラー映画の演出としてはちょっと
安直過ぎますかねえ
なので観賞後も引き摺る怖さとか、じっとりとした
怖さというのはあまり無くてですね、ドラマ要素が
強い分、恐怖は弱めかなあとも思いましたね、ええ。
逆に言えば、あまり怖すぎずドラマが良いので、
ホラー苦手な方も見易い、とも言えるかもですかね。
しかしね、サラさんはよく描かれてると思うんですが、
主人公のお医者さんの過去や、サラさんの姪とその息子
についてはやや描写不足でね、特に息子さんの方は、
母親や亡父への想いみたいなのをもっと細かく描けば、
もっとシンパシーを感じられるキャラに
なったんじゃないかと、勿体無く思いましたねえ。
...
長々と話してきましたが……あたしの話はここまでになります。
最後までお付き合いいただいてありがとうございました……。
しかしね皆さん……ひとつだけ、どうも不思議なことがあるんだ……。
あたしね、このレビューを7月初めに書き始めたはずなんです。
だけど書き上がってここに投稿したのは、9月17日……。
ね? いくら何でも遅すぎると思うじゃない?
レビュー書くのをサボってでもいない限り、
こんなことにはならないはずなんだ。
けどね皆さん……(苦笑いを浮かべて)
あたしね……ピンと来ちゃった、うん、ピーンと来ちゃった。
これはね……あたしにこのレビューを書かせまいと、
霊が取り憑いていたんですよ……。間違いない、
これはあの映画館で死んだ地縛霊の仕業だったんですよ……!
(嘘ですサボりです伏見ミリオン座さんごめんなさい)
<2018.07.01鑑賞>
伏見って官庁街?オフィス街でしたっけ?映画館があるんですね。〇〇座という名前の映画館ってそれだけで趣を感じます。でもカフェもあって、新しい感じなのかな🤔全国の映画館巡りというのもしてみたいです。映画と全く関係ない話ですみません。