「日本映画史上最も最低なカンヌ出品作品」寝ても覚めても フラさんの映画レビュー(感想・評価)
日本映画史上最も最低なカンヌ出品作品
世間では、黒沢清だ、成瀬だ、絶賛するコメントが多いですが、そもそも、シネフィルがお互いに誉めあって、一般の観客とは違うのだ、という感覚で盛り上がるのは、とても違和感。
取り巻きが、あーでもないこーでもないと絶賛評を投じ、それを信じて期待を膨らめ観に行くと肩透かしをくらう。
日本映画を世界に売り込むためには、このくらいの取り巻き絶賛論がないとなかなかパイプができないのかも知れないが、だったら客を抜かして業界だけで楽しくやってくれと。
解説がつかないと楽しめない映画なんてどうでも良いと思ってしまう。
蓮實氏の論評を読んでいかにも同調して理解し、「俺は映画を理解できてる」と言わんばかりの一部での盛り上がりは気持ち悪い。
はっきり言って一般的には全く受け入れられないマニアのための映画だと思う。
濱口監督の特徴である遠景ロングショット、長回し、会話劇、採光設計、震災…、映画の随所に「らしさ」がみられるのだが、商業を意識した結果の「省き」と思われる雑な部分もちらほら。ただ、これは紛れも無い濱口の映画になっているのがファン心には複雑なのである。
フランスではホラーとして扱われ、黒沢清を真似たかのような不穏さの演出には辟易。あんな演出黒沢清1人で十分。ま、お師匠だから仕方ないのだが。
とにかく映画もそれを取り巻く環境も気持ち悪っ。
今までの映画が素晴らしく、日本を代表する監督になる器があっただけに、今回の自分を殺してまで映画にしたのであろう失速感は残念極まりない。
濱口監督はインディペンデントで素人使って自分の納得できるスタイルで納得行くまで作品に取り組んでやってるのが合ってると思う。商業映画にはむかない。