我は神なりのレビュー・感想・評価
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表も裏もない。とっ散らかっていい感じ。
2013年のアニメーション作品。去年から知らずとも存ぜずとも新興宗教禍、エセ宗教に翻弄されてる日本で今見ておもしろいんじゃないか、
善悪も正義も不正義も幸福も不幸も丸っと反転し続ける感じが面白い。
誰がいいとか悪いとかないし賢いお嬢さんも最後は信仰に縋るしか無くて騙されて風俗で宗教に搾取されていても実の父親による暴力と人生自由の剥奪束縛よりマシとなっていて、詐欺、詐欺と共謀する宗教もわるいんだけど、そもそも多分不十分な説明合意形成と補償による村の水没も悪い、でもやはり1番の悪はミソジニーよね、てなると思う。だから、詐欺宗教それに縋る一見無知無垢に描かれる村人と比べこの映画のストーリーの中では、<善寄り>のことを実行してるような設定,人を先入観で見て正しいことをたまに言っても聞いてもらえないって言う社会の掟に阻まれる主人公の父親は、善より方向に活動するけど、こいつが1番のクソミソジニー男であるため、どうやっても誰にも肩入れできない映画。そこがいいんじゃないかと思う、アニメーションで、かなり荒い感じの絵で、殺伐とした感じが伝わるし、誰にも肩入れできない分実写だとキツ過ぎて、、、となりそう。牧師様がね、揺るぎなく大揺れに揺れておるのだがやはり彼が道を外したのもミソジニークソ親父が一因、起因であったし、信仰しようがしまいが、詐欺しようがされようが、どうでもいいけどミソジニーは本当に諸悪の根源で、あんたがいなくなってくれレバって牧師の悪魔の呟きはそうよね、そうよね、て思ってしまうよ。そのミソジニー権化の男が、なぜ自分はこの様に不幸かと問う娘に、暴力以外で唯一答えたことばが、これは全て運命だからだ、であり、運命と言い放つミソジニーの極み。そして最後のシーン。引きこもりと祈り。また一つのFake がここに立ち現れる。おい、Fateではなかったのか、オヤジさん。
で引きこもり中の親父さんの村、水没予定地のまま。他の住民はだれもいないようだがまだ水没しないのかな、、、、なかなか渾身の一作だと思う。最後にもう一度いう、ミソジニーが1番ダメ,子どもを親が支配する,人が他人を支配するのが本当に1番ダメ。
宗教と人の心の暗部という悪魔に取り憑かれた者たち
『新感染 ファイナル・エクスプレス』の前日譚『ソウル・ステーション パンデミック』でもアニメながらハードな衝撃作を放ったヨン・サンホ監督だが、本作はその比じゃない。
宗教や人の心の暗部をエグいくらいにえぐり取った問題作!
ダムの底に沈む予定の寂れた田舎村。
村人たちの心の拠り所になっているのは、ある宗教団体だった。
“牧師”と呼ばれる若い男と“長老”と呼ばれる中年の男は常に村人に寄り添い、牧師の有難い言葉に村人は耳を傾け、奇跡を目の当たりにし、天国に行けると信じている。
無論、この宗教は詐欺。
長老は指名手配されている詐欺師で、村人から有り金を騙し取っている。信仰心など全く無い。
見るからに怪しく胡散臭いのに、何故こうも騙される?
宗教とは、それほど人の心を惑わすのか。
それとも、身も心も廃れ切っている村人たちの何でもいいからすがりたい弱さか。
彼らの悪事に立ち向かう者が現れた。
村に帰ってきた一人の男。
きっかけはいざこざからだったが、指名手配のポスターに長老の顔を見つけ、村人たちの異常で異様な姿に危惧する。宗教にどっぷりハマってしまった娘を連れ戻そうとする。
一見、この男のやってる事は正しい行い。
が、どうしても共感出来ない。
と言うのもこの男、家族にも平気で暴力を震う粗野な性格。口も悪けりゃ態度も悪い。
単身宗教団体に立ち向かう理由も、村や村人を救いたいという正義の心なんかではなく、ただ自分を殴った長老をフルボッコにしてやり返したいだけ。
そもそも、娘が宗教にすがりついてしまったのも、この男のせい。娘が大学の為に貯めていたお金を全て使い、反省の色は全く見せず、それどころか殴る、蹴る。父を激しく憎み、恨み、そんな情緒不安定な時に、宗教を入り込ませる隙を与えてしまったのだ。
男に対する周囲の反応も冷たい。
男は村でも札付きのワルと知られている故、端から煙たがられ、毛嫌いされている。
なので、男がどんなにこの宗教団体が詐欺だと訴えても、誰も耳を貸さない。
それどころか、この男には悪魔が取り憑いてる。
警察に訴えても、信じて貰えない。
片や村人から絶大な信頼を得ている“善良”な団体、片や村人から厄介者扱いされてるクズ。
誰がクズの言う事を信じるものか。
歪んだ信仰心に加え、社会的立場の低い者への偏見が人の心の暗部により拍車をかける。
一体、誰を信じたらいいのか。
誰がこの最悪の現状を救ってくれるのか。
純粋に神を信じている牧師…と思っていた。
牧師はある時、村人同様、長老に騙され、利用されている事を知る。
長老は牧師の弱み(ある辛い過去)を握り、牧師はどうする事も出来ない。
自分の信仰心とは何なのか。
自分は本当に神に身を捧げられる存在なのか。
それでも村人は自分を頼ってくる。
神よ、自分はどうすれば…。
てっきり牧師が自分の心に目覚め、正しい行いをすると思っていたら…、確かにある行動はしたが、それは神の道にも人の道にも反れる所業。
粗暴な男も金の亡者の長老も見てて胸糞悪いが、最も質が悪いのは、偽善者の化けの皮が剥がれた瞬間。
まさかの形で、一応この村を揺るがした事件は片が付いた。
何も宗教やそれを信じる者全てが悪い訳じゃない。
しかしこの場合、悪徳宗教や人の心の暗部こそ、取り憑いた悪魔だ。
一体、悪魔は誰の心に取り憑いた…?
ラストシーンが何とも皮肉で、ゾッとさせるものであった。
主人公のキャラ崩壊
娘の入学金は奪って遊ぶけど、その娘が水商売に行ったら心配して連れ戻すって行動で、おかしいの。どういう思考回路だと、そうなるのか考えちゃった。
主人公一人だけ、真実を言ってるんだけど、周りは誰も聞いてくれない。「そりゃそうだよね」という主人公の悪行っぷりなので、感情移入できないんだよね。
テーマは面白いんだよね。信仰とか信じるってどういうことかってことを問うてるの。でも話を回す主人公がなんかあれだから、冷めちゃった。
最後の「お前が一番悪かったのか!」ってのも、冷めためで見てるから、インパクト薄くなっちゃったな。
重力の強さ
何故にこの作品がアニメーションで作られたのか、非常に興味深い作品であった。
崔洋一監督『血と骨』のそれと同じなとんでもないアウトローな親父と、ダム建設のため水没される村の住人、そして親父の娘、最後に宗教家の男と利用する詐欺師の物語だ。
結論からいうと運命で片付けてしまうハードコアな内容なのだが、その誰にも救われず、テーマの通り天国(死)に逝く順に解放されていくという身も蓋もない有無を言わさぬ重量級内容だ。
久しぶりに『韓流』ではない、韓国映画を表現したテーマで、改めて自分のルーツを否応無しにぶつけられた、頬を叩かれる想いだ。
作画自体のクオリティは正直低いのは否めない。只、却ってシンプルな造りが、今テーマの重さを救っている利点があるのではないだろうか。理不尽で不条理、誰も幸せになれず、破滅の道を怒濤のように突き進むシークエンスは正に韓国だからこその表現技法だと思う。娘がホステスになり接待してる客から乳首を弄られているシーンの生々しさからも分かるように、オーバーリアリティな演出を追求している事が痛い位伝わってくる。
バッドエンドも又テーマとして正しい選択であり、自由主義社会の暗部を白日の下に晒そうとしているのか、はたまた、『悪魔』の仕業なのか、その境界線が曖昧に滲み出てくる重い重い作品であった。
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