「RickAstleyの受難」バンブルビー 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
RickAstleyの受難
トランスフォーマーみたいな感じだが予備知識は全然ない。スタインフェルドに惹かれて見た。
蜂に見える黄色いロボットが恒星間戦争で追われ行き着いた先が地球である。残虐な追手を逃れ、フォルクスワーゲンの姿で眠っている。地球の一介の少女Charlieがその眠りを覚ますのだが、なぜか時代設定が1987年である。
映画はロボットのアクションや特殊効果で魅せる目的の他に、80年代後期の流行歌を楽しめる人もターゲットしている。いや、むしろ懐メロが主役ではないかと思えるほどに全編を彩っていた。
Charlieはスミスが好きで冒頭からBigmouth Strikes Againがかかる。
映画中の1987年はラストアルバム、Strangeways, Here We Comeがリリースされている。「恋人が昏睡状態だ、深刻なんだ、わかってる」っていう曲もかかる。といってノスタルジーがまざまざ蘇るかというと、そうでもない。Bumblebeeはいい映画だが、懐かしさへ誘う設定はややあざとい。Sing Streetのように監督自身の半自伝的なものは別だが、きょうび懐メロで壮年受けを狙う映画はけっこうある。
でも映画はふつうに悪くない。2018年のスタインフェルドは22歳だが映画Bumblebeeでは誕生日を迎えたばかりの18歳役である。自動車整備工の父を亡くしていて日々不運に見舞われている。ビジュアルエフェクトと、いじめられっ子がそれを跳ね返し成長してゆくエッセンス、プラス懐メロで家族で楽しめる映画へ昇華していた。
しばしばRick Astleyがださい歌謡の代表格のように使われてしまうのを見る。当時からそうだった。ここでもテープが速攻で吐き出された。かなりのお約束感があって、なんかRick Astleyが気の毒になった。