「重力の強さ」我は神なり いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
重力の強さ
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何故にこの作品がアニメーションで作られたのか、非常に興味深い作品であった。
崔洋一監督『血と骨』のそれと同じなとんでもないアウトローな親父と、ダム建設のため水没される村の住人、そして親父の娘、最後に宗教家の男と利用する詐欺師の物語だ。
結論からいうと運命で片付けてしまうハードコアな内容なのだが、その誰にも救われず、テーマの通り天国(死)に逝く順に解放されていくという身も蓋もない有無を言わさぬ重量級内容だ。
久しぶりに『韓流』ではない、韓国映画を表現したテーマで、改めて自分のルーツを否応無しにぶつけられた、頬を叩かれる想いだ。
作画自体のクオリティは正直低いのは否めない。只、却ってシンプルな造りが、今テーマの重さを救っている利点があるのではないだろうか。理不尽で不条理、誰も幸せになれず、破滅の道を怒濤のように突き進むシークエンスは正に韓国だからこその表現技法だと思う。娘がホステスになり接待してる客から乳首を弄られているシーンの生々しさからも分かるように、オーバーリアリティな演出を追求している事が痛い位伝わってくる。
バッドエンドも又テーマとして正しい選択であり、自由主義社会の暗部を白日の下に晒そうとしているのか、はたまた、『悪魔』の仕業なのか、その境界線が曖昧に滲み出てくる重い重い作品であった。
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