「アンの"困り顔"と、雑な怪獣のコミカルさが妙にマッチ。」シンクロナイズドモンスター Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
アンの"困り顔"と、雑な怪獣のコミカルさが妙にマッチ。
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異色中の異色。現在公開中の「スイス・アーミー・マン」(2017)のダニエル・ラドクリフの"便利な死体"役も凄まじい(笑)が、今度はアン・ハサウェイがボケをかます。
「プラダを着た悪魔」や「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイが演じるグロリアは、アルコール依存症のダメダメ女子。しかも突如、韓国ソウルに出現した"巨大な怪獣"は、酔っ払って朝帰り中の彼女のジェスチャーとシンクロして街を破壊することに気付いてしまう。
ゴジラのノソノソした歩みが、まるで酔っ払いの千鳥足みたいだという発想かもしれない。登場する"怪獣"と"ロボット"の造形が雑で、子供の落書きっぽい、そのデザインが、逆に可愛い。
シンクロしているのは単に動きだけではなく、アン・ハサウェイの魅力である"困り顔(申し訳なさげな顔)"と、"ウルトラ・ファイト(1970年の円谷プロ制作のテレビ番組)"に登場する、怪獣のコミカルさとクロスオーバーしているようで妙に魅力的。
設定があまりに強烈すぎて、"出オチ"になりそうなネタで、映画をどこに着地させるかに興味津々である。過去の心的トラウマが引き起こす病的な妄想を膨らませていくという展開は、やはり、先の「スイス・アーミー・マン」に近似している。
主人公はアルコール依存。何でもない健常者にはこの映画は単なるコメディだが、何らかの依存(ギャンブル、タバコ、薬、Sex、過食・・・etc.)に悩むヒトなら、多少の共感エピソードがあるはず。実は結構マジに社会問題に向き合っている佳作である。
(2017/11/3 /ヒューマントラストシネマ渋谷/シネスコ/字幕:仙野陽子)
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