劇場公開日 2019年5月18日

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「知の泉」ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス SHさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0知の泉

2019年5月23日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

ナレーションやテッロプ満載で多くの人が容易に理解できるドキュメンタリーを欲している人は見る前に気をつけてほしい、これはフレデリック・ワイズマンの作品だということを。かく言う自分も200分超のワイズマンを覚悟して臨んだ。決して眠るまいと決意して。果たして…
予想外のカットの多さとそのテンポの良さに戸惑うと同時に、うまく乗れた気がする。しかも映し出される出来事や主張が非常に興味深くて、まさに知の源泉たる図書館を表現し尽くした作品だった。
その上、図書館は時とともに変化しつつあるというのがよく分かる(まぁこの巨大図書館が特別なのかもしれないが…)。そこはもはや書庫とか本を借りるだけの場所だけではない。教育の場、コミュニティーの場、ネットを提供する場、そして時に講演があり演奏会がある。
コープランドやバルトークの生演奏があったり、パティー・スミスやエルビス・コステロがゲストで来たり、朗読会やガルシア・マルケスの本についてディベートしたり、演劇における手話についての講演とか点字の教育とか、興味が尽きることなく長い時間が流れていった。
途中5分の休憩、個人的には集中力が切れてしまって余計なものだったが…
内容は興味深かったとはいえ、説明的なものはほとんど無いので、あらかじめニューヨーク公共図書館の構成やマップなどを見ておいた方がいい気がした。そうすれば一層豊かな作品に見えるように思う。
ラストもワイズマンらしくなくて…、それでもなんだか良かった。

SH