「虚構を通じて現実を描くこと。」寝ても覚めても バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
虚構を通じて現実を描くこと。
すごく卑近でどうしようもなくあけすけに恋愛を描いていると思うのだが、全体を通じてなにか別次元の世界を覗いているような虚構感があり、映画とは徹頭徹尾作り物で、作り物を通じて「感情」や「人間」を映し出すものなのだなと、あまりにも当たり前なことに改めて向き合った気がする。
小うるさい関西人である自分にとって、キャストが全然関西出身じゃないという事実に驚くほど関西弁でのやり取りが自然に響いていていた。結局、自分たちが方言に感じる違和感はイントネーションや発音ではなく(それも本作は素晴らしいと思うが)コミュニケーションが成立しているどうかなのだという確信も得られた。
つまり言葉のやり取りはとても自然なのに、映画の持っているリズムや表現がいちいち非現実的で、とても不安な気持ちにさせられる。しかし気がつけばその表現に魅入られている。ヘンな映画だと思うが、ヘンじゃない映画なんて面白いだろうかとそんな極論まで言い出しそうになる。
コメントする