人間機械のレビュー・感想・評価
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【”人間が健康に働ける職場作りと、殊遇を・・”経済発展著しいインドの繊維産業の実態を描いたドキュメンタリー作品。】
ー ラーフル・ジャイン監督がインド北西部、グジャラート州にある繊維工場で撮影。ー
◆感想
・私の勤務している会社の中に、繊維機械を製造している事業体がある。主な顧客は、今作で描かれているインドと中国である。
インドは、繊維産業大国なのである。
・数年前、この工場の近くの別の工場に仕事で行った事がある。
工場内を見せてくれたが、高温多湿、物凄い騒音、飛び交う粉塵に驚いた。
一番驚いたのは、リスクアセスメントレベルⅢ以上と思われる工場内で働く労働者達が、マスクも保護具もしていない事だった。今作で描かれているように、布で口を覆いながら瀧の様な汗を流しながら作業していた。
一緒に行った労働組合の先輩は、余りの熱さで、2時間で倒れたものだ・・。
・恐ろしかったのは、”労働組合を作っても会社がリーダーを殺すから労働組合が出来ない”・・”と言っていた男の言葉である。
・あの環境下で12時間労働・・。少年も多かった・・。
オートメーション化が遅れているためなのか、手作業が多い、4Sの出来ていない職場。
<会社の経営者が、労働者を語る愚かしき言葉。”奴らの賃金を上げても、無駄に使うだけだ・・。”
使い捨ての労働者達。
ラストのテロップで流れたように、インドの繊維産業の労働者の労働環境、処遇の改善を望むのみである。>
機械のための人間
終始燃料や機械音が鳴り響く、サウルの息子を思い出す、人を落ち付かさせなくさせる絶え間ない騒音。べったりとしたインドの湿気を感じさせる映像。機械やシンプルなロボットは音を立てたりしなやかに回ったり中にピカピカに磨かれたようなものまで回転して織物を仕上げていく、その下ではまごうことなきマンパワーで機械様のために奉仕する人間の労働者たち。台車やカートを用意するだけでも重い布や染料を肩や頭に乗せて運ばなくても良いのに。経営者や斡旋業者は台車には1ルピーも支払う気はさらさらない、いくらでも調達できる出稼ぎ労働者のほうが安いからだ。機械化されている部分と、極端に機械化どころか道具もないような人間労働者が受け持つ仕事その対比がむごい。
映画館にいたら、機械音につられて寝てしまったかもしれない、機械から出てくるか布を手で受け止める12時間シフトで働く少年を見ながら。 なんということだ。
撮影するものに訴えかける人。撮るだけ撮ったら明日には他所へ行くんだろう、この状況をかえてくれ、変えてくれルナらみんなついていくよと語る人。ドキュメンタリーに関わらず現実と芸術篦はざまでなにができるのか、すべきなのか、答えはわからない。インドでお土産に買い求めた美しい布もこのように作られていたのかもしれないと思うと、映画を撮るものも見るものもこのように無力でよいのかと自省する。
半寝...
こんな現状があることを知り、驚きである。
あまりに過酷であまりに劣悪な労働環境である繊維工場で、無機質で凄まじい轟音が鳴り響く仕事場で、全く生気のない労働者が機械的な動作で働いている。
ただただ悍ましいと思った、しかし、皮肉にも仕上がった織物が、天の羽衣と言わんばかりに華美である。生も根も尽き果てた労働者が、その美しい織物の上で、眠りに落ちまくっている。出稼ぎにきた労働者「なぜにこんな過酷な条件で労働をしなくてはならないのか。」という疑問が、終始、私の頭を駆け巡っていた。満足に教育を受けていない子供から熟練した大人が、同じ職場で日々あくせく働いている。何一つ不満を漏らさずに働く姿に、尊敬の気持ちを感じずにはいられない。カメラのアングル等の良さからか、観ている私に、このような現実があることを知り驚かされた。
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