「情念のどす黒い闇」去年の冬、きみと別れ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
情念のどす黒い闇
斎藤工と岩田剛典・・・作者が仕掛けた罠
かなりヤバい世界の話でした。
原作だと、斎藤工(カメラマン)は死刑囚として投獄している設定、
なのだそうですから、映画はかなり変更されてる気がします。
後出しで、岩田剛典の演じるライターの男の裏の顔と言うか、
相当マッドな実像が現れるラスト。
こいつも斎藤工に負けず劣らずの犯罪者なのかも・・・と、
ミステリーとして予想外に面白かったです。
作者の中村文則さんは、全く知らなかったのですが、
まだ46歳のそれなりに若い方で、芥川賞や国内の文学賞を
数多く受賞してるのみならず、アメリカでデヴィッド・グーディス賞、
とやらを受賞しているとか。
岩田扮する新新ライターは、カメラマンの齋藤が以前の火災の時、
焼けるモデルの女性の写真のシャッターを押し続けていた。
そんな疑惑を取材して記事を週刊誌に掲載してもらい、
最終的には本として刊行しようとする。
そして積極的に斎藤工に接触してインタビューを敢行する。
カメラマンは協力的で、「自由に取材して良いよ」と、
自宅の豪邸の鍵を渡してくれる。
そして木原坂(齋藤)が過去に父親の殺害事件で姉と共に
不可解な事件の真相も明らかになる。
そうこうするうちに、ライターの邪雲(岩田)の過去にも、
謎があることが分かってくる。
果たして邪雲と木原坂の接点は?
邪雲の真の目的は?
本当に木早坂は生きたままモデルが焼け死ぬ光景を
シャターを押し続け、そして見殺しにしたのか?
それにしても邪雲の婚約者の百合子(山本美月)が、
捨て駒みたいに扱われて、とても不憫でした。
サイコパスに近づき過ぎると、自分もまた、
サイコになってしまう。
そんなドロドロした映画でした。
おはようございます。
緻密なプロットに脱帽です。
タイトルから恋愛モノだと思い込んでいて、避けていました。
男の復讐劇の背後にあったアキコの死の真相のむごさ。
バケモノを処罰するためにバケモノになる決心をしたことが凄すぎます。
面白かったです。