「小さくはなったけれど」ダウンサイズ おおゆゆさんの映画レビュー(感想・評価)
小さくはなったけれど
小さくなるというのは大きさに比べて相対的に小さくなる、という話で比べるものがない時には、何も変わらない
本作はいわゆるなギャップ感とか「小人」が鳥とかネズミに襲われるとかのパニック映画要素とか、スモールワールドあるあるがことごとく排されている
そのせいで映画としての面白さは半減しているが、逆に社会学的なダウンサイジングという面が際立っているように思った
つまりもしダウンサイジングが実際に起こったら?という想定の元で、社会や人間の変化というものに着目して作られている
映画のはじまりに主人公の年老いた母親が、「世界で何が起ころうが、私は苦しい」と訴えるシーンがあり、彼が「みんな何かしらで苦しんでいる」と答えるシーンは象徴的だ
そして主人公の理学療法士という職業は、社会の全体に大きく役割を持った仕事ではなく、悩みや辛さを抱える人たちに個人として寄り添う「小さい」仕事である
ダウンサイジングはすべてのことの究極的な問題解決になるのだろうか…
とは言えノルウェーのコロニーの周りを肉食昆虫であるトンボが飛び回っているのはどうかと思った
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