劇場公開日 2018年3月2日

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「退屈でもあり、深くもある、全く予想だにしないストーリー。」ダウンサイズ 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5退屈でもあり、深くもある、全く予想だにしないストーリー。

2018年3月23日
PCから投稿

知的

難しい

寝られる

【賛否両論チェック】
賛:小さくなることによって生じた主人公の悲劇や、次第に明らかになるダウンサイズの真実に、物語としての重厚さが感じられる。
否:テーマはかなり哲学的で難しいので、気をつけていないと眠くなること請け合い。ダウンサイズしたことによる面白みはあまりなし。

 「人間を小さくする技術がテーマの映画」というと、小さくなったがゆえに事件に巻き込まれたりとか、そんな少しファンタジーみたいな物語を想像してしまいますが、残念ながら本作ではそんな要素は皆無で、もっとすごく哲学的な内容です(笑)。まずはそこで好き嫌いが極端に分かれるところかと思います。
 小さくなると、優雅な生活を送れる。しかし二度と元には戻れないという条件を前に、前半では現状に辟易していた主人公が下した決断と、それに伴う想定外の悲劇が、どこか切なく描かれていくのが印象的です。そして後半では、ひょんなことから縮小化の技術を生んだ博士をたずねることになった主人公達が、その驚がくの真実を知ると同時に、一気にテーマのスケールが大きくなっていく様に、心揺さぶられます。
 劇中、活動家だったノク・ランが語る、
「死を意識すると、周りが見えてくる。」
という言葉も深く響いてきます。かなり難しい内容ではありますが、気になった方は是非。

映画コーディネーター・門倉カド