劇場公開日 2018年9月1日

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「何でも手に入ると思ってる女の恐ろしさと、何でも盛り込めば感動すると思ってる脚本の恐ろしさ」寝ても覚めても わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0何でも手に入ると思ってる女の恐ろしさと、何でも盛り込めば感動すると思ってる脚本の恐ろしさ

2020年7月18日
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 不倫報道を全く考慮せずに見たとしても、この映画は最初から最後までホラー映画でした。違和感があるし、怖いし、気持ち悪いし。日本だけでなく、外国でも評価されてるのも恐ろしいなと思った。

 良いところ。とにかく演者。最高です。
 東出昌大さん。彼は、佇まいだけでお金が取れる稀有な役者だと思っています。関西弁は肌に合っておらず、棒読みにすら聞こえてしまうけど、その存在の不気味さや空虚さを演じさせたら、日本トップクラスだと思う。映画で言うと『桐島、部活やめるってよ』、ドラマで言うと『あなたのことはそれほど』などで見せる、何を考えているのか何が幸せなのか伝わってこない危うさを兼ね備えた演技が爆発していました。
 唐田えりかさん。最高。こういう女に引っかかってしまうから僕はダメなんでしょうけど。セリフにも出てきていましたが、純朴そうに見えて裏がある、というより『純朴すぎて周りに迷惑をかけても自分を押し通せばいいと思ってる』役柄が合います。ドラマ『凪のお暇』でも、出過ぎないように見えて、大胆に行動する役を丁寧に演じていました。
 お二人には、まだまだ映画界で活躍してほしいと切に願っています。
 他に出てくる役者の皆さんも、素晴らしかったと思います。

 ただ、ストーリーには全く共感できませんでした。前に好きだった人に似ている恋人と…っていうのは少女漫画などでありがちなストーリーですが、「そんなキラキラした映画じゃない!」と言ってくるようなオープニングカットの爆竹を使った演出。ここが個人的にこの映画のピークでした。
 他人のバイクを借りて事故してキス???
 結婚を意識する歳や状況になってまでなぜその選択???
 葛藤しているようで登場人物だれも成長してなくない???
 「これが女性の恋愛です」っていう演出して、女性は怒らないの???
などなど違和感ばかり、、、

 それぞれの登場人物が、感情の赴くままに動いたかと思えば、都合が悪くなると簡単に翻すことの繰り返し。特に朝子は最終的に亮平も猫も手に入れてしまうことで、全てが自分の思い通りになると信じ切り、実現させてしまうのがフィクションとはいえどうなのと思ってしまった。

 そして何より、東日本大震災やALSなどをご都合主義のように盛り込んでいるのが、生理的に受け付けませんでした。

 この監督の次回作と、繰り返しになるけど東出×唐田の復活に期待します。

わたろー