「『ショーシャンク』とは腹違いの兄弟」立ち去った女 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
『ショーシャンク』とは腹違いの兄弟
長尺映画の鬼才、ラヴ・ディアス作品は初体験ということで、相当に身構えて観た。4時間近い上映時間、基本的に長回しのフィックス画面で描かれる、深遠な復讐劇である。
ところが、重厚な画面に圧倒され、ねじ伏せられるだろうという勝手な予想は大間違いだった。緻密に構成されたフィックス画面、というよりも、敢えて完成度を追い込まないような隙のあるショットも多く、難解さも感じない。確かにテンポは速くないが、いつの間にか慣れてしまい、気がつけば長さもさほど感じなかった。
物語のベースはトルストイの短編小説で、実は同じ小説にインスパイアされてスティーブン・キングが書いたのが『ショーシャンクの空に』の原作だったりする。いわば『立ち去った女』と『ショーシャンク』は同じ父親を持つ腹違いの兄弟みたいなもの。それを踏まえてこの映画を観れば、おのずとハードルも下がるのではないだろうか。
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