ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリスのレビュー・感想・評価
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図書館関係者刮目せよ
出版・図書館好き一般人として遠方まで出掛けて観た。NYPLについてはぼんやり聞いたことがある程度だったけど、何が凄いのかよく分かった。アメリカの民主主義を支えるという気概、これに尽きる。日本で流行っているダイバーシティと比べると、アメリカにおいてそれは否応なく内包し続けているものなのであり、だからこそ開かれた「公共図書館」の意義が大きいのであるとよく分かった。ナレーションやテロップを一切使わずに淡々とドキュメンタリー映像だけでそれを浮き彫りにするこの映画、とても素晴らしい作品ではあるものの、途中休憩含めて4時間近くになる上に抑揚なく様々な場面が繋がっていくので眠くなるが、ストーリー映画ではないので多少寝ても問題ない。平日午前中、ほぼ満員の周りの観客も、寝たり起きたりしながら観ていた気がする。パンフレットの中身が充実で、復習用の補足資料として必須。
翻って日本の「公共図書館」行政、今後どうなっていくのか。
分からせようとするのは下衆だ。
【メモ】
図書館の概念が変わった。
公共図書館は、全ての人達に開かれた場所でなくてはならない。
人間Googleが、訪れた人達に必要な情報を与えてくれる。
人種、宗教、障がい、ホームレス対策、NYの問題、世界の問題の縮図がここにある。
ナレーションなし、過剰な音楽なし。図書館の裏側を通して、全ての人に開かれた社会とは?と問う。
移民への英語教育、ネット環境のない方達へ機材の貸し出し、高齢者のダンス教室。
何一つ声高に主張しない。
が、そこには某大統領が否定するものがある。
「分からせようとするのは下衆だ」と小津安二郎は言った。
最近は「分からせよう」とする下衆な作品が多い。久々に良質のドキュメンタリーを観た。
ワイズマン監督はドキュメンタリーの巨匠だけど、日本ではあまり知られてない。
SATC2でキャリーの結婚式に使われてたのにも、意味があったんだよね。
公共施設としての意義と葛藤
中・高校生達に観て欲しい。見識が広まります。
普通のドキュメンタリーにあるナレーションや解説が皆無で、構成されているのに、とても面白い。
図書館内での、講演や演奏会や会議などの様子の映像をコンパクトに挿入する事で、様々な話題や問題を提起して分かりやすい。
色々な講義で知る言葉は、メモしたいぐらいに勉強になります。
もちろん、字幕の方を読む事による情報量は、普通の映画と比べても3倍近くあるので、大変だが。
しかし、ニューヨークの図書館の役割の広さは、結構凄い。
本の所蔵閲覧以外の活動で就職斡旋やネット環境レンタルなどやっているのは、結構な驚き。
高校生ぐらいの時に、この映画を見せると見識が広がると思います。
フレデリック・ワイズマン監督の映画は、初だが見せ方が流石に上手い。
公共図書館のあり方を考えさせるドキュメント
アメリカのニューヨーク公共図書館のエクス・リブスの内部ドキュメントは大変興味深かった。私は公共図書館は自分か知りたかった事を調べ見つけた時の喜びの場だと思っているがアメリカの公共図書館は日本以上の感動があると再認識させられた。図書館だけでなく、作家を呼んでのトークや講演、読書会などイベントが盛りだくさん。IT講座やダンス教室など驚く事ばかり。しかし、デジタル化の現実に取り組むスタッフの姿勢も見えて興味深いドキュメントだった。アメリカの公共図書館エクス・リブスのような図書館が日本にあればいいのだが。いいドキュメントだが監督の癖なのかもしれないがこの点はマイナス0.5減点。言論の自由が危うくなってきた今の日本で改めてこのドキュメントで言論の自由とは何か考えさせられた。日本の図書館運営が余計心配。
その多様性に驚かされたが、映画としては散漫な印象を受けた…
はっきり言って、エピソードの羅列なのだ。監督は、このエピソードの次はあのエピソードとこだわって編集したそうだが、私にはブツ切れの話がつながっているだけに思えた。それに残念だったのが、字幕。説明的過ぎてはいけないと思う。しかし、何がなんだかさっぱりわからなかった。観終わった後にプログラムを熟読してやっと、あぁそうだったんだと納得した始末。1回観ただけでどれだけの観客がこの映画を理解できるのだろうか? かなり疑問だ。例えば、リチャード・ドーキンスと言われてもピンと来ないが、「利己的な遺伝子」の著者と言われれば、あーあの人かと思える。エルビス・コステロにもスーパーが欲しかった。その他、館長とか、主任司書とかもっとわかりやすくしてほしかった。アメリカでは図書館に日本でいう公民館的役割も求められているのだろうか? そんなことを観ていて思った。私が一番気に入ったエピソードは、手話通訳が、独立宣言を怒りと懇願で訳すシーン。手話でもそんなことができるとは… 興味深かった。
退屈しないけどやっぱり長い
ワイズマンを劇場公開時で見るのは多分初めてだ。ネット時代での図書館の存在意義を真剣に考えていた。電子書籍の貸し出しもしていることに驚いた。英語で本が読めたらどれだけ世界が広がるだろうかと思うのだが、実際日本語の本も自宅に溜まる一方で全然読み切れていないので、広がるだけ無駄だ。思ったほど退屈はしなくて最後まで楽しくみたのだが、やっぱり長い。
図書館を超越した図書館
もうこの図書館は普通の人が思う「図書館」という言葉の枠をはるかに超えているのだけれども、カルチャーセンター、ではなくあくまでも図書館。
多種多様な人間が様々な目的で集う場所。
本を読む、ネットに繋がる、過去の新聞で調べ物をする、仕事を探す、有名無名の人間の講演を聴く、ライブを見る…「図書館」の可能性ってどこまで広げられるのだろう。
サービスを提供する側、される側が活発に交流し、ただの飾り物ではない意味のあるものにしようという心意気。
日本人はテンション低いしだいたい自宅でググって済んじゃうからか、こんなふうになる気は全くしないのだけど、しかし図書館運営だけに関わらずいろんな方面で刺激を与えてやる気を起こしてくれる勢いのあるドキュメンタリー。
普段関わりのないトピックの各種講演やポエトリー・リーディングも結構丸々見られるので、お得感あり。長いけど…。
正しく抗うために
世界中の図書館員の憧れ、というニューヨーク公共図書館。撮る行程それ自体がリサーチという撮影スタイルのため事前取材は無し。でも決して無秩序ではなく、取材で深まるワイズマンの図書館への興味を追体験するようで長尺も飽きない。(もちろん順撮り編集じゃないだろうからそう感じさせる構成が巧みなのだ)
「世界で最も有名な図書館」、有名な理由は単に蔵書量ではない。例えばある利用者が(公民権運動)について知りたければニーズをヒアリングして多角的に図書を勧めてたり、文学作品に対する討論会を開いたり、黒人の歴史認識が教科書に正しく記載されていない問題を話し合ったり…と「対話による知識の共有の場」を図書館が提供している点にある。言い換えればそこは、誰かの思惑が一方的に決めた概念を疑い、「選ぶための知識」を豊かに提供してくれる場なのだ。ニューヨーク(アメリカ)ってほとんど興味無かったけど、映画からアメリカの「民主主義」への誇りを感じ行ってみたくなった。そこでは個が意見を戦わせ、対話を恐れない。
それにこれがとても印象的だったんだけど、映画に出て来る市井の人たちみんなとても話が上手い。自分の考えを分かってもらえるようにどう話すか、日頃からそういう場があるからなのか。岡本社長とはえらい違いだなぁと思いながら見てた。別に岡本社長が話下手というわけではなくきちんと伝えたい核をもって対話に臨んでたか、その違いなんだろうけど。
奇しくも映画完成の2日後にトランプが大統領になったというこの映画。ワイズマンは「ニューヨーク公共図書館は、多様性、機会均等、教育といったトランプが忌み嫌っているものすべてを象徴する存在だ。」と語る。
この映画は単に有名図書館を紹介する映画ではない。民主主義とは何かを知り、民主主義の世界を生きるための映画だ。
まぁ3時間半と、長い事は長いんですけど…
バナナフィッシュの聖地
というミーハーな理由で見たが、図書館の様々な活動を断片的に見せることでニューヨークひいてはアメリカの問題を浮き彫りにしているのが見事。ただし長いので寝不足の時は見ない方が良いです。
それこそ図書と講演を20個くらい
溢れる知。好奇心。
インターミッション有とはいえ205分、この映像を観るのは非常な集中力が必要だ。
ニューヨーク公共図書館の講演と、風景と、内部の会議と、外の風景を淡々と映し出すスタイルで、説明も全くなく突然カットが飛ぶ。
そのため、かなりの知識がないと多分全てを楽しみきることができない。私も何について話しているのかさっぱり分からず、自分の知識不足を嘆くシーンがいくつかあった。
それでも、圧倒されるのはその知の殿堂としての図書館のあり方。単に本を所蔵するだけではない役割。調べものから歴史の記録、障害者に対する提供。図書館の幅広さを堪能できる。
本を借りるか勉強するくらいしか図書館に行ったことがなかったが、これを観ればまず知というものに興味がわき、そして図書館に行ってみたくなるはずだ。
ブレイク・ライブラリー
図書館についてのドキュメンタリーだが、いきなりリチャード・ドーキンスが「若い地球説」を唱えるファンダメンタリストを揶揄する痛快なシーンから始まる。エルヴィス・コステロのサッチャリズム批判にしろ、黒人奴隷について書かれた教科書の不見識にしろ、それぞれの内容は興味深いのだが、全編のうちこういった講演会などのイベントがかなりの時間を占めている。一部をつまんでコラージュするのではなく、結構な尺をとって紹介していく。フレデリック・ワイズマンの映画は初見だが、なるほど上映時間が長くなるわけだと合点がいった。
この図書館は、「ゴーストバスターズ」の冒頭ポルターガイスト現象で目録カードが乱れ飛ぶシーンでお目にかかって以来だが、当時とはすっかり様変わりしたようだ。とにかく利用者が皆デスクトップかノートパソコンかスマートフォンか、いずれにせよディスプレイを見ている。そういう時代なのだと言えばそうなのだろうが、隔世の感がある。紙の本とデジタルコンテンツの相克は、映画の中の会議でも言及されていたが、結構悩ましい問題なのだろう(ちなみに、日本なら図書館内の会議は撮影させないだろうな)。
ニューヨーク市は人口も多いとは言え、地域別と主題別の分館含めて90館以上、所蔵6000万点というのは桁違いだ。書籍以外の資料も多いのだろう。テーマ別の画像ファイルというのも(手間が大変だが)便利そうだ。スタッフもかなりの数が要るだろうし、日本のように公立中心だと、行政の理解を得て予算措置するのはなかなか難しいかもしれない。カーネギー氏のような篤志家が現われないものか。
追記:“シュミレーション”の字幕は残念だった。
アメリカ社会を俯瞰するようなスケール感
フレデリック・ワイズマン!そしてこれは傑作。
ニューヨーク公共図書館(NYPL)……そこで行われていること、そこで働く人たちの思い、知識、スキル、そしてそこを訪れる人たちの表情を丹念に拾う。知らないことだらけだった。図書館の多様性と存在意義を知った。
何よりそこで講演を行う著名人たちの話が貴重過ぎる。彼らが言わんとすることを時間を惜しまずじっくりと聞かせる。時空を超えてトリップした。
それにしても何という編集!これらすべてが綴られ一つの塊となり、ワイズマンそのものとなった。これぞ映画のマジック!
アメリカの近代史、人種問題、格差社会、教育問題、その他、雑多な内容に触れ……てかNYPLを通してアメリカの社会そのもの、その過去、現在、そして未来までを俯瞰しようとするワイズマンの企み、そしてそれを可能にするNYPLのポテンシャルの高さに圧倒される。
いや〜〜名古屋シネマテークの最前列の座椅子という劣悪な環境での205分、体は悲鳴をあげたが、満たされた気持ちになった。どれだけ教えられたことだろう。
いつも通りのワイズマン
淡々と撮られた映像だけど、どの順番で出していくかでメッセージ性が出てくるね。
資金調達や、ベストセラーと収集すべき本のどちらを優先するかとか、考えること一杯あるなと思った。
あと人種差別は根が深いんだとも。
単純に、図書館って色んなことやってるんだなあって観てても面白かった。
議論のシーンが多かったんだけど、印象に残ったのは一人一人の話が長いこと。「何をウダウダしゃべってんねん」と思うぐらいみんな長い。そして、そこに誰も割って入らない。
短いやり取りで、話を往復させて詰めていくんじゃなくて、一人ひとりがミニプレゼンのように順番に意見を述べていくやり方なのかな。
あとアメリカ人はストレートにはっきり言うイメージが強かったけど、みんな結構気を遣ってる。
そしてこちらはイメージ通りだけど、決してネガティブな話し方をしない。
そういう議論のクセみたいのが、面白かったよ。
凡人にはきつい
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