劇場公開日 2018年2月24日

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「良くも悪くも「マリー」節」さよならの朝に約束の花をかざろう 猫シャチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0良くも悪くも「マリー」節

2018年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「長命種と短命種の、生の尺度の違い」をテーマとした作品は悲劇ものや感慨ものとしてはポピュラーですね。本作もその路線を踏まえつつ、母と子の物語を加え、より普遍的なテーマを描こうとしています。

ありがちな男女の恋愛ものとせず、最後まで「母と子」という視座で描ききった点は良かったと思います。普遍的であるからこそ胸に迫るものが確かにあります。映像も音楽も素晴らしく、劇場でこそ見る価値あり。特に、背景の奥行き感と背景動画(CG含め)が秀逸。

基本的に見て損はない作品ですが、やや展開が早すぎて、分かり辛い部分も。

本作は個人的なテーマを描いている割に、背後のお話が大掛かりなんですね。イオルフの民が離散したり、人間世界の大きな戦争を描いたり・・かなり展開が激しいのですが、マキアと成長していくエリアルの人生を追いかけるため、碌な説明が無いままに、どんどん時代が進みます。何がどうなっているのか、キャラクターを取り巻く背景をきちんと把握出来ないままに、次々と新しい展開へと進むため、ちょっとモヤモヤして気持ち悪い。

中盤、マキアの動きがキビキビとしてきた(それを作画でちゃんと見せる)酒場のシーンで、彼女の「働く母親」としての経験が積み上がっている様を表現する演出はとても良い。それなのに、終盤になるにつれ台詞による説明過多が目立ってきます。脚本家出身の監督さんだからでしょうか?「とにかく台詞によって伏線を回収したい、そして綺麗に締まる台詞をキャラクターに言わせるぞ!」という欲のようなものが垣間見えますね。もう少し映像に委ねつつ、視聴者に解釈の余地を残しても良かったかも?

個人的には、岡田麿里さんの初監督作品という事なので、荒削りでもいいのでもっと伸び伸びとした映画を作って欲しかった気もします。岡田麿里さんは監督をやってない(脚本家の)時の方が伸び伸びと無茶をしていたので、そういう意味では逆になっており面白いですが笑

猫シャチ