月子
劇場公開日:2017年8月26日
解説
父を亡くした青年と施設から逃げ出してきた知的障がいの少女、行き場を失った2人の旅を描いたロードムービー。ある日、タイチの唯一の肉親である父親が首を吊って死んでしまった。父親殺害を疑われたタイチは仕事もクビになり、居場所を失ってしまう。父をたった1人で荼毘に付した日、タイチは施設から逃げ出してきた知的障がいのある少女・月子と出会う。月子は何度も自分の家に帰ろうと試みるが、そのたびに施設に連れ戻されてしまうといい、背中の傷からは彼女が施設でひどい扱いを受けていることが容易に想像できた。タイチはそんな月子を親元に送り届けることにしたが、彼女の家の手がかりは「海の音の聞こえる場所」、それだけだった。月子役に「私たちのハァハァ」の三浦透子、タイチ役をNHK連続テレビ小説「ひよっこ」、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の井之脇海が演じる。撮影を是枝裕和監督作品で知られる山崎裕が担当。「海辺の生と死」の越川道夫の監督第3作。
2017年製作/122分/日本
配給:スローラーナー、フルモテルモ
スタッフ・キャスト
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2022年7月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
三浦透子の演技は自然で、やはり只者ではなかった。
知的傷がいのある少女の役なのだが、その表現が独自のひらめきがあり、
とても良かったです。
無料配信で勝手に自分の意志で観て、文句を言うのもナンなのですが、
この映画を撮る意味が分からないですね。
知的傷がいのある少女と、親に自殺されて孤児の青年のロードムービー。
無理して理由をつければ、孤独な2人が身を寄せ合う・・・
詩情あふれる(やっぱり褒めすぎ!)
詩情もほのかに・・・見え隠れ!!
タイ米でお茶漬け・・・みたいなパサパサ、副菜は何も無し。
(少しはオカズをつけてほしいものだ)
後は観客の想像に任せる・・・そんな作風。
ラストも、ご想像にお任せします・・・では困るのです.
あと、夜のシーンがほぼ真っ暗(配信のせい?でも、ないと思うのだけど・・・)
2017年.監督:越川道夫。
マイナー中のマイナー映画。
「ドライブ・マイ・カー」の三浦透子の二十歳位の主演作です.
透子ちゃんは、あどけなくて可愛い。
(越川監督の「海辺の生と死」を観ずにのレビューなので、偉そうに言えませんが・・・)
自閉症は程度によって非常に症状に差があると言う。
近年さまざまな症例をまとめて自閉症スペクトラムと呼ぶようになったらしい。
(アスペルガーも含むと聞き驚いた)
ほとんど一般的には気付かない軽度の場合とほぼ言語が無理なくらいで歩行もおぼつかない重度の場合と
知能の遅れのない、むしろ知能は平均より上だと言われているアスペルガー症候群も一緒くたんにする方が違和感あるが。
昔は自閉症とは言わなかった 知恵遅れ も
今はきっとこのカテゴリーなのだろう。
三浦透子の演技については
もう それ にしか見えない部分が大半。
こうはならない ああはならない
とは言えないのは 自閉症自体に ムラがあり非常に個人差があるから。
遺伝的要因が大きいのでは?
と思うのが、やはりきょうだいやいとこなど親族に繋がりのある発症が見られる所。
私の知る限り、きょうだい発症とそうでない場合とでは
程度に差はあるがきょうだいともに という場合が倍以上あるように思う。
ただ 親の場合は完全な健常者であるので、たぶん複雑な絡み合いがあるのでは?と推察する。
月子の場合
行動を共にするのが大変困難という
言い方はあれだが、たぶん一般的に言うところの自閉症。
これも私の単なる想像だけれど、渋谷での撮影はゲリラ的に撮ったのではないか?
周囲の 彼らに対する目が エキストラのそれとは明らかに違う。
父が目の前で自殺して行くのを 黙って見ていた息子が
家に帰りたいと脱走してきた自閉症の少女を連れて
彼女の家を探す。
その困難さを描いた部分に
評価の星⭐️⭐️をささげる。
結末は、「はあ? そこ一緒に持ってくるか?」
で 落胆。
2022年1月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
なぜだろう。大きな事件は発生しない。街を彷徨うだけ。長いカット。退屈な時間。でも目が離せなかった。2人がたどり着く先が気になって見続けてしまった。月子が心を許し、タイチが惹かれる。万人にオススメという映画では無いかもしれないが、いい映画だった。
でも普通、施設も警察もすぐ捜索して、都心では誰かが通報して、二人は捕まるでしょうね。
2018年4月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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高崎映画祭にて
かなり厳しい、メンタルを深く抉る作品である。かなり強い広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)を患っている女性と、父親に恵まれず、それ故に死のうとする父親を見殺しにした男との偶然の出会いからのロードムービー(冒険譚)がプロットとなっている。テーマは『純粋との邂逅』。
発達障害とはつまりピュアな精神を保ち続けること。故に実生活、実社会では溶け込み難い、かなり異質な異世界的対立になってしまう。しかし、だからこそまるで地上に舞い降りた『天使』の如く、社会に適用している人間に、その貴さを確認せしめる対象でもある。そんな『天使』役を担った本作品の女優さんの素晴らしい演技は正に称賛以外に表現しようがない。かなり研究したであろうその振る舞いは、『スペクトラム』の意味のように、その症状の広さを巧く作品に成立しえるギリギリの演技レベルに落とし込んでいる。シーンによってはかなり冗長なりうるその障碍特有の仕草も、それだけ狙った演技であろうことは容易に想像出来る。大変痛々しく、そして、大変愛すべき演出なのである。背中に拡がる痣、施されていたであろう性的暴力、そのどれもが今日の社会問題をきちんと織込んだ内容であり、それが痛々しくも演出としてきちんと表現している。対照的に男の演出も又、父親や社会を憎む態度が徐々に溶かされてゆく演技も又、見事である。しかし、女優には敵わないが・・・・ 渋谷の交差点を見下ろしながら、主人公の天使が発する『みんな、迷子ですよ』のつぶやきは、相当心を揺すぶられるキラーワードである。
愛知にいくと思っていたのが、福島だったのは自分の勘違いだったのかもしれないが、女の小さい頃の服に縫い付けてあった住所が読み取れなかったのはアングルのせいかなと一寸残念であった。いずれにせよ、オチが女の家族自体が震災で津波に浚われてしまった、結局二人とも天涯孤独だったということに一定のカタルシスが得られ、ラストカットの渋谷スクランブル交差点での手を繋いでのショットは胸を熱くさせた。かなり秀逸な作品である。